不動産売却のコツ

2024.07.22

任意売却で自己破産を回避?適切なタイミングと仕組みを解説

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借金が返済できない場合は「自己破産」という選択があります。

自己破産では所有するすべての財産を手放す必要があるため、不動産も売却します。

ただし条件次第では、住宅ローンを返済し終えていない不動産を売る「任意売却」で資金を得て、借金返済にあてることも可能です。

今回は自己破産と任意売却の違い、任意売却の最適なタイミングについて紹介します。

任意売却と自己破産の違い

任意売却とは

「任意売却」とは、抵当権がついた不動産を売却することです。

抵当権とは、銀行など(債権者)から資金を借りて家を買った買主(債務者)が、借りた資金の返済ができなくなったとしても、債権者が家や土地を売れる権利のことです。

この抵当権は、民法369条で定められています。

 

通常、住宅ローンを返済完了した不動産は、手続によって抵当権が外された状態で売られます。

しかし、買主の状況によって抵当権がついた不動産を売却することができ、それを「任意売却」と呼ぶのです。

 

任意売却は強制的に行われることはなく、債務者が債権者に相談して売却の許可を取る必要があります。

許可が下りたら抵当権が解除され、不動産への売却活動が始まります。

 

一方、強制的に不動産が売られる売却活動が「競売」です。

債権者が不動産を差し押さえるため、債務者は拒否できません。

 

任意売却は市場価格に近い価格で売れますが、競売は市場価格の5割以下の価格になることが多いです。

自己破産とは

「自己破産」は債務者が借りた資金(債務)の返済が不可能になった場合の手続きのことです。

債務を処理する手続きとして、任意売却や競売が行われることがあります。

 

自己破産には「管財事件」と「同時廃止事件」の2つがあります。

「管財事件」は債務者に財産がある場合に行われる手続きで、裁判所から選出された弁護士(破産管財人)が債務者の財産を清算します。

 

財産には、不動産のほか以下のものが含まれます。

  • 自動車やバイク
  • 家財道具
  • 預貯金
  • 現金
  • 貸金
  • 売掛金
  • 積立金
  • 保険を解約した際に受け取るお金
  • 破産手続きを行うときに退職した場合、受け取ると想定される退職金

 

破産手続きが完了しても債務が残っている場合、「免責」という制度もあります。

免責は一定の条件のもと、債務者の支払い義務を免除することです。

 

一方、「同時廃止事件」は債務者の財産が無い場合に行われる手続きです。

破産管財人は財産を清算できないため、破産手続きの開始決定と同時に手続きを終えるという決定がなされます。

任意売却と自己破産のタイミング

任意売却で自己破産を免れる場合

支払うべき債務の金額が少なくて任意売却の金額が多い場合は、自己破産を免れる可能性があります。

 

住宅ローンの残額が売却価格よりも少ない場合を「アンダーローン」と言い、住宅ローンの残額が売却価格よりも多い場合は「オーバーローン」と言います。

  • アンダーローン:売却価格>住宅ローンの残額
  • オーバーローン:住宅ローンの残額>売却価格

 

「アンダーローン」であれば任意売却で資金が得られるため、自己破産せずに済みます。

一方、売却価格が低く債務が多い場合はオーバーローンとなり、返済が難しくなります。

 

もし売却価格で債務を返済できなくても、債権者との交渉によって支払う返済額を調整して自己破産を免れる可能性があります。

具体的には、債権者との交渉で「分割返済」や「少額返済」の相談ができます。

返済可能な金額を提示し、債権者の同意を得ることがポイントです。

 

また、返済額の調整により、自己破産をせずに債務を返済できる人もいます。

一般的に、毎月の支払いを3万円以下に調整できるとされています。

 

返済額に関する交渉は、債務者ではなく任意売却を行う不動産業者が行います。

自己破産を免れるためには、任意売却の交渉を得意とする不動産業者を選びましょう。

任意売却後に自己破産が起きる場合

任意売却後に自己破産するケースには、共通点があります。

それは、任意売却を行って得た金額が少なく、不動産以外の財産も少なく、債務を返済できない場合です。

 

自己破産が認められない場合は以下の2つです。

  • 債務の支払いが可能である
  • 自己都合による債務が原因である(免責不許可事由)

債務者に返済能力がある場合、自己破産は認められません。

自己破産が認められるためには、長期的に見ても債務を返済できる可能性が低いと判断される必要があります。

 

免責不許可事由とは、裁判所が債務者の「債務の免除」を認めないことです。

通常、自己破産の手続きを行うと免責による債務などの支払い義務がなくなります。

 

