不動産売却のコツ

2023.12.04

土地売却で確定申告が不要の場合でも節税につながる!特別控除の特例も詳しく解説

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土地を含む不動産の売却では、確定申告が必要になることをご存知でしょうか?

確定申告と聞くと、手続きが面倒くさそうと思われる方がほとんどかと思います。

特に不動産売却の確定申告は不要になるケースも存在します。

 

土地を売却する際に、譲渡所得(売却益)が生じる場合には確定申告が必要ですが、譲渡所得が生じない場合には確定申告が不要になるのです。

 

しかし、譲渡所得が生じない場合であっても、確定申告をすることで大きな節税につながるケースがあるので注意が必要です。

この記事では、土地の売却において、確定申告が不要になるケースと、譲渡所得の計算方法、節税に利用できる特別控除などの特例について詳しく解説していきます。

 

土地売却で譲渡所得が生じない場合は確定申告不要

土地を売却する際、譲渡所得が生じない場合には基本的に確定申告が不要になります。この章では、不動産譲渡所得税の仕組みと、その計算方法について解説していきます。

 

不動産譲渡税とは?

土地を売却して利益が出た場合のみ、その売却益に対して「譲渡所得税」が課税されます。

売却利益とは「譲渡所得」のことで、細かく説明すると所得税・住民税・復興特別所得税を総称して「譲渡所得税」と言います。

土地の売却で損失(譲渡損失)が発生する場合には課税されません。譲渡損失というのは、簡単にいうと土地の購入価格より売却価格が少なかったということです。

つまり、譲渡所得が出るか出ないかによって、確定申告が必要か否かが決まります。譲渡所得が出なければ確定申告は不要です。

しかし、損失が大きい場合には確定申告をすることで他の所得と相殺し、節税につなげられるケース(損益通算)があるので覚えておいてください。

 

譲渡所得の計算方法

土地売却の確定申告が不要となるか否かの判断をするための、不動産譲渡所得(売却益)は下記の計算式で算出します。

取得費・譲渡費用が多ければ多いほど譲渡所得が減り、それに課税される不動産譲渡所得税も安くなりますので、細かな費用でもできるだけ譲渡費用に計上するのが良いでしょう。

 

【不動産譲渡所得の計算式と各項目の内容】

不動産譲渡所得 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)

 

≪売却価格≫

土地の売却価格のことを指しますが、金銭ではなく対価として物や権利を受け取った場合などは、その物や権利の時価が売却価格(譲渡価格)とされます。

また、売却価格の他に固定資産税の清算金が含まれますので注意してください。

 

≪取得費≫

土地を購入した当時の費用のことを指します。購入時の仲介手数料や印紙代・登録免許税・不動産取得税などの諸費用も含まれます。

 

※購入時の価格がわからない場合

相続等で空き家を取得した場合、購入した当時の費用がわからない場合は、「売却価格の5%」を取得費として計算することになっています。

 

≪譲渡費用≫

土地を売却する際に生じた、仲介手数料や印紙代・建物解体費など様々な諸費用のことを指します。売却のために支払った立退料なども含みます。固定資産税など、維持や管理にかかった費用は含むことはできませんので覚えておいてください。

 

譲渡所得が生じなくても確定申告が必要な場合

前章で解説した通り、譲渡所得が出ない場合は基本的に確定申告は不要になります。しかし、特別控除の適用を受ける場合や損益通算をする場合、また譲渡損失に関する特例の適用を受ける場合には確定申告が必要です。この章でそれぞれ詳しく解説していきます。

 

譲渡所得に関して特別控除の適用を受ける場合

土地や建物を売却した際、譲渡所得から控除を受けられる特例があります。一定の要件に当てはまり控除が適用になれば、税額が抑えられたり、納めずに済む可能性も出てきます。ただし、たとえ控除によって譲渡所得が生じなくても、特別控除を利用する場合は確定申告が必要になります。そもそも確定申告で税務署へ申請しなければ特別控除の適用も受けられません。

特例については後の章「譲渡所得を軽減できる特例控除の種類」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

譲渡損失を他の譲渡所得と損益通算する場合

譲渡所得は、分離課税の対象となるため申告分離税として課税されます。申告分離課税とは、確定申告された所得を他の所得とは分離して、申告された所得額に応じて定められた税率で、納める税額を算出するものです。

そのため、給与所得や事業所得など総合課税所得と呼ばれる他所得の黒字とは損益通算ができません。

ただし、同じ不動産の譲渡所得として分類され、同年中に売却した他不動産であれば、譲渡益を損益通算することができます。この場合、譲渡所得が生じない場合でも、確定申告をする必要があります。

 

譲渡損失に関する特例の適用を受ける場合

マイホームなどの居住用財産を売却して損失が生じた場合は、その損失を他の所得から差し引くことができる特例があります。買い替えを伴わず売却のみの場合は「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」、売却して新しい住宅を買い換えた場合は「居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の曽根期通算及び繰越控除の特例」が利用できます。

 

