不動産売却のコツ

2025.03.31

札幌のサブリース契約アパートは売却できる?手順や注意点について解説します。

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サブリース契約とは

サブリース契約とは

サブリース契約とは、不動産オーナーが所有するアパートなどの賃貸物件を、不動産管理会社(またはサブリース会社)が一括で借り上げ、その物件を第三者(入居者)に転貸する契約形態のことを指します。

つまり、オーナーは空室の有無にかかわらず、毎月一定額の家賃収入が得られる仕組みになっています。サブリース契約は「家賃保証」「空室リスク軽減」「手間や労力の軽減」といったメリットから、不動産投資初心者や高齢のオーナーから多く支持されています。

 

契約期間は通常10年〜30年などの長期となることが多く、その間に家賃の見直しや契約更新が行われるケースもあります。一見すると安定した収益が得られる理想的な契約に思われがちですが、実際には契約内容によっては家賃減額や途中解約の困難さ、修繕費負担の曖昧さなど、多くの注意点が潜んでいます。

特に札幌のようにエリアによって空室率や地価が異なる都市では、契約条件によってはオーナーに不利になることもあるため、契約前の内容精査が極めて重要になります。

サブリース契約のメリットとデメリット

サブリース契約の最大の魅力は「家賃収入の安定性」です。空室が発生しても、管理会社から定額の家賃が支払われるため、収益のブレが少なく、特に不動産経営の経験が浅い方にとっては安心感があります。

また、入居者対応や集金・クレーム対応といった煩雑な業務をサブリース会社が一括して行ってくれる点も大きなメリットです。

札幌でも、冬季の除雪や設備トラブル対応など、地域特有の管理負担があるため、こうした業務を外注できることは利点といえるでしょう。

 

一方で、デメリットも多く存在します。特に問題となるのが「家賃の減額リスク」です。

契約当初は高めの家賃設定でも、築年数の経過や市場変化に伴い、サブリース会社から「家賃を下げさせてほしい」と交渉されることがあります。

また、契約解除には6ヶ月〜1年の猶予期間や違約金が発生するケースも少なくありません。

さらに、物件の管理状態や修繕費用の分担が不明確な契約もあり、思わぬ出費につながる可能性もあります。

札幌では寒冷地ならではのメンテナンス費用が発生しやすく、契約条件によってはオーナーの負担が重くなることもあるため、契約時には慎重な判断が求められます。

札幌のサブリース契約のアパートを売却する方法

サブリース契約のアパートの売却は難しい

サブリース契約があるアパートの売却は、一般の賃貸アパートと比べて難易度が高いとされています。その主な理由は、契約の引き継ぎ条件や契約解除の制限、家賃保証の不透明さなどにあります。買主がサブリース契約を継承する必要がある場合、契約条件が投資利回りに見合わないと判断され、購入を避けられてしまうことが少なくありません。

 

札幌市内の例では、築15年の2階建てアパートがサブリース契約付きで売却に出された際、年間保証賃料が近隣相場よりも明らかに低く、買主候補が敬遠したケースがありました。

また、契約解除にあたって高額な違約金(家賃の6ヶ月分相当)を求められたため、売主側の利益が圧迫され、最終的には売却を断念せざるを得なかったという事例もあります。

このように、サブリース契約があること自体が「売りにくい物件」と判断される傾向にあるため、売却を検討する際には契約書を細かく確認し、状況に応じて適切な専門家に相談する必要があります。

サブリース契約を解除して売却する

サブリース契約付きのアパートを売却する際、最も一般的かつ効果的な方法のひとつが「契約を解除してから売却する」方法です。

この方法は、買主がサブリース契約を引き継がずに済むため、購入判断のハードルが下がるというメリットがあります。

特に投資家や不動産業者の多くは、自由に家賃設定や入居者募集ができる「管理自由度」の高い物件を好むため、サブリース契約がない状態の方が売却が成功しやすくなるといえます。

 

ただし、サブリース契約を解除するためには、契約書に記載された解除条項を厳密に確認し、適切な手続きをとる必要があります。多くの場合、6ヶ月前〜1年前の予告期間が設けられており、違約金が発生するケースも少なくないため注意が必要です。

たとえば、札幌市豊平区で築20年のアパートを相続した所有者が、売却を目指してサブリース契約を解除しようとしたところ、「残存契約期間の家賃6ヶ月分」の違約金が必要とされ、予定よりも数百万円高い出費となったという例があります。

 

また、契約解除後に空室が出ると、売却前に家賃収入が減少するリスクもあるため、売却活動とタイミングを慎重に調整することが求められます。

札幌のように季節によって賃貸需要が変動する地域では、解除後すぐに売却できるよう準備を進めておくことが重要です。

契約解除を検討する際は、事前に不動産会社などの専門家に相談し、収支シミュレーションや法的なアドバイスを受けることをおすすめします。

サブリース契約を維持して売却する

一方で、サブリース契約を維持したまま売却するという選択肢もあります。これは、買主が既存のサブリース契約を引き継ぐ形でアパートを購入する方法です。

契約解除によるトラブルや費用が発生しないため、売主にとっては手間や負担が少ないのが大きなメリットです。

また、物件によっては「家賃保証付き」「管理業務委託済み」という状態が好まれることもあり、特に初心者の投資家や遠方在住の購入者にとっては魅力的に映ることもあります。

 

