目次
アパート売却で「業者選び」が最重要な理由
アパートを売却する際、多くの方が「いくらで売れるか」「いつ売れるか」に目を向けがちですが、実はそれ以上に重要なのがどの業者に依頼するかです。
アパート一棟などの投資用物件の売却は、自己居住用の戸建てや区分マンションの売却と比べて専門性が高く、業者の知識・経験・販売力によって結果が大きく左右されます。適切な業者を選べば、相場に近い価格でスムーズに売却できますが、業者選びを誤ると「安く買い叩かれる」「長期間売れ残る」「後からトラブルが発生する」といったリスクも現実的に起こります。
アパート売却は戸建て・マンションと何が違うのか
アパート売却の大きな特徴は、「住むための不動産」ではなく「収益を生む投資用不動産」として評価される点にあります。
戸建てや区分マンションの場合、立地・間取り・築年数・見た目といった「住みやすさ」が主な判断材料になります。一方、アパートはそれに加えて、家賃収入、空室率、利回り、修繕履歴、管理状況など、数字をもとにした収益性の評価が欠かせません。
そのため、アパート売却では
- 投資家目線で物件を評価できるか
- 利回りやキャッシュフローを説明できるか
- 入居者がいる状態(オーナーチェンジ)での取引に慣れているか
といった点が重要になります。
これらに対応できない業者に依頼すると、正しい価値を評価されず、本来より低い価格で売却してしまうケースも少なくありません。
業者次第で売却価格・期間が大きく変わる理由
アパート売却では、業者の「売り先の質」と「売り方」によって、結果が大きく変わります。
例えば、投資用不動産に強い業者であれば、既存の投資家ネットワークや金融機関とのつながりを活かし、物件の魅力を理解できる買主に直接アプローチできます。その結果、相場に近い、あるいは条件の良い価格で売却できる可能性が高まります。
一方で、アパート売却の経験が少ない業者の場合、
- 一般の居住用物件と同じ感覚で販売してしまう
- 投資家向けの説明資料を用意できない
- 買主を見つけられず、値下げを繰り返す
といった事態に陥りがちです。
その結果、売却までに時間がかかり、最終的には「急いで売るために安く手放す」ことになるケースも珍しくありません。つまり、アパート売却では「どの業者に頼むか」が、売却価格・売却期間・精神的な負担すべてに直結するのです。
アパート売却に強い業者の特徴とは
アパート売却で成功するためには、「不動産会社ならどこでも同じ」という考えを捨てることが重要です。アパートは投資用不動産である以上、専門性の有無が業者間で大きく分かれます。ここでは、実務の現場で見てきた経験をもとに、アパート売却に強い業者に共通する特徴を具体的に解説します。
投資用不動産の取引実績が豊富にある
アパート売却に強い業者かどうかは、「投資用不動産の取引実績」を具体的に確認することで見極めやすくなります。
以下は、実績が豊富な業者とそうでない業者の違いを整理した比較表です。
| 比較項目 | 実績が豊富な業者 | 実績が少ない業者 |
| 取引物件の種類 | 一棟アパート・オーナーチェンジ物件が中心 | 戸建て・区分マンションが中心 |
| 投資家対応 | 利回り・収支を前提に説明できる | 感覚的・相場ベースの説明が多い |
| 入居者付き売却 | 慣れており手続きがスムーズ | トラブルを恐れて消極的 |
| 売却活動 | 投資家向けに効率的に進める | 一般向け販売と同じ手法 |
このように、一般的には投資用不動産の取引経験が豊富な業者ほど、アパート特有の評価ポイントや売却プロセスを理解しており、結果として無駄な遠回りをせずに売却を進められる傾向があります。
収益性・利回りを踏まえた査定ができる
アパート売却における査定で重要なのは、「いくらで売れそうか」だけでなく、なぜその価格になるのかを収益面から説明できるかです。収益性を踏まえた査定ができる業者かどうかは、以下の視点で判断できます。
| 査定時の説明内容 | 信頼できる業者 | 注意が必要な業者 |
| 査定根拠 | 家賃収入・経費・利回りを数値で説明 | 「相場だから」「このくらいで売れる」 |
| 利回りの扱い | 想定利回り・実質利回りを区別 | 利回りの説明が曖昧 |
