不動産売却のコツ

2024.12.03

セカンドハウスの売却にかかる税金には要注意!節税方法も知っておこう。

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セカンドハウスとは

 

|セカンドハウスの定義

「セカンドハウス」とは、主たる住居であるマイホーム(自宅)のほかに、定期的に居住する目的で所有している第二の住まいを指します。セカンドハウスの定義は、別荘以外の住居であり、「週末に居住するため、郊外などに取得するもの」「遠距離通勤している人が平日に居住するため、職場の近くに取得するもの」等で、毎月1日(1泊2日)以上居住の用に供するものとされています。

所在地は、自宅から一定程度離れていれば、別荘地とされるような海辺などどこでも良いとされており、戸建て、マンションいずれでもかまいません。しかし、自宅近くではセカンドハウスとしては認められにくい傾向にあります。

 

▶︎税制面において「セカンドハウス」と「別荘」は異なる

「セカンドハウス」と似たものとして「別荘」がありますが、その使用目的と使用頻度によって、税制上ではセカンドハウスと別荘は異なるものとして定義されます。セカンドハウスの使用目的は、都市部での通勤用や週末のリフレッシュなどが該当し、上記でも説明したように「定期的な使用(月1日以上)」が求められます。

一方で別荘は、リゾート地や自然豊かな場所に位置していることが多く、「日常生活の用に供しない家屋又はその部分のうち、専ら保養の用に供するもの」のことをいいます。つまり、普段の生活拠点ではなく、余暇やレジャーなどを目的として使用される住居のことを指します。そのため、使用頻度も月1日未満とされています。

 

 

|セカンドハウスの市場動向

コロナ禍以降、リモートワークの普及に伴い、都市部から離れた地域にセカンドハウスを所有することへの関心が高まりました。これにより、自然豊かな観光地やアクセスの良い地方都市でのセカンドハウス需要が上昇しています。

例えば、都会にある通常の勤務地から離れて、自然豊かな場所やリゾート地などで長期休暇を取りながら、リモートワークで仕事をする「ワーケーション」や、普段は都心部に暮らしながら仕事をし、週末に田舎暮らしやリゾートライフを楽しむ生活「デュアルライフ(2拠点生活)」に興味を持つ人々が増えています。

また、リモートワークの普及以外でも、ワークライフバランスや健康志向の高まりからセカンドハウスを考える人も増え、セカンドハウス市場の拡大を後押ししていると言えるでしょう。

セカンドハウスのトレンドとしては、設備が整っているリモートワークがしやすい物件や、メンテナンスが比較的少ないマンションタイプなどが人気です。また、投資としても期待されるようになり、賃貸可能なセカンドハウスを取得し、利用しない時期には民泊として運用するというような方法も注目されています。

 

 

|セカンドハウスの売却方法

セカンドハウスの売却は、基本的に一般的な不動産物件と同様の流れで進みます。

売却査定を依頼し、適正価格を見極め、不動産会社の仲介を通じて購入希望者へ売却します。この章では、セカンドハウスならではの売却ポイントやコツについて3つご紹介いたします。

 

1.ロケーションの訴求

セカンドハウスの売却は立地が大きく影響します。リゾート地や自然環境の良い場所にある場合、買い手は同じくセカンドハウスや別荘として利用することが考えられますので、立地の良さを強調することで購買意欲を高める効果が期待できます。

リゾート地などでなく、地方都市やアクセスのよい場所等の立地であれば、通常の不動産売却と同じく、エリアの需要に合わせた訴求を行うのがよいでしょう。

 

  • ターゲットの特定

セカンドハウスは主に余暇やリモートワーク用として使用されるため、そのような生活スタイルを求める層を意識した売り方が重要です。たとえば、リモートワークを想定したインターネット環境や、長期滞在にも適した設備をアピールすることが有効です。購入者のライフスタイルに合わせた柔軟な利用方法(賃貸運用の可能性など)を提案することも、売却成功への一助となるでしょう。

 

  • 維持管理状況の説明

セカンドハウスは使用頻度が低い場合もあるため、物件の状態が懸念材料となるケースがあります。そのため、メンテナンス履歴などを丁寧に説明することが重要です。特に、湿気や老朽化、害虫などが発生しやすいエリアの場合は、定期的な点検や清掃の有無を明確にしておくと買い手にとって安心材料となります。

また、築年数の古い戸建ての場合は、家を解体し、更地として売りに出す方が買い手がつきやすくなる場合もありますので、不動産会社と相談しながら判断しましょう。

 

 

セカンドハウス売却時にかかる税金

 

|譲渡所得税

セカンドハウスを売却して利益が出た場合のみ、その売却利益に対して「譲渡所得税」が課税されます。売却利益とは譲渡所得のことを指し、細かく説明すると所得税・住民税・復興特別所得税を総称して「譲渡所得税」と言います。

譲渡所得は、売却価格から取得費(購入した当時の費用)や譲渡費用(売却にかかった諸経費)を引いた金額として計算されます。そのため、取得費・譲渡費用が多ければ多いほど譲渡所得が減り、それに課税される不動産譲渡所得税も安くなりますので、細かな費用でもできるだけ譲渡費用に計上するのが良いでしょう。

不動産譲渡所得税の税率は、セカンドハウスの所有期間によって以下表のように異なり、所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」の場合は39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%)、5年超の「長期譲渡所得」の場合は20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)が適用されます。

 

セカンドハウスの所有期間 譲渡所得税率
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 20.315%
所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 39.63%

