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2025.09.26

アパート付き土地の相続税評価額を徹底解説|計算方法・節税効果・売却の判断軸

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アパート付き土地の相続税評価額とは?基本の考え方

アパートが建っている土地を相続する場合、その評価額は「更地」の場合と大きく異なります。相続税評価額は国税庁が定める基準に基づき計算されますが、賃貸用の建物があることで「貸家建付地」として評価が下がるため、結果的に相続税の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、相続税評価額と実際の市場価格(売却時の時価)は一致しないことが多く、相続人間の分割や納税計画を立てる際には注意が必要です。ここでは、まず基本的な考え方を整理していきます。

更地とアパート付き土地の評価額の違い

土地の相続税評価額は、土地の状態や借家権・入居率によって大きく変わります。
以下は、一例として、更地とアパート付き土地(貸家建付地)の評価額の目安を示した表です。

項目更地(自用地)アパート付き土地(貸家建付地)備考
評価方法自用地評価自用地評価 × (1 − 借家権割合 × 賃貸割合)借家権・入居率を考慮
自用地評価額1億円(例)1億円(例)評価額は土地の条件により変動します
借家権割合30%全国一律の標準割合
賃貸割合80%(例)実際の入居率を想定
計算式1億円 × (1 − 0.3 × 0.8)
貸家建付地評価額1億円(例)7,600万円(例)約2,400万円の減額効果(一例)

ポイント:アパート付き土地は、借家権や入居率を考慮することで評価額が下がり、相続税の負担軽減につながる

相続税評価額と実際の売却価格(時価)の違い

相続税評価額は、国税庁が定めるルールに基づく「課税のための評価額」であり、必ずしも市場での売却価格を反映するものではありません。一般的に、相続税評価額は時価の約7〜8割程度と言われています。
たとえば、相続税評価額が7,000万円の土地でも、実際に不動産業者に査定してもらうと9,000万円以上の価格がつくケースもあります。逆に、アパート付きの土地は買い手が限られるため、相続税評価額よりも低い金額でしか売却できないこともあります。
この違いを理解しておかないと、「相続税を納めるために売却したのに、想定より低い金額でしか売れず、資金が不足した」というトラブルにつながる可能性があります。そのため、相続税評価額の確認とあわせて、必ず実勢価格の把握も行うことが重要です。

相続税評価額の計算方法

相続税評価額を正しく理解するには、国税庁が定める評価基準を押さえておくことが不可欠です。土地の評価方法には大きく分けて「路線価方式」と「倍率方式」があり、さらにアパートが建っている土地では「貸家建付地評価」を考慮する必要があります。ここでは、それぞれの仕組みと実際の計算方法を解説します。

路線価方式と倍率方式の違い

土地の相続税評価額は、土地の所在地域に応じて路線価方式または倍率方式で計算されます。

路線価方式

路線価方式は、都市部などで用いられる方法で、国税庁が毎年公表する「路線価(1㎡あたりの評価額)」に土地の面積を掛けて算出します。

相続税評価額 = 路線価 × 土地面積 × 補正率

  • 路線価:100,000円/㎡(例)
  • 土地面積:150㎡(例)
  • 奥行補正率・形状補正率などの補正率:0.95(例)

計算例)相続税評価額 = 100,000円 × 150㎡ × 0.95 = 1,425万円

倍率方式

路線価が設定されていない地域(郊外や地方の住宅地など)では、倍率方式を用います。土地の固定資産税評価額に国が定めた評価倍率を掛けて相続税評価額を算出します。

相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率

  • 固定資産税評価額:1,000万円(例)
  • 評価倍率:1.1倍(例)

計算例)相続税評価額 = 1,000万円 × 1.1 = 1,100万円

貸家建付地評価の仕組みと適用条件

アパートやマンションが建っている土地は、賃借人の借家権が発生するため、所有者が自由に利用・処分できない制約があります。これを考慮し、土地の評価額を減額できる制度が「貸家建付地評価」です。
計算式は以下のとおりです:

貸家建付地の評価額 = 自用地としての評価額 × {1 −(借家権割合 × 賃貸割合)}

借家権割合は全国一律30%と定められており、たとえば10室中8室が賃貸中なら賃貸割合は80%、その結果、自用地評価額から24%の減額が認められることになります。
この制度が適用されるためには、実際に賃貸契約が存在し、入居者が生活していることが前提です。空室が多い場合や、親族に名義だけ貸しているようなケースでは認められない可能性もあるため注意が必要です。

借家権割合を用いた具体的な計算例

実際の計算例を見てみましょう。
仮に、更地としての相続税評価額が1億円の土地に、アパートが建っているとします。アパートの総戸数10室のうち8室が入居中(賃貸割合80%)とすると、計算式は以下のとおりです:

1億円 × {1 −(0.3 × 0.8)}
= 1億円 × (1 − 0.24)
= 1億円 × 0.76
= 7,600万円

このように、同じ土地でも更地なら1億円と評価されるのに対し、アパートが建っていることで7,600万円に評価額が下がり、結果として相続税額を大幅に抑えることができます。