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」

住宅ローン残債のあるマイホームで、売却金額がローン残高よりも低く、譲渡損失が生じた場合に利用できる特例です。 新たなマイホームを購入しない場合でも適用でき、買換資産を取得した場合には、住宅ローン控除も同時に適用することができます。 損益通算の対象となる金額は、売却損失額と売却金額を差し引いたローン残高のいずれか少ない額です。
特例を適用した年で損益通算しきれなかった場合には、残額を売却した年の翌年以後最大3年まで繰り越せます。
この際、合計所得金額が3,000万円を超える場合は、繰越控除は適用できません。

 

「居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」

マイホームの売却をして損失が生じ、新しいマイホームをローンで購入した場合に利用できる特例です。特例要件を満たした場合、他の所得(給与所得や事業所得など)と損益通算することができ、所得税を先に納めていた場合でも確定申告で還付を受けられます。

また、特例を利用した年のみですべての赤字を損益通算できなかった場合には、売却した年の翌年以後最大3年まで繰り越すことが可能です。こちらも、合計所得金額が3,000万円を超える場合は、繰越控除は適用できません。

住宅ローン控除との併用もできるため、売却と購入のタイミングが同年であれば、同時に確定申告で特例適用の申請を行います。

 

譲渡所得を軽減できる特例控除の種類

ここでは、譲渡所得を軽減できる特例控除について5つご紹介します。それぞれの適用要件など詳しく解説していますので、ご自身が利用できそうな特例があるかどうか確認してみてください。

 

居住用財産を売却した場合の3,000万円控除

居住中もしくは過去に居住していた居住用財産(マイホーム)を売却する際に、一定の要件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」が利用できます。

居住用財産の3,000万円特別控除を利用することで、譲渡所得から最大3,000万円を控除が受けられます。マイホームが購入時より3,000万円以上高く売れるケースは稀なので、この特例を利用できれば譲渡所得税・住民税が非課税になる場合がほとんどです。この特例の要件を満たしていても、確定申告で申請しなければ適用されませんのでご注意ください。

また、この特例は自宅と土地を合わせて売却した場合だけでなく、一定の要件を満たせば自宅を解体して土地を売った場合にも対象になるケースがありますので、確認しておきましょう。

 

|居住用財産の3,000万円特別控除の適用要件

・居住用財産(自分が住んでいた家や土地)の売却であること

・別荘や賃貸用の家、この特例を受けるための目的で入居した家でないこと

・家を解体している場合、解体から1年以内に土地の売買契約が結ばれていること

(解体前の家に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

(家を解体した土地を売却までに別の用途(貸駐車場など)に使用していないこと

・売却相手が親子や配偶者などの特別な間柄にある人(法人含む)ではないこと

・売却の年の前年・前々年に以下の特例の適用を受けていないこと

(同じ特例(ただし相続空き家を売却した場合に適用される3000万円特別控除は除く)

(マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例

(マイホーム買い換えによる特例

(その他土地収用による控除などの特例

(住宅ローン控除

 

その他の詳しい要件は国税庁ホームページでご確認いただけます。

参照:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

 

相続空き家を売却した場合の3,000万円控除

相続または遺贈によって取得した空き家を売却する場合、耐震性能や売却金額など一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円の控除が受けられます。近年増加が問題視される空き家を減らす目的で設けられている制度です。例えば3,000万円で空き家を売却したとすると特例が適用された場合、税金は0円になります。こちらの特例が適用になる要件は下記の通りです。

 

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例適用要件

亡くなられた方が1人で暮らしていた家であること

昭和56年5月31日以前に建築された家であること

相続から売却までずっと空き家であったこと

売却する空き家は耐震基準を満たしているか更地である

 

適用期間

特例の適用期限とされる2023年12月31日までの売却であること

相続発生日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること

 

その他適用要件

売却金額が1億円以下であること

親子や夫婦など特別な関係がある人への売却でないこと

 

取得費加算の特例で相続税額の一部を控除

取得費加算の特例とは、譲渡所得を算出する際の取得費に、土地に課税された相続税の一部を加算できる特例です。取得費を加算できる分、譲渡所得税の負担を軽減することが可能になります。

相続税納税者が相続開始から3年10カ月以内に土地を売却する場合に利用でき、適用要件は下記の通りです。

 

|取得費加算の特例適用要件

相続や遺贈によって財産を取得した人であること

その財産を取得した人が相続税を納めていること

相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)から3年を経過する日までに売却すること

 

参照:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

 

平成21年・22年に取得した土地を売却した場合の1,000万円控除

この特例では、平成21年に取得した土地を平成27年以降に売却した場合、もしくは平成22年に取得した土地を平成28年以降に売却した場合に、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最大1,000万円の控除を受けられます。

この1,000万円特別控除は、リーマンショック後の景気対策として設けられた特例で、リーマンショック翌年からの2年間、つまり平成21年と22年に購入した土地等を売却した場合に、売却益から1,000万円を控除できるという特例です。

購入してすぐ売却した場合には利用できませんが、適用期間がクリアできれば、未利用の土地に対しても適用できるのが1,000万円特別控除の特徴です。

 