| 将来リスク | 修繕・空室リスクも考慮 | 良い面だけを強調 |
| 投資家視点 | 買主の収支を想定している | 売主目線のみ |
収益性を正しく評価できない査定は、「最初は高く見えるが、結局売れずに値下げを繰り返す」一因となり、結果的に売主の不利益につながる特典があります。
金融機関・投資家とのネットワークを持っている
アパート売却では、「買いたい人がいる」だけでは成約に至りません。融資が通る買主を見つけられるかどうかが、成否を分ける重要なポイントです。ネットワークを持つ業者と持たない業者では、売却の安定性に明確な差が出ます。
| ネットワークの有無 | 強い業者 | 弱い業者 |
| 金融機関との関係 | 融資条件を把握している | 融資は買主任せ |
| 買主の質 | 融資可能性の高い投資家 | 条件不明の問い合わせが多い |
| 売却途中のリスク | 融資否決による白紙解約が少ない | 契約解除が起こりやすい |
| 売却スピード | 成約までが早い | 時間がかかりやすい |
金融機関・投資家とのネットワークを持つ業者ほど、「売れそう」で終わらず「融資実行まで含めて最後まで売れる」売却を実現しやすいのが特徴です。
大手不動産会社と地域密着型業者の違い
アパート売却を検討する際、多くの方が最初に悩むのが「大手不動産会社と地域密着型業者、どちらに依頼すべきか」という点です。
結論から言うと、どちらが優れているかではなく、物件の特性と売却目的によって向き・不向きが分かれます。それぞれの特徴を正しく理解することが、後悔しない業者選びにつながります。
大手業者に依頼するメリット・デメリット
大手不動産会社の最大の強みは、知名度と組織力です。特に売却に不安がある方にとっては、「大手だから安心」という心理的メリットも小さくありません。
大手業者に依頼するメリット
- 全国規模の広告力があり、買主への露出が多い
- 社内マニュアルが整っており、手続きが安定している
- コンプライアンス意識が安定しており、トラブルが起こりにくい傾向にある
一方で、アパート売却においては注意すべき点もあります。
大手業者のデメリット
- 大手であっても、常に投資用不動産に詳しい担当者とは限らない
- 組織としての標準的な売却フローに沿うため、売却活動が画一的になりやすい面がある
- 地域特性や個別事情が価格に反映されにくい
特に、アパート売却では「会社の規模」よりも「担当者の専門性」が結果を左右する点は押さえておく必要があります。
地域密着型業者に依頼するメリット・デメリット
地域密着型業者は、特定エリアに根ざして営業しているため、地域事情を踏まえた柔軟な売却戦略を立てやすいのが特徴です。
地域密着型業者のメリット
- 周辺の賃貸需要や相場に詳しい
- 過去の取引事例を細かく把握している
- 売主の事情に合わせた対応をしてくれやすい
一方で、以下の点には注意が必要です。
地域密着型業者のデメリット
- 業者によっては投資家ネットワークが限定的な場合があり、投資家向けの売却に十分対応できない場合もある
- 広告力が弱く、買主探しに時間がかかることがある
- 担当者による力量差が大きく、同じ地域密着型でも対応品質にばらつきが出やすい
特に、アパート売却の実績が少ない地域密着型業者の場合、投資家向けの売却ノウハウが不足しているケースもあるため、実績確認は欠かせません。
アパート売却ではどちらが向いているのか
アパート売却において重要なのは、「大手か地域密着か」ではなく、物件と目的に合っているかどうかです。
判断の目安としては、次のように考えると分かりやすいでしょう。
- 都市部・需要が高いエリア
→ 投資家向け売却に強い大手または投資特化型業者が選ばれることが多い - 地方・エリア特性が強い物件
→ 地域事情に詳しい地域密着型業者が機能しやすい - 早期売却を重視
→ 買取や投資家ネットワークを持つ業者 - 価格を重視
→ 収益性を正しく評価できる仲介業者
重要なのは、会社の名前ではなく「アパート売却をどう考えているか」を業者から具体的に引き出すことです。その説明が、現実性や市場状況を踏まえて具体的で納得できる業者ほど、信頼できる可能性が高いと言えます。
