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2024.12.03

住宅ローンは失業でどうなるの?滞納する前に必ず知っておきたい知識

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失業で住宅ローンが支払えないとどうなるか

住宅ローンの返済が遅れたり滞納した場合、以下のような具体的な影響があります。

|住宅ローン返済の遅延や滞納の影響

住宅ローンの滞納は、返済の負担が増えるだけでなく、信用情報へも悪影響があります。滞納に気づいた時点で、金融機関に連絡を取り、返済計画の見直しや猶予措置の相談を行うなど早めに対応することが重要です。

1. 延滞金の発生
住宅ローンは、毎月の支払い期日を過ぎると延滞金が発生します。この延滞金は金融機関により異なりますが、住宅ローンの利率よりも高く設定されており、元金に対して年率1.4%~14.6%の利率になるのが一般的です。当然、延滞日数が長くなればなるほど負担が大きくなるため、放置するのは危険です。
また、住宅ローンを延滞することで優遇金利が解除されてしまうリスクもあります。一回の延滞で優遇金利が解除される可能性は低いですが、金融機関により判断されるタイミングは異なります。優遇金利は一度解除されてしまうと、再度適用されることはないので覚えておきましょう。

2. 信用情報への記録
滞納が一定期間(通常、61日以上や3か月以上)続くと、信用情報機関に「延滞」として自己情報が記録されます。信用情報機関とは、加盟する金融会社から登録されるローンやクレジットに関する信用情報を管理・提供することで、消費者と金融会社の健全な信用取引を支えている外部機関です。
そのため、事故情報が記録されてしまうと返済能力がないと判断されるため、ローンの新規借入やクレジットカードの更新・新規作成などの審査に影響を与え、将来的な借り入れが難しくなる可能性があります。

3. 金融機関からの督促
住宅ローンを滞納すると、金融機関から電話や督促状などで支払い請求をされます。最初は通知書が届き、それでも滞納を続けていると電話連絡になることが一般的です。
さらに支払いがなかった場合には、金融機関から督促状が届くこになります。督促状とは、家を売るための法的手続きへ移るための前提となる書類です。この段階で早急に対応しないと、事態が悪化する可能性が高まります。この際、住宅ローンに連帯保証人がいる場合には、連帯保証人にも督促状が届くようになります。

 

|競売の可能性

住宅ローンの滞納が長期間続いた場合、最終的には「競売」に進みます。競売に至る一般的な流れは以下の通りです。競売に至る前に、できるだけ早い段階で金融機関に相談し、リスケジュールや売却の検討などの対応を取ることが重要です。また、「任意売却」など競売を避ける手段も存在するため、専門家(弁護士や住宅ローンアドバイザー)への相談も有効です。

1. 滞納の継続
長期間滞納(通常、滞納から6ヶ月程度)が続くと、金融機関が「期限の利益の喪失通知」が届きます。期限の利益を喪失することで、住宅ローンの分割返済が認められなくなるため、ローンの残債を一括で返済するよう求められます。しかし、一括での対応は難しい場合がほとんどなので、金融機関は本格的に家を売る手続きを進めることになります。

2. 保証会社の代位弁済
期限の利益喪失から1ヶ月ほど経過すると、「代位弁済通知」というものが届きます。代位弁済とは、保証会社が住宅ローンの借主に代わり、ローンの残債を金融機関に一括返済することです。
これにより、住宅ローンの債権は金融機関から保証会社に移転。この時点で住宅ローンを一括で返済できなければ、保証会社は担保である家を売却して債権を回収するために、裁判所に対して競売の申立てを行うなど競売の準備を始めてしまいます。

3. 競売手続きの開始
代位弁済から1ヶ月ほどで、保証会社は裁判所に競売の申し立てを行い、債務者(住宅ローンの借主)には物件の差し押さえ通知が届きます。裁判所が申し立てを受理すると、債務者への調査が開始され、さらに1ヶ月ほどで、ついに「競売開始決定通知書」が届きます。

4. 競売の実行
滞納から10か月~11か月後には、裁判所の物件調査が行われ、売却価格を決定する評価書が作成。債権者の同意が得られれば、競売の入札が開始されます。この売却代金は債務の返済に充てられますが、売却価格が市場価格よりも低くなることが一般的で、債務が残るケースもあります。

住宅ローン返済中に失業した場合にまずすべきこと

失業時には、「早期相談」「救済措置の活用」「保険確認」「失業手当の申請」の4つを迅速に行うことで、住宅ローン返済に向けた対策を講じることができます。再就職活動と並行してこれらの手段を活用し、最悪の事態を防ぎましょう。

|金融機関への早期相談

失業後は、できるだけ早く住宅ローンを借りている金融機関に相談することが重要です。ここでは、相談時の準備や相談のポイントについてご紹介しますので、状況が悪化する前に迅速に対応していきましょう。

▶︎相談時に準備するもの

・失業した事実を証明する書類
雇用保険の離職票や解雇通知書など、失業が確認できる書類を用意しましょう。

・収入や支出の状況
家計の現状を把握するため、給与明細や家計簿などを整理し、収入減少の影響を明確に伝えます。

・今後の見通し
再就職予定や現在の貯蓄額など、将来的な返済計画を立てやすくするための情報を準備しましょう。

▶︎相談のポイント

・現状を正直に伝える
失業した事情や今後の見通しを率直に説明することで、金融機関も柔軟な対応を検討しやすくなります。

・具体的な要望を伝える
返済額の減額や返済猶予など、自分が求める対応を明確に伝えます。

|救済措置の活用

多くの金融機関では、以下のような救済措置を用意しています。これらを活用することで、返済負担を一時的に軽減することができ、競売のリスクを減らすにつながります。ただし、このような措置を受けるためには、金融機関との十分な相談と、具体的な事情の説明が求められます。また、救済措置の内容や条件は金融機関によって異なるため、早めの確認しましょう。

