家の売却時の税金と聞くと、どのような税金がかかり、どの程度の出費になるのかが気になる方も多いでしょう。
家を売却するときには、不動産特有の税金や手続きが発生しますが、実は上手に控除や特例を活用すれば、税負担を軽減できるケースもあります。
本記事では、札幌で家を売却する際に知っておきたい税金の基礎知識、活用できる控除・特例、そして節税に役立つポイントをわかりやすく解説していきます。
目次
家を売却するとかかる税金の種類
家を売却するときに発生しやすい代表的な税金は、大きく分けて「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」「住民税」の4つです。
それぞれ課税のタイミングや計算方法が異なるため、まずは概要を押さえておきましょう。
印紙税
印紙税は、家の売買契約書などの課税文書を作成する際に貼付する「収入印紙」によって納める税金です。
売買契約金額に応じて税額が変動し、数千円から数万円になることもあります。
とくに高額取引の場合は印紙税が大きな負担となりやすいので、見積もりの段階で計算しておくと安心です。
登録免許税
登録免許税は、不動産の所有権移転登記を行う際に必要となる税金です。
通常、売却の場合は買主が支払うのが一般的ですが、売主が負担するケースもまれにあります。
税率は固定ではなく、登記の種類や不動産の評価額によって変わります。
中古物件の場合や特例が適用されるケースでは税率が軽減されることもあるので、具体的な負担額は不動産会社と相談しながら把握するとよいでしょう。
譲渡所得税
家を売ったことによる譲渡所得(売却益)がある場合に課されるのが、譲渡所得税です。
実際には、所得税と住民税、復興特別所得税を合わせて納めることになります。
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
取得費
購入時の代金や仲介手数料、リフォーム費用など
譲渡費用
売却にかかった仲介手数料、印紙税、測量費など
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とみなすことができます。
さらに、家の所有期間によって税率が変わり、5年以下の短期譲渡と5年超の長期譲渡で大きく異なる点が特徴です。
住民税
譲渡所得に対しては、住民税も課税されます。
通常の給与所得などに対する住民税とは別に、譲渡所得分の住民税が加算されるイメージです。
確定申告を行うと、そのデータをもとに住民税が計算され、翌年度分として納付することになります。
札幌で家を売却時に適用される控除・特例
家の売却には大きな税金がかかるケースもありますが、一定の条件を満たすことで適用される控除や特例があります。
札幌でマイホームを売却する方にとっては、特に以下の制度を知っておくと節税につながる可能性が高いでしょう。
3,000万円特別控除
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が適用されることがあります。
主な要件としては、「売却した物件を居住用として使っていたこと」や「配偶者や直系の親族など特別な関係者への売却ではないこと」などがあります。
この3,000万円特別控除を受けるには、確定申告の際に必要書類を揃え、所定の手続きを踏む必要があるため、期限切れに注意しましょう。
空き家の3,000万円特別控除
親から相続した空き家を売却する場合など、一定の要件を満たすと空き家の3,000万円特別控除が利用できます。
これは、被相続人が一人暮らししていた住宅を相続したケースが想定されており、築年数や耐震基準など、詳細な条件が定められています。
札幌では古い木造住宅も多く存在し、空き家として残されているケースも珍しくありません。活用できそうな場合は、制度要件をよく確認してみましょう。
所有期間が10年を越える家の軽減税率特例
譲渡所得にかかる税率は、短期譲渡(5年以下)と長期譲渡(5年超)で異なるだけでなく、さらに所有期間が10年を超える居住用財産を売却する際には軽減税率が適用される特例があります。
一般的な長期譲渡所得よりも低い税率で課税されるため、譲渡所得が大きい場合には大幅な節税になる可能性があるでしょう。
マイホームの買換え特例