札幌でアパート売却を相談できるおすすめ業者5選
札幌市内・近郊でアパート売却を検討している方向けに、投資用不動産の取扱実績やエリア特性を踏まえて相談しやすい業者を紹介します
株式会社リ・セール|収益性を踏まえたアパート売却に強い不動産会社
投資用不動産・事業用不動産の取引を中心に扱う不動産会社です。アパートの売却においても、単なる築年数や立地だけでなく、賃料状況や将来の収益性を考慮した査定・提案が期待できます。収益物件としての価値を重視して売却したいオーナーにとって、相談しやすい一社といえるでしょう。
公式サイトはこちら→ https://resale-net.net/
株式会社カチタス|築古・空室があるアパートの売却相談に対応
中古不動産の買取・再生を強みとする不動産会社です。築年数が古いアパートや空室が目立つ物件など、一般的な仲介では売却が難しいケースでも相談しやすい点が特徴です。スピード感を重視し、早期にアパートを現金化したい場合の選択肢の一つといえるでしょう。
公式サイトはこちら→ https://katitas.jp/
札翔住販株式会社|札幌エリアに密着したアパート売却サポート
札幌市および近郊エリアに根ざした地域密着型の不動産会社です。アパート売却においても、地域相場や周辺の賃貸需要を踏まえた提案が期待できます。大手にはない柔軟な対応や、地元事情に詳しい業者に相談したいオーナーに向いています。
公式サイトはこちら→ https://www.sassyou.jp/
株式会社CREST|投資用アパートの仲介に強い不動産会社
投資用不動産を中心に取り扱う不動産会社です。利回りや賃貸経営の状況を踏まえ、投資家目線での売却提案を行っている点が特徴です。収益物件としての価値を重視し、適正な価格でのアパート売却を目指したい場合に検討しやすい会社といえるでしょう。
公式サイトはこちら→ http://www.crest-realty.jp/
株式会社ウィンドワード|事業用・収益物件の売却実績が豊富
事業用不動産や収益物件を多く取り扱う不動産会社です。物件の特性やオーナーの売却背景を踏まえ、最適な売却スキームを提案できる点が強みです。投資家とのつながりを活かした仲介を重視したい場合、有力な選択肢の一つといえるでしょう。
公式サイトはこちら→https://windward-jpn.com/
アパートの売却でお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
エスプラスホームの公式サイトはこちら
アパート売却は「仲介」と「買取」どちらを選ぶべきか
アパート売却を進める際、必ず直面するのが「仲介で売るか」「買取で売るか」という選択です。
この選択を誤ると、「思ったより安く売れてしまった」「いつまで経っても売れない」といった後悔につながります。重要なのは、どちらが得かではなく、あなたの状況と優先順位に合っているかという視点で判断することです。
仲介業者に依頼する場合の特徴
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に入り、一般市場の中から買主を探す方法です。アパート売却では、投資家向けに販売活動を行うケースが一般的になります。
仲介の主な特徴
- 市場価格に近い、または条件次第で高値で売却できる可能性がある
- 複数の投資家から条件交渉を受けられる
- 売却価格を重視したい場合に向いている
一方で、次のような点は理解しておく必要があります。
- 買主が見つかるまで時間がかかることがある
- 融資審査の結果次第で契約が白紙になる可能性がある
- 売却完了までのスケジュールが読みづらい
仲介は、「多少時間がかかっても、できるだけ高く売りたい」という方に適した方法です。
買取業者に依頼する場合の特徴
買取とは、不動産会社や買取専門業者が、一般の買主ではなく自ら買主となるアパートを購入する売却方法です。 市場で個別の買主を探す必要がないため、手続きがシンプルでスピード感があります。 買取の大きな特徴は、売却条件が比較的早い段階で確定しやすいことです。
買取の性質を整理すると、次のようになります。
- 売却までの期間が短く、資金計画が立てやすい
