空き家のこと

2024.02.29

空き家の維持費はいくらが相場?具体的な費用と節約のコツ

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空き家の維持には、水道代や光熱費、保険など様々な費用がかかります。

この管理を怠ると悪臭や害獣の繁殖、倒壊の恐れもあることから、空き家の不適切管理には法的な処分も行われています。

 

空き家とは?

一戸建の住宅や、アパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる住宅において、ふだん人が居住していない住宅。

ー総務省ホームページより引用

 

今回の記事では、空き家の維持費について詳しく説明します。

維持費用の詳細はもちろん、具体的な価格や計算方法、空き家の維持費を抑えるコツまで解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

空き家の維持費用

空き家の維持費用の相場と内訳

空き家の維持には、年間おおよそ35〜50万円が必要だと言われています。

この金額には、固定資産税や都市計画税といった税金のほか、水道代や電気代が含まれます。

 

1年間の維持費用について、具体的な内訳は以下のとおりです。

(例)小規模住宅の空き家、土地の固定資産税評価額:1,000万円、建物の固定資産税評価額:500万円の場合

計算方法
土地の固定資産税 土地の固定資産税評価額×1.4%×1/6または1/3 2.35万円
土地の都市計画税 土地の固定資産税評価額×1.4%×1/3または2/3 7万円
建物の固定資産税 建物の固定資産税評価額×0.3%×1/6または1/3 1万円
建物の都市計画税 建物の固定資産税評価額×0.3%×1/3または2/3 1.5万円
水道代 月額基本使用料×12か月 2.04万円
電気代 月額基本使用料×12か月 1.2万円
火災保険 月額×12か月 12万円
地震保険 月額×12か月 4万円
管理委託料 月額×12か月(月5,000~10,000円が相場) 6万円
維持費用の合計 約37.1万円(年間)

※お住まいの地域や保険会社などによって、金額は異なります。

実際の維持費は、空き家の大きさや土地面積の広さ、火災保険や地震保険への加入、管理業者への委託などの条件に応じて変化します。

 

所有する空き家の維持費を計算したい時は、まず「小規模住宅用地」もしくは「一般住宅用地」に該当するか確認しましょう。

この2つは特例として優遇措置があり、維持費用を安く抑えられます。

小規模住宅用地 一般住宅用地
面積 土地面積が200㎡以下 土地面積が200㎡以上
固定資産税 1/6 1/3
都市計画税 1/3 2/3

小規模住宅用地は、固定資産税が固定資産税評価額×1.4%×「1/6」、都市計画税が固定資産税評価額×0.3%×「1/3」になります。

一般住宅用地は、土地・建物の固定資産税評価額×1.4%×「1/3」、固定資産税評価額×0.3%×「2/3」です。

空き家の維持費用の目安

ここでは、維持費用の目安として具体的な金額や計算方法をご紹介します。

1.固定資産税

固定資産税とは不動産を持っている期間に支払うもので、空き家の維持に欠かせない税金です。

実際の固定資産税は「固定資産税評価額」に基づいて計算されます。

<固定資産税の計算式>

固定資産税評価額(※)×1.4%

※固定資産税納税通知書に記載されている金額です。

特例の小規模住宅用地と一般住宅用地は、「固定資産税評価額×1.4%」に1/6または1/3をかけた額で算出されます。

2.都市計画税

都市計画税は、市街区域で課税される税金です。

この税金も、固定資産税と同様に「固定資産税評価額」に基づいて計算されます。

<都市計画税の計算式>

固定資産税評価額(※)×0.3%

※固定資産税納税通知書に記載されている金額です。

小規模住宅用地と一般住宅用地は特例のため、「固定資産税評価額×0.3%」に1/3または2/3をかけた額で算出されます。

3.水道光熱費

不動産が空き家になった場合も、管理に必要な水道、電気、ガスなどの契約は続けましょう。

特に、水道管は水を完全に止めると劣化・悪臭・錆びの原因になるため、無駄な出費を招いてしまう可能性もあります。

具体的な料金はお住まいの場所や契約内容によって異なりますが、1年間で約3万円程度が目安です。

節約するためには、プランの見直しを行いましょう。

例えば、電気代の場合は最もアンペア数が低いプランに切り替えるなどして基本料金を抑えることができます。

4.火災保険料

空き家を維持する際は、普通火災保険もしくは総合保険への加入がおすすめです。相場は月額1万円です。

空き家は空き巣や放火に狙われやすく、住宅物件の頃の保険ではカバーしきれないトラブルに遭う可能性があります。

住人がいなくなったタイミングで保険の切り替えを検討しましょう。

5.修繕費用

人が住んでいない空き家でも、修正費用が必要です。

なぜなら、明らかに管理されていない空き家は、空き巣に入られやすくなったり、不法侵入される可能性が高くなったりするためです。

修繕費用の相場は、2階建ての外装や屋根の修復費で1回約40万円以上。

築年数にもよりますが、外装や屋根は10年ごとの修繕が必要だと言われています。

空き家の維持費の中でも高額ですが、いつか売却する可能性を考えると、定期的にメンテナンスをして綺麗に保つ必要があります。窓ガラスの破損や外装の劣化をそのまま放置すると、将来の買取額が大きく下がってしまいます。

