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2024.08.01

不動産所得を確定申告しないと多額の損失につながる?罰金などペナルティについて解説

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不動産所得とは

不動産所得とは、土地や建物などの不動産を貸付して得られる収入のことを指します。具体的には、アパートやマンションなど収益物件の家賃や、土地の賃貸料、駐車場収入等です。不動産を売却した際の売却利益は、貸付で得る収入ではないため不動産所得には該当せず、譲渡所得に分類されます。

 

国税庁のサイトでは、次の①から③までの所得を不動産所得としています。

  • 土地や建物などの不動産の貸付け
  • 借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け
  • 船舶や航空機の貸付け

※事業所得または譲渡所得に該当するものを除く

参照:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

 

この時、注意が必要なのが「不動産所得」と「不動産収入」の違いです。

不動産の貸付によって得られた、家賃などの収入の総合計が「不動産収入」であり、「不動産所得」は、その総合計から経費を差し引いた金額のことを指します。

この違いは、確定申告や税額の算出において重要となりますので覚えておきましょう。

 

「不動産収入」→不動産の貸付によって得られる総収入

「不動産所得」→不動産の貸付によって得られた収入から経費を差し引いた金額

 

 

確定申告が必要なケース

会社員や公務員、パートやアルバイトなどの給与所得者であっても、不動産所得が年間20万円以上ある場合には確定申告が必要になります。

会社員などの場合は、会社で年末調整を行うため確定申告は不要だと思ってしまいがちですが、会社で申告してもらえるのは、給与所得に課税される所得税のみです。そのため、不動産所得にかかる所得税の申告はご自身で行う必要があるのです。

たとえ不動産所得が赤字であったとしても、その赤字分を他の所得(給与所得など)の黒字と相殺する「損益通算」が可能です。この場合、不動産所得の赤字分で、課税対象となる所得金額を少なくすることができるため、確定申告を行うことで節税につながる可能性があります。

 

例えば、給与所得が1,000万円の場合で、不動産所得がマイナス200万円の赤字だったとすると、課税対象となる所得は800万円となるため、納税額を減らすことができます。

 

 

確定申告が不要なケース

会社員や公務員、パートやアルバイトなどの給与所得者で、不動産所得が年間20万円以下かつ、給与の総支給額が年間2,000万円未満である場合には、その年の確定申告は不要です。

不動産所得が年間20万円以下の場合は確定申告が不要になりますが、副業で雑所得を得ていたり、雑所得と不動産所得の合計で20万円を超える場合には申告が必要になりますので注意が必要です。

また、不動産所得の金額に関わらず、給与所得が年間2,000万円を超える場合には会社の年末調整対象から外されてしまうため、確定申告が必要になります。

つまり、不動産所得が一定額以上ある場合や、損益通算の必要がある場合には確定申告が必要となり、それ以外の場合には確定申告が不要となります。

 

 

確定申告をしなかった場合のペナルティ

 

無申告加算税の発生

確定申告は、毎年法定申告期限内に申告しなくてはいけませんが、この期限内に申告を行わなかった場合や税務署から決定処分を受けた場合に、「無申告加算税」が課される可能性があります。

期間内に確定申告をしなかった場合に加え、期間後に申告をしたり、期間後の申告内容に修正があった場合にも対象となります。

 

無申告加算税は、納付すべき税額に対して以下のような税率がかけられます。

・50万円以下→15%

・50万円以上300万円以下→20%
・300万円以上→30%

なお、帳簿書類の改ざんなどで売上を隠蔽するなど悪質な所得隠しがあった場合には40%の無申告加算税が加算されます。

 

ただし、期限を過ぎた1ヶ月以内に自主的に申告したり、納税の意思があったと認められる一定の場合には、無申告加算税が免除されることがあります。

 

・期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。
・期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
・期限後申告書を提出した日の前日から起算して直近5年間に期限後申告による無申告加算税又は重加算税を課されていない、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

参照:国税庁「No.2024確定申告を忘れたとき

 

 

延滞税の発生

期限内に申告を行わず、さらに申告日当日に納付をしなかった場合、無申告加算税に加えて延滞税も支払う必要があります。無申告加算税が罰金、延滞税は利息といったようなイメージです。令和3年1月1日以後の延滞税の税率は以下の通りです。

 

・納期限の翌日から数えて2ヶ月までは原則として年7.3%、もしくは「特定基準割合+1%」のうち低い割合が適用

 

・納期限の翌日から数えて2ヶ月を過ぎると原則として年14.6%、もしくは「特定基準割合+7.3%」のうち低い割合が適用

 