適用要件を整理すると下記のとおりで、全てに該当する必要があります。

 

【適用要件】

平成21年1月1日から平成12月31日までの期間に土地等を取得

平成21年に取得した土地(及び権利)を平成27年以降に売却、または平成22年に取得した土地(及び権利)を平成28年以降に売却

特別な間柄(親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係にある人、または特殊な関係の法人など)にある人から取得した土地ではない

土地等は、相続・遺贈・贈与・交換・代物弁済・所有権移転外リース取引により取得したものではない

 

譲渡した土地等について、収容等の場合の特別控除や事業用資産の場合の課税の繰延べなど他譲渡取得の特例を受けないこと

 

参照:国税庁「No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除

 

低未利用土地を売却した場合の100万円控除

低末利用土地等の100万円特別控除の特例とは、令和2年7月1日から令和4年12月21日までに、都市計画区域内の特定の未利用土地等を500万円以下で売却した場合、譲渡所得から最大100万円を控除できる特例です。※令和5年1月1日から令和7年12月31日に売却された土地に関しては、一部の土地について売却価格の要件が500万円から800万円に引き上げられます。

また、譲渡所得の金額が100万円に満たない場合は、譲渡所得税の課税がなくなります。

 

【低未利用土地とは】

・居住や事業、その他の用途に利用されていない土地であること

・利用されている場合でも、その周辺地域における同一用途の土地利用に比べて、著しく劣っている土地である(空き地、空き家、耕作放棄地など)

 

【適用要件】

・都市計画区域内にある土地の売却であること

・売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えること

・売却相手が親子や夫婦など特別な関係にある人でないこと(法人も含む)

・土地にある建物なども含めた売却価格が500万円以下であること

・売却後にその低末利用土地の利用がされること

・分筆された土地の場合、分筆された他の土地が前年・前々年にこの特例を受けていないこと

・売却した土地等について、収容等の場合の特別控除や事業用資産の場合の課税の繰延べなど他譲渡取得の特例を受けないこと

 

参照:国税庁「No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

土地売却の税金控除で注意すべき点

これまで解説してきた通り、土地売却際の税金控除には複数の特例があり、大きな節税につながります。この章では、これまでの章でお伝えしきれなかった、その他の注意点について2つご紹介します。

 

特例には併用できないものがある

前章にて特例をいくつかご紹介しましたが、他の特例と組み合わせて併用できるものと併用できないものがあります。

例えば、「居住用財産の3000万円特別控除」と10年を超えて所有していたマイホームの売却が対象になる「10年超所有軽減税率の特例」は併用できるため、該当する場合には両方の特例を使うことをおすすめします。

ただし、「特定の居住用財産の買換え特例」や「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」「居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」などは他の特例と併用できません。

また、併用できる特例でも、前年や前々年に特例を受けている場合はその年には使えないなどの制約が設けられている場合もあります。特例の適用要件に該当しているかどうかはもちろん、併用できるか否かにも注目をしながら特例を利用しましょう。

 

不動産売却後に確定申告が不要でも「お尋ね」が来ることがある

不動産の売却において、譲渡所得(売却益)が生じない場合、確定申告は不要であるとお伝えしてきました。

しかし、確定申告が不要な場合であっても、税務署から「お尋ね」と記載された書類が届くケースがあります。

「お尋ね」とは、税務署から個人に対して行われる、確定申告の内容についての問い合わせのことです。不動産所得の内訳や現在の不動産の利用状況などが問われることとなります。特に不動産売却では大きなお金が動くため、税務署側は譲渡所得があったのではないかと考え、お尋ねを送ってくる場合があるのです。

 

「お尋ね」は書面や電話で行われる形式が多く、税務署からの質問に対し、動揺せずにしっかりと回答すれば問題ありません。正当な理由なく回答しなかった場合や虚偽の回答をした場合は、税務署から不信感を抱かれる可能性がありますので、対応を後回しにしないようにしましょう。万が一、譲渡所得があったのに確定申告を行っていなかった場合は、管轄の税務署で期限後申告を行う必要があります。

譲渡所得が生じない場合でも確定申告を

これまで解説してきた通り、不動産の売却で譲渡所得が生じない場合には、確定申告は不要となりますが、特例の適用を受ける場合などは、確定申告が必要になります。

譲渡所得が出ないからと言って確定申告しないでいると、せっかくの節税できるチャンスを逃すことになりますので注意してください。

また、確定申告をする際は、適用を検討している特例に応じて必要書類が異なります。事前に確認をして、確定申告期限に間に合うよう、予め準備しておくことが肝心です。

また、特例適用を受ける場合、自分が適用になるのか否かなかなかご自身で判断ができなかったり、必要書類準備の手間がかかったりと労力を使うことが多くなります。そのような場合は、売却を依頼する不動産会社や税理士などの専門家に相談するのが良いでしょう。

弊社「S plus home(エスプラスホーム)」では、札幌や札幌近郊の不動産売却の仲介や買取を行っています。ご相談や査定についても無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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