- 内覧対応や価格交渉がほぼ不要
- 契約後に白紙解約になるリスクが低い
その反面、業者が再販や保有を前提に利益を見込んで購入するため、一般的には価格は仲介よりも難しくなりやすい点は理解しておく必要があります。
価格重視・スピード重視での選び方
ここで一度、「仲介」と「買取」の違いを判断軸ベースで整理しておきましょう。
この比較表は、読者が自分の状況を当てはめるための補助として使います。
| 判断軸 | 仲介 | 買取 |
| 売却価格 | 条件が整えば高くなりやすい | 仲介より低めになりやすい |
| 売却期間 | 読みにくい | 短期間で確定 |
| 手続きの負担 | やや多い | 少ない |
| 融資リスク | あり | ほぼなし |
| 向いている人 | 価格重視 | スピード・確実性重視 |
このように考えると、選び方はシンプルです。
- 多少時間がかかっても、できるだけ高く売りたい
→ 仲介が向いている - 相続・資金整理・期限付き売却など、早く確実に売りたい
→ 買取が向いている
実務では、「まず仲介で一定期間売却を試みて、反応が乏しい場合や期限が近づいてきた場合は買取に切り替える」という段階的な進め方が選ばれルコとも少なくありません。この柔軟な選択肢を最初から提示してくれるかどうかも、アパート売却に強い業者かどうかを見極める重要なポイントです。
業者によって査定額が違う理由と正しい見極め方
アパート売却の相談をすると、多くの方が最初に戸惑うのが「同じ物件なのに、業者ごとに査定額が大きく違う」という点です。ただし、これは稀なことではなく、アパート査定の考え方や前提条件が業者ごとに異なることが主な原因です。
ここでは、査定額がばらつく理由と、売主としてどのように見極めればよいのかを解説します。
アパート査定の仕組みと評価ポイント
アパートの査定は、戸建てや分譲マンションのように「相場価格」だけで決まるものではありません。
主に次のような要素を組み合わせて価格が算出されます。
- 現在の家賃収入と空室率
- 想定利回り(表面・実質)
- 修繕履歴や今後の修繕リスク
- 立地や周辺の賃貸需要
- 土地・建物の法的条件(用途地域、接道など)
業者によって、「収益性を重視するか」「土地値を重視するか」「将来リスクをどこまで織り込むか」といった判断が異なるため、査定額に差が生じます。特に投資家向けに売却する場合には、収益性をどう評価しているかが、査定額の根拠として重要になります。
相場より高すぎる査定額の注意点
査定額が高いと、つい「この業者が一番良い」と感じてしまいがちですが、相場からかけ離れた高額査定には注意が必要です。
高すぎる査定額が提示される背景には、次のようなケースがあります。
- とりあえず媒介契約を取りたい
- 最初は高く出し、後から値下げする前提
- 実際の売却戦略が明確でない
このような査定で売り出すと、
- 長期間売れ残る
- 投資家から敬遠される
- 結果的に相場以下で売れなくなる
といったリスクがあります。「なぜこの価格になるのか」を具体的に説明できない査定は、慎重に判断するべきです。
信頼できる査定かどうか判断する方法
信頼できる査定かどうかは、金額そのものよりも説明の中身を見ることが重要です。
判断のポイントとしては、以下の点を確認するとよいでしょう。
- 利回りや収支を数字で説明しているか
- 想定されるリスクも含めて話しているか
- 売却ターゲット(投資家像)が明確か
- 売却までの具体的な戦略を示しているか
これらの点を丁寧に説明してくれる業者ほど、「売れた後」まで見据えて査定をしている可能性が高いと言えます。
売却スピード・売却価格・手数料の違いを理解する
アパート売却では、「いくらで売れるか」だけでなく、どれくらいの期間で売れるのか、最終的にいくら手元に残るのかまで含めて判断することが重要です。業者によって売却方針が異なるため、スピード・価格・手数料のバランスも大きく変わります。
ここでは、それぞれの違いを整理しながら、後悔しない考え方を解説します。
早く売れる業者と高く売れる業者の違い
「早く売れる業者」と「高く売れる業者」は、 必ずしも同じとは限りません。これは、売却ターゲットと販売戦略が異なるためです。
