土地には、売りに出すとすぐに売れるものがある一方、売りに出してもなかなか売れないものが存在します。その違いはどこにあるのでしょうか?
それぞれの特徴を把握することで、土地をより高く売るためのポイントを抑えることができます。
この記事では、高く売れる土地の特徴や売れにくい土地の特徴、さらに売れない土地をどう対策すればよいかについて、詳しく解説いたします。
不動産の取引において、有利となる土地の特徴や条件を知ることは非常に重要です。この記事をもとに、スムーズでより高く取引きができる土地売却を目指しましょう。
高く売れる土地の特徴
高く売れる土地には、いくつか共通する特徴が存在します。ここではそのうちの代表的な5つのポイントをご紹介いたします。
5つ全てに当てはまる必要はなく、該当する特徴が多ければ多い方が売れやすい土地と言えます。また多くの場合、土地に建物を建てて人が暮らすことが想定されますので「住みやすい土地であるか否か」がポイントになります。
立地条件が良い
立地条件は、売れる売れないを大きく左右する条件の1つと言っても過言ではない、重要な特徴です。都心部や駅近、商業施設が集まる便利なエリアなど、アクセスの良い立地は高く評価されます。
この条件をクリアしていれば、多少の悪条件があっても売れやすかったり、相場よりも高値で売れるなどの可能性があると言えるでしょう。
◎駅やバス停が近く、交通の利便性がよい
◎スーパーや病院など周辺施設が充実している
◎街並みや治安などの環境がよい
建蔽率や容積率などの条件が良い
土地には1つ1つに「建蔽率(けんぺいりつ)」と「容積率(ようせきりつ)」というものが定められており、たとえ同じ面積の土地であっても、この割合によって建てられる建物の大きさに違いが出ます。
建蔽率・容積率が高いエリアは大きな建物が建てられるので、アパートや店舗向きです。一方、建蔽率・容積率が低いエリアは、日当たりや近隣との距離を重視しているので、住宅地向きとなります。
立地のニーズにあった建蔽率と容積率であることが売れやすいポイントです。
◎エリアのニーズにあった建蔽率と容積率であること
用途制限を受けにくい
土地には「用途地域」という区分けが定められており、あらかじめそのエリアに建築できる建物の「種類や用途」に制限があります。
駅近くに指定される商業地域は、防火性に優れた建物にする必要があったり、駅から離れた住宅地域は、日当たりを考えて建物の高さが制限されるほか、店舗等の商業施設の建設にも制限が出てくる等です。
用途制限が緩い地域の土地は、いろいろな建物を建てることができる分、多くの人のニーズに応えられるエリアなので需要が高く、売れやすいと言えるでしょう。
◎用途制限が緩く、建築できる建物の種類が多い
形状が正方形に近い
正方形や長方形等の整った形状の土地のことを整形地といい、整形地や適度な広さがある土地は売れやすいと言えます。建物を建てた場合でも庭や駐車場を確保しやすいなど、土地を有効に使ったプランニングがしやすいため、市場価値が高くなりやすいという傾向があります。
また面積においては、広すぎると価格が上がり買い手がつきにくく、狭くても家を建てにくいため、一概にどのくらいの面積がいいと言えるものではありません。
住宅地なら家を建てるのに適度な広さ、商業地ならアパートや店舗等を建てるのに適度な広さ、など立地のニーズに合った土地が売れやすいと言えます。
◎正方形や長方形等の整った整形地である
◎顧客や立地のニーズにあった適度な面積
南向きで日当たりが良い
土地の南向きに道路がある土地は、良好な採光や風通しを得やすいため、特に住宅の立地として高く評価され、価格が上がる傾向にあります。中でも南西角地や南東角地は、より長い時間日照が得られるので人気が高く、価格も高値で取引されます。
その他にも売れる土地の特徴といえるポイントをいくつか上げておきます。
◎間口(道路に接している側の幅)が広い
◎角地(2方向の道路に接した角の土地)
◎前面道路の幅が狭すぎない
◎更地(建物などがなく、使用収益を制限する権利が付いていない土地)
◎都市ガスが利用可能
売れにくい土地の特徴
次に売れにくい土地の特徴を7つご紹介します。
売れやすい土地は住みやすさがポイントになるということは、売れにくい土地というのはその真逆の条件に該当すると言えます。
たとえ売れない特徴のある土地でも、売れにくい原因を明確にし、売り出し方を見直したり対策を講じることで、早期売却につながる可能性がぐんとアップします。
立地条件が悪い
交通の利便性が悪いエリアや、スーパー等の商業施設が遠く不便と言える場所は値打ちが下がり、需要も低くなります。特に車を所有しない単身者向けのアパートやマンションの場合は、物件価値が下がってしまうので、売れにくい条件の1つとなるでしょう。
また山林などでは、電気・ガス・水道などのライフラインが整備されていない場合もあるので注意が必要です。
△駅やバス停が遠い、またはアクセスが悪いなど、交通の利便性が悪い場合
△電気・ガス・水道などのライフラインが整備されていない
軟弱地盤、傾斜地等災害に弱い
自然災害の多い日本では、この条件が重視される傾向が年々高まっています。
「高低差のある傾斜地」「地盤が弱い」「過去に自然災害が発生した」など、土地の安全性が低いエリアは、土地価格に大きく影響するようなことは少ないですが、リスクを避けようと考える買い手には売れにくいと言えます。