アパートがあることで評価額は下がる?節税効果の実態

アパートが建っている土地は、更地に比べて相続税評価額が下がる可能性が高いです。これは、借家権や貸家建付地としての制約が加わるため、国税庁のルール上「利用価値が下がる」と判断されるからです。結果として、同じ広さ・立地の土地でも、アパートを建てて賃貸経営している方が節税効果を期待できます。ここでは、その具体的な仕組みや条件を詳しく見ていきましょう。

自用地と貸家建付地での評価額の比較

自用地(更地や自己利用の土地)は、利用制限がないためそのままの評価額で課税対象となります。一方で貸家建付地は、借家人の居住権があるため所有者が自由に使えず、評価額を下げて計算できます。

以下は、更地(自用地)とアパート付き土地(貸家建付地)の評価額比較例です。

区分評価の基準1億円の土地の場合(例)ポイント
自用地(更地)路線価 × 面積1億円所有者が自由に利用できるため、減額なし
貸家建付地自用地評価額 ×{1 −(借家権割合30% × 賃貸割合80%)}7,600万円借家人の権利により評価が24%減額

この例では、更地と比較して 2,400万円の差 が生じ、相続税額が数百万円〜数千万円単位で軽減が期待できます。

アパート建築による相続税対策の有効性

更地をそのまま相続すると高額な相続税がかかるため、生前にアパートを建てて賃貸物件として活用することで、貸家建付地評価が適用され、相続税を抑えやすくなります。さらに、アパート自体の建物部分も固定資産税評価額を基準に計算されるため、建築費よりも低く評価される点が節税につながります。

ただし、節税効果だけを目的に無理なアパート建築を行うと、将来的な空室リスクや維持管理の負担が問題になります。相続税対策としては有効ですが、収支計画や家族のライフプランと合わせて検討することが重要です。

小規模宅地等の特例が適用できるケース

アパート付き土地の相続でも、特定条件を満たすと 小規模宅地等の特例 を活用して相続税評価額を大幅に減額できます。以下の表で整理すると分かりやすくなります。

区分減額率適用条件適用面積上限備考
居住用宅地最大80%相続人が居住している330㎡同居していた場合も含む
貸付事業用宅地50%アパート・賃貸用土地200㎡実際に貸付が行われている必要あり
事業用宅地80%事業を継続している400㎡小規模宅地等の特例の中でも特に大規模事業向け

注意点

  • 減額率は土地の種類によって異なります。
  • 適用条件を満たさない場合は通常の貸家建付地評価となります。
  • 上限面積を超える部分については減額されません。

相続実務で注意すべきポイント

アパート付きの土地を相続する際には、税務上の評価額だけでなく、実際の分割方法や納税資金の準備、入居者対応といった実務面の課題もあります。節税効果があっても、現実の相続手続きでトラブルになると大きな負担になります。ここでは、特に注意すべきポイントを整理します。

相続人間の分割トラブルを防ぐための工夫

アパートは現金のように簡単に分割できないため、相続人間で不公平感が生じやすい資産です。遺言で分割方法を明確にする、売却して現金で分ける、あるいは共有名義で分割するなどの方法があります。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

分割方法メリットデメリット
遺言で指定相続人間の不公平感を減らせる内容によっては不満が残ることもある
売却して現金分割公平に分けやすい納税期限までに売却が間に合わないリスクがある
共有名義で相続手続きが比較的簡単将来の売却や管理で意見が割れやすい

銀行ローン残債と相続税評価額の関係

アパート建築時に借入をしている場合、ローン残債も相続の対象となります。評価額と残債のバランスによって、相続の対応方法が変わります。

状況実務上の対応例
相続税評価額 > 残債相続人は現金で納税可能、ローン返済も継続しやすい
相続税評価額 < 残債相続放棄や限定承認の検討が必要、売却して残債返済する場合もある

賃貸中のアパートを相続するときの落とし穴

入居者契約や建物管理に関するリスクは見落とされやすく、相続後にトラブルとなることがあります。以下に主要なポイントを整理しました。

ポイント注意点
入居者契約の継承アパートを相続すると、契約はそのまま引き継がれる。退去を強制することはできない
修繕・管理リスク老朽化に伴う修繕費用や建て替えの負担が発生する
管理の手間相続人が賃貸管理経験なしの場合、管理会社への委託も検討が必要

アパートを相続した後の選択肢

アパート付きの土地を相続した後、相続人は大きく分けて「賃貸経営を続ける」「売却して現金化する」「不動産買取業者に相談する」という選択肢があります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、税負担、管理負担、今後の資産運用などを総合的に考慮して判断する必要があります。

賃貸経営を続けるメリット・デメリット

賃貸経営を継続すると、安定した家賃収入を得られる点が最大のメリットです。長期的に資産を保有でき、将来的な土地・建物の値上がりも期待できます。また、貸家建付地として相続税評価額が下がる効果も継続されます。