早く売れる業者
- 既存の投資家ネットワークを活用する
- 買取や条件を抑えた価格設定を提案する
- 成約までの確実性を重視する
といった傾向があります。
高く売れる業者
- 市場価格を意識した強気の価格設定を行う
- 買主を広く募り、条件交渉の余地を残す
- 多少時間がかかることを前提に戦略を立てる
という考え方を取ります。
重要なのは、「早く売れる=悪い」「高く売れる=良い」ではないという点です。売却期限や資金計画によって、どちらを優先すべきかは変わります。
仲介手数料の仕組みと業者ごとの差
アパート売却を仲介で行う場合、成功報酬として仲介手数料が発生します。この手数料は法律で上限が定められており、原則として「売却価格×3%+6万円+消費税」が上限となります(1億円超の場合は別途計算)。
ここで注意したいのは、手数料の金額そのものよりも、その対価として何をしてくれるかです。
業者によっては、
- 投資家向け資料の作成
- 利回りシミュレーションの提示
- 価格調整や交渉の戦略立案
まで含めて対応するところもあれば、最低限の販売活動にとどまる業者もあります。
単に「手数料が安い」という理由だけで選ぶと、十分な販売活動を受けられず結果的に売却価格が下がり、手元に残る金額が減るケースもあるため注意が必要です。
条件交渉で注意すべきポイント
アパート売却では、価格以外の条件交渉が成約に大きく影響します。
代表的な交渉ポイントとしては、
- 引き渡し時期
- 修繕の有無
- 付帯設備や契約条件
などが挙げられます。
ここで重要なのは、業者が売主の立場に立って交渉してくれるかどうかです。条件交渉を安易に受け入れてしまうと、後から想定外の費用や手間が発生することもあります。
信頼できる業者であれば、「どこまで譲歩すべきか」「どこは譲れないか」を整理したうえで、売主にとって不利にならない現実的な着地点を提案してくれます。
アパート売却の流れと業者がやってくれること
アパート売却が初めての方にとって、「何から始めればいいのか」「自分はどこまで対応する必要があるのか」は大きな不安要素です。ここでは、業者選定から売却完了までの全体像を整理しながら、業者が担う役割とオーナー自身が関与すべきポイントを明確にします。
業者選定から売却完了までの全体像
アパート売却は、次のような流れで進むのが一般的です。
- 売却相談・査定依頼
- 業者選定・媒介契約の締結
- 売却活動(販売開始)
- 買主決定・条件交渉
- 売買契約の締結
- 引き渡し・決済
この中で特に重要なのが、❷業者選定 と ❸売却活動の段階です。ここで業者の力量差が顕著に表れ、売却価格や売却期間に大きな差が生じることが多いです。売主としては、「流れを完全に把握する」よりも、どのタイミングで何を判断すべきかを理解しておくことが重要です。
業者が対応する業務とオーナーの役割
アパート売却では、業者が対応してくれる業務が多く、オーナーがすべてを自分で進める必要はありません。
業者が主に対応する業務
- 売却価格の査定と根拠の説明
- 投資家向けの販売資料作成
- 買主の募集・問い合わせ対応
- 条件交渉・契約条件の調整
- 売買契約書類の作成サポート
一方で、オーナー側にも次のような役割があります。
- 物件情報(賃貸契約書・修繕履歴など)の提供
- 売却条件(価格・時期)の最終判断
- 契約内容の確認と意思決定
信頼できる業者ほど、「オーナーが判断すべきこと」と「任せてよいこと」を明確に整理し、どのタイミングで意思決定が必要か事前に説明してくれます。
売却完了までにかかる期間の目安
アパート売却にかかる期間は、物件の条件や売却方法によって大きく異なります。
一般的な目安としては、
- 仲介による売却:3〜6か月程度(市場環境により変動)
- 買取による売却:1〜2か月程度(現金買取の場合)
ただし、これはあくまで標準的なケースの目安であり、立地・築年数・空室状況・価格設定・市場環境によって前後します。重要なのは、「なぜこのスケジュールになるのか」を業者が説明できるかどうかです。
根拠のあるスケジュール提示ができる業者ほど、売却計画を現実的に進められる可能性が高いと言えます。
入居者がいるアパートは問題なく売却できる?