△洪水時に浸水のリスクがある
△地震の揺れに弱い軟弱地盤
△地滑りに弱い、盛り土をした傾斜地
等、国土交通省のホームページや市町村にて配布されるハザードマップで確認することができます。
周辺に心理的瑕疵となる施設がある
土地や土地周辺に、人が心理的に抵抗を感じる「心理的瑕疵」があると、売れにくい要因となります。
心理的瑕疵とされるのは、事故物件であることや、周辺に墓地や工場、暴力団の事務所、風俗店などの嫌悪・迷惑施設があることなどがあげられます。
また、この他にも快適な暮らしを妨げる要因になりかねないと判断されてしまう条件があれば、敬遠されてしまう可能性があります。
△事故物件である
△心理的に抵抗を感じる建物や施設がある
△騒音や近隣トラブルなどがある
権利関係が複雑
「複数人が相続した土地で売却の意思確認や同意が取りにくい」「土地に接する道路が個人所有の私道であるがその私道の利用権が不明確」「土地の境界に越境や争いがある」などは、権利関係が複雑な土地と言えます。
このような土地は、トラブルが発生しやすかったり、権利関係を整理するのに時間がかかったりなどの問題があり、売れにくくなる傾向にあります。
△多数の権利者が存在する土地
△私道に接する土地
△土地境界に問題がある
いびつな形状をしている
四角形に近い整形地とは逆で、三角地や旗竿地など、いびつな形状の土地(不整形地)は売れにくいと言えます。旗竿地は土地の間口が狭く、車の出入りがしにくい、消防車が入りにくいなどの欠点があり、傾斜や高低差がある土地も、建物を建てる際に造成や擁壁工事等の費用が掛かってしまうため買い手がつきにくい傾向にあります。
△形の整っていない不整形地
△間口の狭い旗竿地
△傾斜や高低差のある土地
土地が売れないときの対策
多くの土地売買を取り扱ってきましたが、売れない土地には共通する特徴があり、必ず売れない原因があります。
需要のある売れる土地は売り出しから3か月以内、そうでなくても6カ月以内には売却につながる場合がほとんどです。売却期間にそれ以上かかっているものは、売れない土地に該当すると言っていいでしょう。
ここでは、土地が売れない場合の対策として、効果的なものをいくつかご紹介します。
周辺の土地を買い取り、大きな土地にする
土地の状況によっては隣地を買取り、大きな土地として売却する方が高く売れる場合があります。
例えば、敷地の一部が欠けているような形状の土地で、隣地を買取りすることで整形地になる場合などは、隣地を購入した方が土地が高く売れる可能性があります。
所有している土地が大きく、あと一部だけ買い足せば「整形地になる」「間口が広くなる」等の場合には、隣地買取りの効果は非常に高いと言えるでしょう。
また、旗竿地のような土地であれば尚更です。道路まで接道する部分の土地を買い足すことで土地の価格は大幅に上がることが予想されます。
資金的に余裕があり、隣地を買取ることで土地の価値が上がる見込みがあれば、ぜひ検討してみてください。
逆に、資金的に難しい場合は、隣地の所有者へ自身が所有する土地を売却するという方法もありますので、この機会に隣地の方と話してみてはいかがでしょうか。
権利関係を解消してから売る
売れにくい土地の特徴でもご紹介したような「複数人で相続した共有名義の土地」や「土地の境界に越境や争いがある」などの、権利関係が複雑な土地は、権利関係を整理、もしくは解消してから売却を検討することをおすすめします。まず、土地の所有者や抵当権、地上権などの権利関係を明確にするために、不動産の登記簿謄本や契約書類などを入手しましょう。
1つの土地に3人の権利者が存在する場合などは、他の所有者と相談して権利を整理したり、自身がすべて持分を買取りしたいなど交渉する必要が出てきます。専門的な知識を多く必要としますので、専門家の助言を受けながら進めることが重要です。
適切な価格設定の見直し
土地には、地域ごとに必ず相場が存在します。そのため、土地が売れにくい場合は、価格が相場に合ってないなど価格設定が適切でないケースが考えられます。高く売りたいからと言って、相場からかけ離れた価格設定にすれば、当然買い手がつきにくくなります。また、なかなか買い手が付かないことで「売れ残り」の印象がつき、結果必要以上に値引きせざるを得なくなるということもあるので、価格設定は慎重に行いましょう。
相場を確認する方法としては、不動産情報サイト等に掲載されている近隣の売土地価格を調べてみたり、不動産会社に近隣の取引事例を出してもらうのも一つです。相場を基準にすることと、売れやすい要素となるプラス面や売れにくい要素となるマイナス面も踏まえて、価格を検討しましょう。
土地の特徴を理解し売却対策に活かそう
土地を高く売るためには、その土地の特徴や市場の動向を正確に把握し、適切な価格設定をすることが非常に重要です。高く売れる土地の特徴を知ることで、土地の価値を最大限に引き出し、売れにくい土地の特徴をふまえて適切な対策を講じることで、売却の成功につなげることができます。
ぜひ、今回の記事を参考にスムーズで損のない土地の売却につなげてください。
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