 

 

|登録免許税

売買などで不動産を売却もしくは購入した場合、売主の名義で登記されていた不動産を買主の名義に変更する「所有権の移転登記」を行う必要があります。その際に課税されるのが「登録免許税」です。

セカンドハウス売却の際に生じる登記は主に、所有権移転や抵当権設定、ローン残債がある場合は抵当権抹消登記が必要になります。うち、一般的に売主が支払うのは「抵当権抹消登記」の費用です。抵当権抹消1件につき、1,000円の費用がかかります。

抵当権抹消登記とは、土地購入時に銀行からローンを借りていた場合に登記されている「抵当権」を抹消してもらうことです。そのため、ローンを組んでいなければ抵当権は設定されていませんので、抵当権抹消登記にかかる登録免許税は必要ありません。

また、所有権移転登記費用については基本的に買主負担ですが、法的な決まりがないため、場合によっては売主と買主で費用分担を行うこともありますので覚えておいてください。

 

 

|印紙税

印紙税とは、不動産売却の際の売買契約書に貼る印紙のことで、国・自治体に対して支払う税金の1つです。定められた金額の印紙を貼って消印をすることで納税したとみなされます。

印紙の金額は、契約書の記載金額に応じて税額が異なり、たとえば1,000万円超5,000万円以下の場合には1万円、5,000万円超1億円以下では3万円の印紙税が課されます。なお、契約金額によって印紙税の額は変動するため、売買額が大きくなるほど印紙税の額も高くなります。印紙を貼っていなかった場合には3倍の額の過怠税が、消印されていない場合には同額の税金を納めなければいけません。

また、平成26年4月1日〜令和9年3月31日までの期間であれば税額に軽減措置が適応され、下記表の通りとなります。

 

契約書の記載金額 印紙税額(軽減後)
10万円超50万円以下 200円
50万円超100万円以下 500円
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円

参照:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

 

 

セカンドハウス売却時の節税方法と特別控除

 

|譲渡所得税の節税方法

前章にて説明した各税金のうち、譲渡所得税には節税できる可能性があります。税金対策のポイントを2点ご紹介します。

 

1.「取得費」「譲渡費用」をもれなく計上する

不動産譲渡所得の計算は、不動産譲渡所得=売却価格―(取得費+譲渡費用)の計算式で算出するため、「取得費」「譲渡費用」が多ければ多いほど譲渡所得が減り、それに課税される不動産譲渡所得税が安くなります。

この章では取得費や譲渡費用として計上できるもの諸費用の例をご紹介していきますが、それぞれ加算できるものか否かの判断が難しい場合もありますので、税務署や不動産会社等に確認してみましょう。

 

▶︎取得費として加算できる購入時の諸費用例

セカンドハウスを購入した当時の費用のことで、購入時の仲介手数料や印紙代・登録免許税・不動産取得税などの諸費用も含まれます。

購入した当時の費用がわからない場合は、「売却価格の5%」を取得費として計算することになっており、この場合、税金が大きくなってしまうことがほとんどですので、購入した当時の費用がわかる資料を出来る限り探すことが肝心です。

その他、取得費として計上できる可能性があるものをリストアップしておきますのでご参照ください。

 

・売買契約書へ貼り付けした印紙代

・仲介手数料

・登録免許税

・司法書士への手数料

・不動産取得税

・測量費

・建物解体費

・整地費用

・下水道や擁壁の設置費用

・リフォーム費用

 

▶︎譲渡費用に加算できる売却時の諸費用例

セカンドハウスを売却する際に生じた諸費用は、基本的に譲渡費用に加算することができます。ただし、固定資産税など維持や管理にかかった費用は含むことはできませんので注意が必要です。

 

・売買契約書へ貼り付けした印紙代

・仲介手数料

・立退料

・登記費用

・建物解体費

・売却のための広告料

・売却のための鑑定料

・売却のための建物補修費

・交渉のために使用した交通費や通信費等

 

 

2.税率が下がる5年超を意識して売却する

前章でもご紹介した通り、譲渡所得税の税率は、その不動産を所有していた期間によって異なります。売却時期の調整が可能であれば、所有期間が5年を超えてからの方が税率が下がるため、大きな節税につながります。

 

例えば、不動産譲渡所得が800万円である場合、不動産譲渡所得税は下記のようになります。

 

例:セカンドハウスの売却価格3,000万円、取得費用200万円、購入価格2,000万円の場合

売却価格3,000万円-(取得費用200万円+購入価格2,000万円)=不動産譲渡所得 800万円

 

セカンドハウスの所有期間 計算式 譲渡所得税
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 800万円×20.315% 1,625,200円
所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 800万円×39.63% 3,170,400円

 

この例の場合、所有期間が5年を超えると約154万円の節税につながります。

 

 

|3,000万円の特別控除は適用外

マイホーム売却の場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特別控除制度が存在します。しかし、セカンドハウスはマイホーム(居住用財産)とはみなされないため、この3,000万円の特別控除は原則として適用されません。

ただし、他の控除制度や優遇措置が適用される場合があります。

例えば、特定の要件を満たす空き家の譲渡所得の特別控除は、条件に該当する場合は検討する余地があります。また、事前に税理士に相談し、適用可能な控除を確認しておくと良いでしょう。

 

▶︎空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

売却する不動産が相続した空き家である場合には、耐震性能や売却金額など一定の要件を満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円の控除を受けることができます。

参照:No.3306被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

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