結論から言うと、入居者がいるアパートでも売却は問題なく可能です。むしろ投資家目線では、すでに家賃収入が発生している物件は「即時収益が見込めるアパート」として評価されやすく、条件が整っていればスムーズに売却できるケースも多くあります。
ただし、居住用不動産とは売却の考え方が異なるため、仕組みや注意点を理解したうえで進めることが重要です。
オーナーチェンジ物件として売却する仕組み
入居者がいるアパートは「オーナーチェンジ物件」として売却されます。これは、入居者との賃貸借契約を維持したまま所有者だけが変わる売却方法です。入居者は退去せず、買主は購入後すぐに家賃収入を得られるため、投資家にとって一般的な取引形態です。
オーナーチェンジ売却の特徴を整理すると、以下のようになります。
- 入居者はそのまま住み続ける
- 賃貸借契約は買主に引き継がれる
- 売却価格は立地や築年数だけでなく、家賃・入居率・利回りが重視される
- 実需向けではなく、投資家向け市場での売却になる
このため、投資用不動産の売却経験が乏しい業者では、適切な販売戦略を立てられないことがあります。
オーナーチェンジ物件の売却についてはこちらでも解説
入居者対応で業者に任せられる範囲
アパート売却時の入居者対応は、基本的に業者が中心となって進めます。オーナー自身が直接対応する場面は多くありません。業者が対応する主な業務と、オーナー側が関与するポイントを整理すると以下の通りです。
| 項目 | 業者が主に対応すること | オーナーが確認・判断すること |
| 買主への説明 | 賃貸借契約内容・家賃状況の説明 | 契約書・資料の提供 |
| 資料作成 | レントロール・管理状況の整理 | 情報の正確性確認 |
| 入居者対応 | 売却方法の検討・対応方針の助言 | 通知タイミングの最終判断 |
経験豊富な業者であれば、入居者に余計な不安を与えず、トラブルを避ける進め方を熟知しています。
トラブルを防ぐために事前に確認すべきこと
入居中アパートの売却でトラブルを防ぐためには、売却前の情報整理が欠かせません。特に以下のポイントは、買主が必ず確認する重要事項です。
- 賃貸借契約書の内容(更新条件・解約条件・家賃改定条項)
- 家賃の滞納や未収金の有無
- 修繕履歴、現在把握している不具合やクレーム
- 管理会社の有無と管理内容
これらを曖昧なまま売却活動を進めると、価格交渉が不利になったり、契約直前で話が流れる原因になります。事前に業者と一緒に情報を整理し、説明できる状態を整えておくことが、スムーズな売却につながります。
アパート売却にかかる費用・手数料・税金
アパート売却では「いくらで売れるか」だけでなく、最終的に手元にいくら残るのかを把握することが非常に重要です。売却価格が高くても、費用や税金を正しく理解していないと、想定より手取りが少なくなるケースも珍しくありません。ここでは、アパート売却時に発生する代表的な費用と税金を整理します。
仲介手数料以外にかかる主な費用
売却時に発生する費用は仲介手数料だけではありません。代表的な費用を一覧で整理すると以下の通りです。
| 費用項目 | 内容 | 目安 |
| 仲介手数料 | 成功報酬として業者に支払う | 売却価格の3%+6万円+税(上限) |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付 | 数千円〜数万円 |
| 抵当権抹消費用(司法書士報酬含む) | ローン残債がある場合 | 数万円程度 |
| 測量・書類取得費 | 必要な場合のみ | 数万円〜 |
特にアパートの場合、ローン残債があるケースや、相続物件で書類が不足しているケースも多いため、事前に業者と費用の全体像を確認しておくことが重要です。
譲渡所得税・住民税の基本的な考え方
アパートを売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税と住民税が課税されます。課税対象となるのは「売却価格」ではなく、**売却益(譲渡所得)**です。譲渡所得は以下の計算式で求められます。
- 譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)
さらに、所有期間によって税率が異なります。
- 所有期間5年以下:短期譲渡所得(得税39.63%+住民税9%=約48.63%)
- 所有期間5年超:長期譲渡所得(得税20.315%+住民税9%=約29.315%)