1.返済期間の延長
ローンの返済期間を延長することで、1回あたりの返済額を減らす方法です。

2.返済猶予
一定期間、元本または利息の返済を停止することができます。

3.返済額の一時的な減額
失業中の収入減少に応じて、返済額を一時的に減額する方法です。

4.特別な免除措置
事情によっては、利息の一部免除などが認められる場合もあります。

|保険を確認する

現在の住宅ローンに付帯している団体信用生命保険(団信)や、その他の保険を確認することで、失業時の支援を受けられる可能性がありますので、必ず確認しましょう。

1.団体信用生命保険(団信)
一部の団信では、失業時や収入減少時に保険金が支払われる特約が付いている場合があります。これが適用されれば、一定期間の返済負担が軽減されます。

2.失業保険や収入保障保険
失業時の収入を補償する保険があれば、ローン返済に充てることができます。保険証券や契約内容を確認し、早めに保険会社に問い合わせましょう。

|失業手当を受ける

失業手当(雇用保険の基本手当)は、条件を満たしていれば受け取ることができ、ローン返済に充てることも可能です。

▶︎失業手当の概要

・受給条件
雇用保険に一定期間加入していたこと、失業状態であることなどが必要です。

・受給額
失業前の収入に応じた一定の割合が支給されます。

・支給期間
年齢や勤続年数、退職理由によって異なりますが、通常90日~330日程度です。

・手続き
ハローワークで手続きを行い、待機期間を経て支給が開始されます。
手続きに時間がかかる場合もあるため、失業後は速やかに申請を行いましょう。

住宅ローン返済中に失業した場合の対処法

住宅ローン返済が困難になった場合、「リスケジューリング」「リースバック」「親族間売買」「家の売却」といった対処法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、早期に行動することで、最悪の事態を回避することが可能です。状況に応じて金融機関や専門家に相談し、自分に最適な解決策を見つけましょう。

|リスケジューリング

リスケジューリングとは、金融機関に相談して住宅ローンの返済計画を見直し、返済条件を変更することを指します。たとえば、返済期間の延長や一時的な返済額の減額、元本返済の猶予などが含まれます。

メリット

・毎月の返済負担が軽減
返済額を調整することで、家計の負担を一時的に緩和できます。
・家を失わずに済む可能性が高まる
支払いが現実的な範囲であれば、住み続けることが可能になります。

デメリット

・返済総額が増加
返済期間を延長することで、利息の支払いが増える可能性があります。
・信用情報への影響
一部のケースでは、条件変更が信用情報に記録されることもあります。

|リースバック

失業状態が長く続きそうな場合、リースバックという選択肢があります。
リースバックとは、自宅を第三者に売却し、その後は賃貸契約を結んで住み続ける方法です。失業が長引きそうな場合に検討される選択肢ですが、リースバックを選ぶ際は信頼できる不動産会社と契約内容を慎重に確認することが大切です。

メリット

・家を離れずに済む
賃貸借契約を結ぶことで、家に住み続けることができます。
・売却代金でローンを完済できる可能性
売却により住宅ローンの残債を解消できることがあります。

デメリット

・賃貸料の負担
売却後も賃料を支払う必要があるため、家計状況によっては厳しい場合があります。
・所有権の喪失
家の所有権がなくなるため、資産として活用することができなくなります。

|親族間売買

家を売却してそのまま済み続けられる方法として、親族間売買という選択肢もあります。
親族間売買とは、家を親族に売却することで、住宅ローンを完済しつつ、その家に住み続ける方法です。親族間売買を行う場合は、公正証書の作成や税務の専門家によるアドバイスを受けるのがおすすめです。

メリット

・住み続けることが可能
売却後も親族の協力を得て、家を手放さずに済むことがあります。
・柔軟な条件設定が可能
親族との取引であるため、通常の売買よりも柔軟な条件を設けられる場合があります。

デメリット

・相続や税金の問題
親族間取引では贈与税や相続税のリスクがあるため、事前に専門家に相談が必要です。
・親族関係への影響
金銭の貸し借りが発生することで、関係性が悪化するリスクもあります。

|家の売却

失業状態が長く続きそうな場合、家の売却についても考えなくてはいけません。住宅ローン残債の状況によって、一般的な売却に加え、任意売却という選択肢もあります。
住宅ローンの残債がある場合でも、売却金額や条件によってどちらの売却方法がよいか異なりますので、この章でご紹介いたします。

1. 一般的な売却
売却金額が住宅ローンの残債を上回る場合、売却代金でローンを完済できます。この場合、追加の負担は発生しません。

2. 任意売却
売却金額が住宅ローンの残債を下回る場合、金融機関の同意を得て「任意売却」を行うことがあります。これにより、ローンの一部を免除されることもあります。

メリット

• ローン返済の負担軽減
売却により、返済不能な状況から抜け出せます。
• 自己破産を回避
任意売却を利用することで、最悪のケースを避けられる可能性があります。

デメリット

• 住居を失う
売却後は家を離れる必要があります。
• 信用情報への影響
任意売却は信用情報に記録され、将来的な借り入れが難しくなる可能性があります。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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