6.雑草や庭木のメンテナンス費用

庭や花壇がある場合は、定期的な草刈りや庭木の剪定が必要です。

特に、空き家が遠方にあったり庭が広い場合は、業者への依頼がおすすめです。

依頼費用は庭の状態によって変わりますが、相場は以下の通りです。

  • シルバー人材センター:1日5,000円以上
  • 民間業者:1日20,000円以上

一方、空き家が近隣にある方、小さな庭や花壇のみの場合は、自分でメンテナンスすることもできます。

この場合、空き家まで行く交通費やメンテナンスに必要な道具の購入代金も考慮しましょう。

7.交通費

遠方に住んでいると、空き家までのガソリン代や交通費、宿泊費がかかります。

仮に、自分が東京在住で、空き家が北海道にある場合は、交通費だけで片道2~3万円ほど必要です。

さらに、空き家の交通アクセスが悪いとレンタカーが必要な場合もあります。

空き家の維持を考える際は、実際に立ち合いが必要な場合の交通費や宿泊費も考慮しましょう。

8.管理費

空き家の管理は専門業者に依頼できます。

管理会社に依頼すると、通常は1か月に1回程度空き家を訪問して外装と内装をチェックしてくれます。

依頼費用はサービス内容や場所によって異なりますが、月5,000円から1万円です。

9.不法投棄されたゴミの処分費

空き家には、ゴミが不法投棄される可能性があります。

もちろんゴミの不法投棄は犯罪ですが、犯人が分からない場合は空き家の所有者がゴミを処分しなければいけません。

万が一、電化製品や粗大ゴミは不法投棄されてしまった場合は、処分費が数千〜数万円になることもあります。

明らかに人が住んでいない外観や草木が管理されていない状態では、不法投棄される可能性が上がってしまうため、不法投棄の被害を防ぐためにも空き家の外観をきれいに保ちましょう。

空き家の維持における注意点

近隣トラブル

空き家は維持が難しいだけではなく、近隣住民とのトラブルになる可能性もあります。

  • 不審者の不法侵入によって治安が悪化した
  • ゴミの不法投棄による放火・火災が発生した
  • 庭の手入れ不足によって害虫が増えた
  • 外装が壊れ、近隣への被害をもたらした

実際にこのような近隣トラブルが起きると、法的責任をとるのは空き家の所有者です。

例えば、空き家が古く屋根や壁が倒壊した場合、近隣の家へのダメージを損害賠償として支払わなければなりません。

しかし、近隣トラブルは「空き家の丁寧な管理」で防げます。

庭の景観や空き家を劣化させないためにも、管理会社に委託するなどして日頃からメンテナンスを行いましょう。

特定空家への指定

空き家の著しい劣化や不適切管理は、放置しておくと税制面の負担が大きくなります。

これは、自治体が空き家を「特定空家」に指定したときに、納税の控除がなくなるという制度です。

まず特定空家とみなされた空き家の所有者には助言・指導が書かれた通知書が届きます。それでも改善しない場合、空き家は住宅用地特例から除外され、固定資産税額が最大6倍となるのです。

国土交通省によると、特定空家とは以下の4つに当てはまる建物のことです。

  1. そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

指定を防ぐためには、上記の4つの項目を満たさないように管理しましょう。

勧告された場合は、指定箇所の修繕を行うと特定空家の指定を解除できます。

空き家の維持以外の選択肢

空き家の維持費用を考えると、維持以外の選択肢が良い場合もあります。

ここでは、空き家の「維持」以外の選択肢をご紹介します。

売却する

空き家は「売却する」という方法もあります。

売却すると年間約35~50万円かかる維持費用がゼロになるほか、売却金額によっては利益を得ることもできます。

売却のコツは、しっかり査定をすることです。空き家の築年数など建物全体の状態を調べ、建っている場所の不動産価格を把握しましょう。ネットでできる簡易査定であれば、その日のうちに結果が分かります。さらに詳しく知りたい場合は不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。

また、空き家の売却には、空き家付きの不動産として売る場合空き家を解体して更地で売る場合があります。空き家の現状や解体費用、希望価格によって選び方は異なります。

空き家を高く売るコツは、3年以内に売ること。空き家は時間の経過とともに価値が下がるため、人が住まなくなったら出来るだけ早く決断すると良いでしょう。

賃貸に出す

空き家は、人が住める状態であれば賃貸に出すこともできます。

入居者の家賃として賃貸収入が見込めるほか、空き家の維持費や管理の必要がなくなります。

目安として築年数が20年以下であれば、安全面でも賃貸として貸し出し可能です。

この20年以下という目安は、耐震基準が改訂された2000年を基準としており、築年数20年以内の空き家であれば耐震性が基準を満たしているためです。

また、空き家を民泊施設として貸し出したり、店舗として個人や法人に貸し出すこともできます。この場合も空き家の所有者は収入を得ることができるため、空き家の維持費を抑えることができます。

賃貸に出す場合は、定期的なメンテナンスを行いながら使える状態に保つことがポイントです。

リノベーションして貸し出す

空き家をリノベーションして貸し出すこともできます。

維持費がかかる空き家状態から、賃貸収入を得るための不動産として有効活用できるのです。

こちらも築年数が20年以下であれば耐震補強をする必要がありません。リノベーションにかかる費用も内装や外装のみで済む可能性があり、安く抑えることが可能です。

リノベーションにかかる費用は安くありませんが、その後の賃貸収入を考えると良い投資であることも多いです。この場合、空き家の利活用が得意な不動産に相談することで、買い手がつきやすくなる物件にリノベーションできます。

まとめ

空き家を維持するためには、年間35万〜50万円程度の費用かかります。

かかる費用には、固定資産税・都市計画税・水道代・電気代・火災保険・地震保険・管理委託料などがあります。

空き家は必ず定期的なメンテナンスが必要で、管理を怠ると空き巣や放火などの可能性が高くなるほか、「特定空家」として固定資産税が高くなることもあり得ます。

空き家の所持で法的責任を問われるのは所有者です。近隣トラブルを未然に防ぐためにも、維持管理は所有者の重要な務めです。

空き家の維持費を抑えたい方は、空き家の売却や賃貸という方法も検討してみましょう。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

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