しかしながら、この方法には明確なデメリットも存在します。

最大の懸念は、買主がサブリース契約の内容を確認し、不利と感じた場合に購入を見送るリスクです。

札幌市中央区で売却を検討した築30年のアパートでは、サブリース契約の家賃が周辺相場より20%低く、家賃の見直し条項も買主に不利な内容だったため、複数の購入希望者から断られ、最終的に大幅な価格見直しが必要となりました。

 

さらに、買主が契約内容を変更したいと考えても、サブリース会社側が応じないケースも多く、売却後のトラブルの元になることもあります。

そのため、契約内容を開示し、買主が安心して継承できるようにすることが不可欠です。契約書の写しやサブリース会社との交渉履歴などを整理しておくと、スムーズな売却につながりやすくなるでしょう。

サブリース契約を維持した売却を選ぶ場合は、サブリースのノウハウがある不動産会社に仲介を依頼し、買主候補に丁寧に情報提供できる体制を整えることが成功の鍵となります。

サブリース契約のアパートを売却する流れ

サブリース契約のアパート売却の準備

サブリース契約があるアパートを売却する場合、まず最初に行うべきなのが「契約内容の確認」と「必要書類の整理」です。これは売却全体の成功を左右するとても重要なステップといえます。

サブリース契約書には、契約期間、解除条件、家賃保証額、修繕責任の所在、更新の有無などが記載されており、このような情報が明確でなければ、売却先に対して十分な説明ができません。

 

札幌市北区の例では、アパートの相続人が契約内容を把握していなかったため、売却の際にサブリース契約の存在を買主に伝え忘れ、契約直前に破談になったケースがありました。こうした事態を避けるためにも、まずは管理会社またはサブリース会社から最新の契約書を取り寄せ、内容を精査しましょう。

 

次に行うべきは、アパート自体の情報収集です。

登記簿謄本、固定資産税評価証明書、建物図面、過去の修繕履歴、現行の家賃明細書など、物件の価値を客観的に示す書類を準備しておくと、査定時や購入検討時に信頼性が高まります。

また、札幌市のように気候条件が厳しく建物への負担が大きい地域では、冬季のメンテナンス状況や設備更新履歴の記録も買主から注目されやすいため、積極的に開示できるようにしておきましょう。

 

さらに、売却を依頼する不動産会社選びも準備段階で重要です。サブリース付き物件に精通した不動産会社でなければ、契約構造やトラブル回避策の説明が不十分になり、売却が滞る原因になります。複数社に無料査定を依頼し、投資家向け物件の仲介に実績がある不動産会社を選びましょう。

サブリース契約の解除まで

サブリース契約を解除してから売却を目指す場合、契約解除の手続きには時間と慎重な対応が求められます。

まずは「契約書に記載されている解除条件の確認」を確認しましょう。サブリース契約は通常、「○ヶ月前に書面で通知すること」といった条項が設けられており、これを守らないと違約金が発生したり、解除が無効とされることもあります。

 

例えば札幌市白石区でアパートを所有していたオーナーが、契約書に記載されていた「解除通知は6ヶ月前までに行うこと」という条件を見落としてしまい、予定していた売却時期に間に合わなかったという事例もあります。

そのため、契約解除の意思が固まった段階で、速やかに「契約解除通知書」を作成し、内容証明郵便など法的に証拠が残る方法で通知するのが安全です。

 

解除通知書には、以下の情報を明記する必要があります。

・契約解除の意志

・契約解除希望日

・アパートの物件情報(住所、登記情報)

・オーナーの署名・捺印

 

この通知を行った後、解除期日までにサブリース会社とのやり取りが続くことも想定されます。たとえば、契約解除を阻止するために家賃条件を見直す提案を受けることもありますが、売却を優先する場合は冷静に断る判断力が求められます。

また、解除後に発生する空室のリスクを見越して、売却活動のスケジュールも慎重に組み立てましょう。

 

契約解除前後でのトラブルを防ぐためには、不動産に強い弁護士などに文面の確認を依頼するのも一つの方法です。法的トラブルを回避しながら、確実でスムーズな契約解除を進めましょう。

サブリース契約の解除からアパート売却まで

契約解除が完了した後は、いよいよアパートの売却活動に入りますが、ここでも注意すべきポイントがいくつかあります。

まず、サブリース契約が解除された状態であれば、買主にとっては「自由に運営できる物件」として魅力が高まりやすく、販売価格の引き下げを最小限に抑えられる可能性があります。

 

ただし、サブリース解除後に空室が発生した場合は「空室リスク」が表面化するため、札幌のように季節によって賃貸需要が変動するエリアではタイミングを見極める必要があります。

例えば札幌市東区の事例では、2月にサブリース契約を解除し、4月の新生活需要を狙って売却を開始したことで、通常よりも高値で売却に成功したという例もあります。

 

売却活動では、買主に対して物件の価値や状態、今後の賃貸運用の可能性を丁寧に説明することが重要です。

そのために、以下のような準備をしておきましょう。

 

・建物の修繕履歴と状態チェック

・近隣エリアの家賃相場と収益性分析

・入居率の実績や運営状況の報告

 

また、査定額を出す際にはサブリース契約時の家賃ではなく、市場家賃ベースでの想定利回りが基準になることが多いため、販売戦略の設計には信頼できる不動産会社のアドバイスが不可欠です。

 

売却価格を決めるうえでは、「相場価格」「修繕履歴」「立地特性」「空室リスク」など複合的な要素をふまえる必要があります。

価格設定を高くしすぎると売れ残るリスクがあり、逆に低すぎると損失を被るため、複数社からの査定を取得して、相場に合った適正価格を見極めましょう。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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