この違いだけで手取り額が大きく変わるため、売却タイミングの判断は非常に重要です。税金については、業者だけでなく税理士への相談も有効です。
手元に残る金額の簡易シミュレーション
実際の手取り額をイメージしやすくするため、簡易的なシミュレーション例を紹介します。
- 売却価格:5,000万円
- 仲介手数料:165万円(3%+6万円+税)
- 諸費用:35万円
- 取得費:2,500万円(想定)
- 譲渡結果:5,000万円-2,500万円-200万円=2,300万円
- 譲渡得税・住民税(長期):約674万円(29.315%)
- 最終手取り:約3,326万円
この場合、最終的な手取り額は約3,326万円となります。売却価格だけを見るのではなく、費用と税金を差し引いた「実質的な着地金額」を基準に判断することが、後悔しないアパート売却につながります。
アパートの売却に関連する情報についてはこちらでも解説
アパート売却でよくある失敗・後悔事例
アパート売却は金額が大きく、やり直しがきかない取引です。そのため「もっと調べておけばよかった」「別の業者に頼めばよかった」と後悔するケースも少なくありません。ここでは、実際によくある失敗事例をもとに、注意すべきポイントを整理します。
業者選びで失敗したケース
アパート売却でよくある失敗の一つが、「業者の専門性を十分に把握せずに依頼してしまった」ケースです。特に、居住用不動産の売却経験は豊富でも、投資用不動産の知識が乏しい業者を選んでしまうと、売却活動がうまく進みません。
実際に多い失敗パターンを整理すると、次のような傾向があります。
- 知名度や営業トークだけで業者を選んでしまった
- アパート売却の実績や事例を確認しなかった
- 利回りや収益性の説明が曖昧なまま販売を開始した
- 投資家向けの販売ルートを持っていなかった
このような業者に依頼すると、物件の魅力が正しく伝わらず、結果として売却期間が長期化したり、価格交渉で不利になる可能性が高まります。アパート売却では「売却経験の多さ」ではなく、「投資用不動産に強いかどうか」を軸に判断することが重要です。
査定額だけで決めて後悔したケース
複数の業者に査定を依頼した際、最も高い査定額を提示した業者を選んでしまい、結果的に後悔するケースも少なくありません。高額査定そのものが悪いわけではありませんが、その根拠を確認しないまま契約するとリスクがあります。
よくある流れをまとめると、次のようなパターンです。
- 相場より高い査定額を提示される
- 「この価格でいけます」と強く勧められる
- 一定期間売れず、値下げを繰り返す
- 最終的に当初想定より低価格での成約となる
この場合、最初から現実的な価格設定で売り出していれば、もっと早く、条件の良い形で売却できた可能性があります。信頼できる業者は、査定額の「高さ」だけでなく、なぜその価格になるのか、どの層にどう売るのかを具体的に説明します。査定額を見る際は、金額そのものよりも「根拠」と「販売戦略」を重視することが重要です。
注意すべき営業トークの例
アパート売却では、耳触りの良い営業トークに注意が必要です。特に以下のような言葉が出た場合は、具体的な根拠を必ず確認しましょう。
- 「この価格ならすぐに売れます」と断言する
- 「投資家の買い手がすでにいます」と具体的な投資家像や条件を詳細に示さない
- 「他社より高く売れる自信があります」と理由を説明しない
信頼できる業者ほど、メリットだけでなくリスクや想定される課題も正直に説明します。都合の良い話だけを強調する業者には慎重な姿勢が必要です。
ケース別|あなたに合ったアパート売却業者の考え方
アパート売却と一口にいっても、オーナーの状況によって最適な業者は異なります。相続、空室率、築年数、ローンの有無など条件が違えば、重視すべきポイントも変わります。ここでは代表的なケース別に、どのような業者を選ぶべきかを解説します。
相続したアパートを売却したい場合
相続したアパートを売却する場合は、通常の売却とは異なり、相続特有の手続きや判断が必要になります。名義変更が未了、取得費が不明、共有名義になっているなど、売却前に整理すべき課題が多いため、相続案件に慣れている業者かどうかが結果を大きく左右します。
相続アパート売却で業者を見極める際は、以下の観点で確認すると判断しやすくなります。
| 確認ポイント | なぜ重要か | チェック方法 |
| 相続物件の売却実績 | 相続特有のトラブルを把握している | 過去事例・相談件数を聞く |