一方で、デメリットとしては管理や修繕の手間、空室リスク、入居者対応などが発生します。相続人自身が賃貸管理の経験がなければ、管理会社への委託費用も考慮する必要があります。

選択肢メリットデメリット
賃貸経営を継続安定収入、相続税評価額減額効果、資産保有管理手間、空室リスク、修繕費用発生

相続税支払いのための不動産売却の流れ

相続税の納税資金を確保するために、アパートを売却して現金化する方法もあります。売却の流れは一般的に以下の通りです:

  1. 不動産業者に査定依頼
  2. 売却価格・条件を決定
  3. 買主との売買契約締結
  4. 引渡しと現金化

売却によって相続税を現金で支払えるため、資金繰りの不安を解消できます。ただし、アパートは買い手が限定されるため、売却までに時間がかかるケースもあります。

ポイント注意点
売却価格相続税評価額よりも高くなる場合もあるが、物件条件で低くなることも
売却期間需要の少ないエリアや老朽化物件は、売却に時間がかかる場合がある
資金化タイミング納税期限に間に合うよう計画的に手続きを進める必要がある

不動産買取業者に相談するメリット

相続したアパートを早期に現金化したい場合は、買取専門の不動産業者に相談することも有効です。買取は売却に比べると価格がやや低めになるケースがありますが、手続きがスピーディーで、納税期限までに資金を確保しやすいという大きなメリットがあります。

具体的には、次のような利点があります。

  1. 売却手続きが簡単で早い
    買取業者に直接依頼するため、仲介手数料や長期の販売活動が不要で、短期間で現金化できます。
  2. 納税資金を確実に確保できる
    相続税の支払い期限に間に合わせて現金を準備できるため、資金繰りの不安を軽減できます。
  3. 分割しやすい現金に変えられる
    相続人間での分割や遺産整理がしやすくなります。現物の不動産を共有するよりも、公平に現金で分けやすいのが利点です。

一方で注意点もあります。買取価格は市場価格より低くなることがある点、価格交渉の余地が少ない点、入居者の引継ぎが不要な場合に限られる点などです。

アパート付き土地の相続税評価額に関するよくある質問

アパート付き土地の相続に関して、実務でよく出る疑問や悩みをまとめました。ここでは、具体的な計算や節税、相続後の対応などの情報に答えます。

賃貸アパートの土地の相続税評価額はどのように計算されるのですか?

アパートが建っている土地は「貸家建付地」として評価されます。計算式は以下の通りです:

貸家建付地評価額 = 自用地評価額 × {1 −(借家権割合 × 賃貸割合)}

借家権割合は全国一律30%、賃貸割合は実際の入居状況を基に計算します。これにより、更地より評価額が下がり、相続税の負担を軽減できます。

更地とアパート付き土地では相続税額はどれくらい違いますか?

ケースによりますが、例えば、更地評価額1億円の土地にアパートが建っており、借家権割合30%、入居率80%の場合、貸家建付地評価額は7,600万円程度となります。

区分評価額備考
更地(自用地)1億円減額なし
アパート付き(貸家建付地)7,600万円借家権・入居率考慮

このように、2,400万円ほど評価額が下がるケースもあり、相続税額にも大きく影響します。

アパートを相続するとどんな税金がかかりますか?

  • 相続税:土地・建物の評価額に応じて課税
  • 登録免許税:相続登記の際に発生
  • 固定資産税・都市計画税:相続後の土地・建物に対して継続して課税

なお、アパートの建物部分は固定資産税評価額を基準に計算されるため、建築費より低く評価されることが多く、節税につながる場合があります。

アパート経営を相続する際のデメリットはありますか?

  • 入居者契約を引き継ぐ必要があるため、退去を強制できない
  • 修繕費や管理費が発生する
  • 相続人が管理経験がない場合、管理会社への委託費用がかかる
  • 将来的な空室リスクや建物老朽化リスクがある

マンションや共同住宅の土地の相続税評価額はどうやって調べますか?

マンションや共同住宅の土地の相続税評価額を確認する際には、以下の方法があります。

  1. 路線価方式で調べる
    国税庁が公開している「路線価図」を利用します。路線価図には、全国の道路ごとの1㎡あたりの路線価が掲載されており、土地の相続税評価額を計算する際の基本資料となります。
  2. 倍率方式で調べる
    路線価が設定されていない地域(主に地方の住宅地や農地など)は、固定資産税評価額に「評価倍率」を掛けて算出します。
    • 固定資産税評価額はお住まいの市区町村の固定資産税課で確認可能です。
  3. 貸家建付地評価を適用する
    実際に借家人が入居している場合は、借家権割合や賃貸割合を考慮して「貸家建付地評価」を適用します。これにより、更地評価額よりも低く算出され、相続税の軽減につながります。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

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