自己破産による免責が認められない理由は、破産法第252条によって定められています。

以下に該当する場合は、自己破産ができません。

  1. 債権者を害するために、不当に財産を減らす行為
  2. 破産手続きを遅らせるために、財産を処分する行為
  3. 特定の債権者に対して特別な利益を与えるなど、債権者を不平等に扱う行為
  4. 浪費やギャンブルなどによって債務を得る行為
  5. 破産手続きの申し立てから破産手続きの開始が決定した間に、詐欺的な行為によって信用取引をする行為
  6. 業務や財産に関する帳簿や書類を偽る行為
  7. 債権者名簿を偽って提出する行為
  8. 破産手続きに関して、裁判所に虚偽の説明をする、または説明を拒む行為
  9. 破産手続きに関わる業務を妨害する行為
  10. 過去7年以内に免責を受ける行為
  11. 自己破産手続きに非協力的である行為

自己破産の前に任意売却を行うメリット

裁判にかかる費用の負担軽減

自己破産前に任意売却を行うことで「同時廃止事件」として扱われるため、裁判所や弁護士への費用を抑えられます。

裁判費用の目安は、以下の通りです。

  • 管財事件:20万円以上
  • 同時廃止事件:最低1万円以上

 

事前に不動産を手放すことで、財産を持っていない債務者に対する破産手続き「同時廃止事件」となるため、裁判所と弁護士にかかる費用を抑えられるのです

裁判所にかかる費用には、以下のものが含まれます。

  1. 自己破産・免責の申立
  2. 予納金基準額
  3. 予納郵券

 

管財事件は、必要な時間もお金を多くかかります。

清算を行う弁護士にかかる費用を裁判所に支払うため、金額が高くなります。

破産手続きにかかる時間も、管財事件の方が長くかかります。

 

管財事件の場合、支払う額は負債総額に応じて変わります。

個人が自己破産手続きを行う際、予納金基準額として納付する額は以下の通りです。

 

負債総額 個人
5,000万未満 50万円
5,000万~1億未満 80万円
1億~5億未満 150万円
5億~10億未満 250万円
10億~50億未満 400万円
50億~100億未満 500万円
100億~ 700万円

同時廃止事件の現金での支払い額は12,000円です。

引越し費用の負担軽減

自己破産の前に不動産を任意売却することで、家を失った後の引越し費用を債権者に負担してもらえる場合があります。

それは債権者側も、不動産を競売ではなく任意売却で売りたいためです。

 

任意売却では、競売よりも高額で不動産を売れます。

そのため、債権者は任意売却で得た一部を使って、債務者の引越し費用を負担するケースがあるのです。

 

ただし、引越し費用の負担は債権者の義務ではありません。

その場合は、引越しシーズンとなる3月〜4月を避けて引っ越すなど、売却時期を調整して引越し費用を節約しましょう。

滞納金の支払い

任意売却では、債権者が売却で得た金額を使って、債務者が滞納していた税金を返済する場合があります。

ただし、滞納金の返済は義務ではないため債権者によって対応は異なります。

 

税金は納税が遅れることで「延滞税」が課され、延滞期間が延びるごとに金額も大きくなります。

税金が定められた期限までに納付されない場合には、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。
国税庁HPより引用

 

延滞税の金額が大きすぎる場合は、債権者が延滞金の支払えないだけではなく、任意売却の許可を出さない可能性もあります。

任意売却後に自己破産手続きを行って免責が許可されても、延滞していた税金の支払い義務は消えません。

破産法第253条には「免責許可の決定の効力等」として、免責許可が下りたとしても、支払いの責任を逃れられないものとして「一 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)」を挙げています。

自己破産後に任意売却を行うメリット

適正価格と仲介手数料での売却

自己破産後の任意売却は、裁判所や破産管財人といった公正な立場の人が不動産を売却します。

そのため、信頼性という面では大きなメリットがあります。

 

一方で債務者が売却を行う場合、悪徳な不動産業者に当たってしまうと、不動産を適正価格よりも大幅に低い価格で売却したり、債務者に対して不当に高い仲介手数料を求めたりする可能性もあります。

 

仲介手数料は、売却する不動産に応じて上限が異なります。

不動産会社が受け取る仲介手数料は、以下の計算式で算出できます。

不動産売買価格 仲介手数料の上限
400万円~ 売買価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税
200万円~400万円以下 売買価格(税抜) × 4% + 2万円 + 消費税
~200万円 売買価格(税抜) × 5% + 消費税

 

不動産会社を探す際は、必ずしも信頼できる会社を選べるとは限りません。

特に任意売却の場合は「引越し費用の負担」や「引越し費用保証」を主張し、焦りを感じている債務者を狙った悪徳な業者もいます。

 

安心して適切に売却活動を行いたい人は、自己破産後の任意売却がおすすめです。

まとめ

自己破産とは、債務者が債務を返済できなくなった場合の手続きです。

自己破産には管財事件・同時廃止事件の2つがあります。

抵当権がついている不動産を売却する「任意売却」では、債権者の許可を得ることで、債務の完済できていない不動産を売却することができます。

自己破産手続きの前に任意売却を行うことで、自己破産を回避できることもあります。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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