| 名義・権利関係の整理力 | 売却前の手続きでつまずきやすい | 登記や共有名義への対応説明 |
| 専門家との連携 | 税務・登記で判断が必要になる | 税理士・司法書士との連携有無 |
| 税金への理解 | 譲渡所得税の計算が複雑 | 税金の説明が具体的か |
相続アパートの売却では、「高く売れるか」以上に「スムーズに手続きが完了するか」「後から問題が起こらないか」が重要です。相続の背景を理解したうえで、売却までの流れを具体的に示してくれる業者を選ぶことが、後悔しない売却につながります。
空室が多い・築年数が古いアパートの場合
空室が多い、または築年数が古いアパートは、一般的な居住用目線では評価されにくい一方で、再生や運用改善を前提とする投資家にとっては十分に検討対象になります。そのため、物件の弱点を理解し、それを前提とした売却戦略を立てられる業者を選ぶことが重要です。
このケースで業者を見極める際は、以下の観点で比較すると判断しやすくなります。
| 確認ポイント | なぜ重要か | 見極め方 |
| 築古・空室物件の実績 | 一般売却が難しい物件に慣れている | 類似物件の売却事例を確認 |
| 収益改善前提の査定 | 利回り再構築を想定できる | 再生後の想定収支を説明できるか |
| 仲介・買取の選択肢 | 早期売却が必要な場合に有効 | 両方の提案があるか |
| 投資家への販売力 | 実需向けでは売れにくい | 投資家ネットワークの有無 |
築古・空室多め物件では、「欠点をどう隠すか」ではなく「どう価値を再評価するか」を説明できる業者ほど、現実的な価格とスピード感のある売却が期待できます。
ローンが残っているアパートを売却する場合
ローンが残っているアパートの売却では、売却価格と残債のバランスが最大の判断ポイントになります。金融機関との調整が必要になるケースも多いため、ローン付き物件の売却経験がある業者かどうかが非常に重要です。
このケースで確認すべきポイントを整理すると、以下の通りです。
| 重視すべき点 | 重視する理由 | 確認方法 |
| 残債処理の経験 | 抵当権抹消が必須 | 具体的な流れを説明できるか |
| 金融機関との調整力 | 売却条件に影響する | 金融機関対応の実績有無 |
| 任意売却の知識 | 残債超過時の選択肢 | 任意売却の説明ができるか |
| 現実的な価格提案 | 残債超過リスクを考慮した価格設定となる | 成約前提の価格根拠があるか |
ローン残債がある場合は、「売れるかどうか」以上に「ローン完済と当権抹消が確実に完了するか」が重要です。金融機関との調整も含めて任せられる業者を選ぶことで、精神的・実務的な負担を大きく減らすことができます。
アパートの売却業者についてよくある質問
アパート売却を検討する中で、「業者選び」「相場感」「進め方」について多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。ここでは、実際に相談の多い質問を中心に、アパート売却業者を選ぶうえで知っておきたいポイントを分かりやすくまとめました。初めての方も、最終確認としても参考にしてください。
アパート1棟の売却相場はいくらですか?
アパート1棟の売却相場は、立地・築年数・戸数・入居率・利回りによって大きく異なります。明確な全国相場はなく、数千万円〜数億円まで幅があります。正確な金額を知るには、投資用一棟物件に強い業者へ複数査定を依頼するのが最も確実です。
やめた方がいい不動産屋の特徴は?
以下のような業者には注意が必要です。
- 査定額の根拠を説明できない
- 投資用不動産の実績が乏しい
- メリットばかりでリスクを説明しない
- 「必ず売れる」と断言する
信頼できる業者ほど、デメリットや注意点も正直に説明します。
アパート売却で不動産屋が一番嫌がることは何ですか?
物件情報が整理されていないことです。賃貸借契約書、家賃入金状況、修繕履歴が不明確だと、売却活動がスムーズに進みません。売却前に資料を整えておくことで、業者・買主双方からの評価が上がります。
不動産の売却は誰に相談すればいいですか?
基本は投資用一棟売買に強い不動産会社です。相続や税金、ローンが絡む場合は、税理士や司法書士と連携できる業者を選ぶと安心です。
アパート売却は何社くらいに査定を依頼すべきですか?
2〜3社程度が適切です。数よりも、投資用不動産に強い業者を含めることが重要です。査定額だけでなく、説明の分かりやすさや販売戦略も比較しましょう。


