札幌でアパートを所有する上で、切っても切り離せないのが「土地の路線価」という指標です。
路線価が高いと相続税の評価額も高くなりやすい反面、立地のよいエリアほど入居需要や資産価値も期待できるというメリットがあります。
しかし、実際には路線価の仕組みや相続時の評価方法など、難しい点も多いもの。
そこで本記事では、札幌のアパートを対象に、土地の路線価の基礎知識から相続税評価額の決まり方、さらには評価額の計算で活用できる特例制度までをわかりやすく解説します。
初心者の方でもすぐに取り入れられる情報をまとめていますので、今後の相続や資産運用の参考にしてください。
札幌のアパートの土地の路線価
路線価とは
路線価とは、国税庁が相続税や贈与税の課税額を計算するために公表している、道路(路線)ごとの1㎡あたりの基準価格のことです。
土地が面している道路に対して設定されるため「路線価」と呼ばれます。
通常、都市部のメインストリートや人気のエリアでは高めの路線価が設定され、反対に交通の便が悪い地域や需要の低いエリアは低めの路線価が設定される傾向にあります。
土地の評価額を算出する際は、この路線価をベースに形状や奥行、角地かどうかなどの補正を加えて最終的に評価額を決定します。
路線価の確認方法
路線価は毎年1月1日時点の情報を基に、同年の夏ごろに国税庁のWEBサイトで公表されます。
以下のような手順で確認するのが一般的です。
・国税庁の「路線価図・評価倍率表」ページへアクセスする
「財産評価基準書」のコーナーに地域別の路線価図が掲載されています。
・都道府県 → 市区町村を選択する
札幌市の場合、区を選び、細かいエリアごとの地図をダウンロードできます。
・ 路線価図を見る
地図上に道路ごとに数字が書かれており、「○○千円」という形で1㎡当たりの金額が表示されます。
・必要に応じて補正率を確認する
・地形や接道条件などの個別事情を考慮して、最終的な評価額を調整します。
紙の地図を閲覧するだけでなく、オンライン上で検索しやすくなっているので、不動産に詳しくない方でも比較的簡単に確認が可能です。
ただし、広い敷地や複雑な形状の土地の場合、専門家へ相談したほうが正確な評価を得やすいでしょう。
札幌の路線価
札幌市内でも中心部に近い場所や地下鉄沿線、商業施設が集積するエリアは路線価が高く設定されやすく、郊外や交通アクセスが劣るエリアではやや低くなる傾向があります。
具体的には、大通駅や札幌駅周辺の商業地は非常に高い数値となり、住宅地であっても人気エリアほど高めの路線価がつきがちです。
アパートを所有している場合、路線価の高さは相続税評価額を上げる要因となる一方、地価が高い地域では入居需要が見込みやすい、物件の売買がしやすいといったメリットもあります。
逆に路線価が低いエリアでは税負担は抑えやすくなるものの、空室リスクや資産価値の伸び悩みといった課題が生じることもあるため、自身の物件がどのような立地かを総合的に把握する必要があります。
札幌のアパートの相続税評価額とは
相続税評価額とは
相続税評価額とは、相続や贈与で取得した財産に対して課される税金(相続税・贈与税)を計算するために算定される財産の評価額のことです。
現金や預貯金の場合は額面そのままが評価額となりますが、不動産は実勢価格(市場価格)ではなく「相続税評価額(路線価方式や倍率方式による評価額)」が基本となります。
この評価額が高いほど相続税の課税対象となる財産の総額が増え、結果として税負担が大きくなります。
一方、正しく評価を行い、適用可能な特例や減額措置を利用することで、相続税を抑えることも可能です。
土地の評価額を調べるには
札幌のアパートの相続税評価額を算出するには、まず土地と建物を分けて考えます。
土地の評価はおもに以下の2つの方法で行われます。
路線価方式
路線価のある地域では、原則としてこの方式で計算します。
「路線価 × 面積」に各種補正を加えて求めるのが基本です。
倍率方式
路線価が設定されていない地域で用いられる方法です。
国税庁の公表する評価倍率表から倍率を確認し、固定資産税評価額にその倍率を掛け合わせて土地の評価額を求めます。
札幌市内の多くのエリアには路線価が設定されていますので、ほとんどの場合は路線価方式で評価します。
ただし、路線価のない一部地域や、補正が難しい特殊な地形の場合などは専門家が独自に鑑定評価を行ったり、倍率方式を用いたりすることもあります。
路線価を用いた札幌のアパートの相続税評価額の計算方法
アパートの土地の評価額の計算
賃貸アパートを所有している場合の土地評価は「貸家建付地」として扱われるケースが多く、通常の自用地(自分で利用する土地)よりも評価額が低くなる可能性があります。
これは、実際にアパートの入居者がいるため、オーナー自身が自由に利用できないという制限を考慮して評価を減額する仕組みです。
・路線価 × 面積で基礎となる評価額を求める。
・ 敷地形状や奥行、角地などの補正率を加味して評価額を修正。
・借家権割合を考慮することで、さらに評価額を減額する(賃貸借契約がある場合)。
札幌のように需要の高い都市部では、路線価自体が高い傾向にあるため、どれだけ借家権割合などの減額要素を活かして評価を下げられるかが、相続税の節税ポイントとなります。
アパートの相続税評価額の計算
土地と同様に、アパート(建物)の評価額も別途計算します。
建物部分の評価には、固定資産税評価額をベースにした方法が一般的です。
建物の固定資産税評価額を確認
市区町村から送付される「固定資産税通知書」に記載されています。
アパートの場合は「貸家」の扱いとなり、所有者の居住用より低く評価されます。
建物部分でも借家権割合の考慮があり、一定の評価減を受ける可能性があります。
土地と建物の評価額をそれぞれ合算したうえで、相続税の申告・納税額が決まります。
正確な額を算出するには、複数の補正項目をチェックする必要があるため、税理士などのプロに相談することをおすすめします。
小規模宅地等の特例
相続税には「小規模宅地等の特例」という大幅な減額制度があります。
これは、被相続人が住居として利用していた宅地や貸付事業用の宅地などについて、特定の要件を満たせば評価額を50%〜80%減額できる制度です。
居住用宅地の場合:最大80%の減額
貸付事業用宅地(アパートなどを賃貸していた場合):最大50%の減額
札幌市内でアパートを経営していた被相続人から相続する場合、この貸付事業用宅地に当てはまる可能性があります。
要件を満たせば、路線価が高いエリアでも相続税を大幅に抑えられるため、該当するかどうか早めに確認しておくと良いでしょう。
ただし、事業規模や相続人の居住状況など、複雑な条件が絡むため、最終的には税理士や弁護士に相談して判断することをおすすめします。
以上の内容を踏まえ、札幌のアパートを相続する予定がある方は、まず路線価を確認し、自分の土地や建物の評価額がどの程度になりそうかを大まかに把握するところから始めましょう。
費用や時間の節約はもちろん、予期せぬトラブルを回避するためにも専門家の知識は欠かせません。
その上で具体的な手続きについては、プロへ相談すれば、納税や遺産分割の計画を立てやすくなります。