マイホームを売却して新しい家を購入する場合に、一定の条件を満たせば買換え特例を利用できることがあります。
買換え先の物件価格が売却価格以上であるなど、いくつかの要件がありますが、この特例によって譲渡所得の課税が繰り延べされます。
ただし、繰り延べは永久に免除されるわけではなく、将来買換え先の家を売却した際に課税が生じる点に注意が必要です。
譲渡損失が発生したときの税金対策
家を売却した結果、売却価格が購入時よりも低く、譲渡損失が発生する場合があります。
一定の条件を満たせば、この損失を給与所得などと相殺したり、翌年以降に繰り越したりできる制度があります。
例えば、まだ住宅ローンが残っている状態で家を売却し、損失が生じた場合などに適用可能な特例が用意されています。
ただし、すべてのケースで適用できるわけではないので、条件をよく確認してください。
札幌で家を売却する際の節税ポイント
札幌で家を売るときには、上記の特例を適切に活用するほか、日ごろの書類管理や売却時期の見極めなど、さまざまな視点で節税対策を進められます。
取得費や譲渡費用をしっかり計上する
譲渡所得の計算式で示したように、売却益(譲渡所得)は「売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた額」として算出されます。
取得費
購入時の代金、仲介手数料、登記費用、リフォーム費用など
譲渡費用
売却時の仲介手数料、印紙税、測量費用、解体費用など
これらの費用を計上することで、課税対象となる譲渡所得が減少し、結果的に支払う税金を抑えられます。
古い領収書や契約書などを整理しておくことが大事です。
5年超・10年超を機に売却する
家の所有期間が5年を超えれば長期譲渡に区分され、短期譲渡に比べて税率が優遇されます。
さらに10年を超える場合には軽減税率特例が適用される可能性が高まるため、もし余裕があるなら売却時期を調整するのも一つ。
もちろん不動産市場の動向や家族のライフイベントも踏まえなければなりませんが、将来的に大きな節税効果を得られるかもしれないので検討の価値はあります。
ふるさと納税などの活用
家を売却したことで譲渡所得が増える場合、翌年課税される住民税の額も上がる可能性があります。
こうしたタイミングでふるさと納税を活用すれば、一定の寄附金控除を受けられ、住民税を軽減できるケースがあります。
ただし、ふるさと納税には上限額があるため、寄附金のしすぎで損をしないよう注意が必要です。
売却益が大きい場合でも、必ず事前にシミュレーションしてから寄附金額を設定するようにしましょう。
札幌の信頼できる不動産業者に売却を依頼する
税制の適用可否や売却時期の見極めなどは、個人で十分に把握しきれない場合も少なくありません。
そこで、札幌エリアに精通した不動産会社に仲介を依頼し、状況に応じたアドバイスを受けることが大切です。
また、売却価格自体の設定にも専門知識と経験が欠かせません。
高すぎると買い手がつかず、安すぎると損をしてしまうため、適切な査定と販売戦略を組み立てる業者を選ぶと節税効果にも直結しやすいでしょう。
札幌の家売却時の税金に関するよくある質問
Q1. 確定申告は必ず必要なの?
- マイホームを売却して3,000万円特別控除を受ける場合や、譲渡所得が発生している場合には基本的に確定申告が必要です。
控除を使わない場合でも、売却による所得が生じたら申告を行わなければならないケースがあります。
Q2. 札幌で空き家を売るとき、3,000万円特別控除は使える?
- 条件を満たせば、空き家の3,000万円特別控除が利用可能です。
築年数や耐震基準、被相続人の居住実態など細かな要件があるので、事前に確認が必要です。
Q3. 住宅ローンが残っている場合の譲渡損失はどう扱う?
- 住宅ローンが残った状態で家を売却し、売却額がローン残高を下回ると譲渡損失が発生することがあります。
一定の条件を満たせば、損失を給与所得などと相殺できる特例があるため、該当しそうな場合は検討してみてください。
Q4. 買い替えで繰り延べになった税金はどうなる?
- マイホームを買い替えた際に特例で課税を繰り延べした場合、次にその買い替え先の家を売却するときに本来の税金が発生します。
永久的に免除されるわけではない点に注意しましょう。