延滞税の税額は、下記の計算式で算出します。

 

延滞税額=納付すべき税額×延滞税の割合×滞納日数÷365日

 

納付すべき税額は、10,000円未満切り捨てになりますので、もともとの税額が10,000円未満の場合には延滞税は課税されません。また、延滞税額の計算結果が1,000円未満の場合にも切り捨てになりますので納付義務はありません。

このように、国税には毎年決まった納期限があり、期限内に納付しなければ滞納した日数にともなって延滞税が発生しますので期限内に納めることが大切です。

 

参照:国税庁「延滞税について」

 

 

過少申告加算税の発生

納める税金の額が正しい額より少なすぎたり、還付される金額が大きすぎたりする場合には、過少申告加算税が課されることがあります。

過小申告加算税は、基本的に税額の計算間違いや見解の違いなどがあったときに課せられることになっており、納めるべき税金を故意に隠蔽したり、意図的に偽ったりなどの不正が明らかになったときには、過少申告加算税ではなく、より重い重加算税が課税されることになります。計算ミスや計上漏れなどに気付いたら、できるだけ早めに修正申告することが重要です。自主的な修正申告をすれば、過少申告加算税を免除されることがあります。

 

過少申告加算税の税率は以下の通りです:

 

・追加で徴収を受ける税額と50万円のうち、いずれか多い金額までの部分10%

・追加で徴収を受ける税額と50万円のうち、いずれか多い金額を超える部分15%

 

税務調査を受ける前に修正申告書を提出し、その際に納税も済ませた場合には、原則として過少申告加算税はかかりません。

 

 

重加算税の発生

無申告加算税や過少申告加算税が課される場合において、税額について悪質な仮装や隠蔽、意図的な無申告などの不正事実が認められると、過少申告加算税や無申告加算税に代えて、重加算税が課されることがあります。具体的には、二重帳簿の作成や、帳簿書類の破棄や隠匿、改ざんなどです。

重加算税の税率は以下の通りです:

 

納める税金が少なかった場合や期限内申告に確定申告ができなかったときに、仮装・隠ぺいなどの不正事実があった場合は、過少申告加算税や無申告加算税に代えて「重加算税」が課されます。仮装・隠ぺいなどの不正事実とは、二重帳簿の作成や、帳簿書類の破棄や隠匿、改ざんなどのことです。

重加算税に該当した場合は、過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%を乗じた金額を支払うことになります。

 

・申告していて過少申告の場合35%

・無申告の場合40%

 

例えば、本来の納税額が100万円だった場合、過少申告で35万円、無申告では40万円を追加で徴収されることになります。さらに、この重加算税には延滞税も加算されることがほとんどですので注意が必要です。

ペナルティを避けるためにも、確定申告を正確に行い、適切な納税を行うことが重要です。

 

 

納税義務の消滅時効と刑罰

 

消滅時効の期間

法定期限内に確定申告書を提出していた場合には、納税義務の消滅時効は3年です。例えば、所得税の納税額を5万円と申告したにも関わらず、納付が4万円で1万円分足りなかったという場合、不足分の1万円についての時効が3年ということです。

確定申告が必要であるにもかかわらず、期限内に申告をしなかった場合の納税義務消滅時効期間は、故意でない場合は5年、故意である場合は7年とされています。

二重帳簿の作成や帳簿書類の破棄や隠ぺい、改ざんなどの不正が故意にあたります。

しかし、消滅時効を迎える前に税務署によって差し押さえなどが行われた場合、その時点で時効はリセットされ、新たに時効期間が開始されるため、時効が成立することはほとんどありません。差し押さえが実施されると、その後も納税義務は継続します。

 

納税義務の消滅時効

・期限内に確定申告書を提出している場合:3年

・故意でなく、期限内に確定申告書を提出していない場合:5年

・故意で期限内に確定申告書を提出していない場合:7年

 

 

刑罰

意図的に税金を支払わない脱税は、犯罪行為であることを忘れてはいけません。

確定申告を行わなかった場合、追加で納税のペナルティが課されるだけでなく、悪質な場合には刑罰が科されるケースもあります。

脱税とは、無申告などで意図的に税金を支払わない、または不正に少ない金額を申告する行為を指します。計算ミスや錯誤による未納は、申告もれに該当するため、刑事罰を受けることはありません。

 

脱税による刑事罰は、適用される法律ごとに定められていますが、基本的には10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が課される可能性があります。

脱税行為を避けるためにも、税法を遵守し、正確な申告と納税を行うことが重要です。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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