相続のこと

2024.10.31

【不動産の親子間売買】メリットやデメリット、全体の流れを徹底解説!

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不動産は贈与や相続という形で家族に残す以外に、親子間で売買することも可能です。

実はこの親子間の不動産売買は、親も子も得られるメリットがたくさんあります。

そこで本記事では、親子間で行う不動産売買のメリット・デメリットに加え、デメリットを避けるための方法などを紹介します。

親子間で不動産売買を行うメリットとは

柔軟な契約と素早い売却が可能

親子間の不動産売買は、仲介不動産業者を通した通常の取引に比べ、柔軟で素早い売却ができます。

通常の取引で感じるような「不動産が無事に売れるか」「期間内に手続きを終えられるか」という不安がほぼないため、焦らずに不動産を手放せます。

  • 仲介業者を選ぶ手間が省ける
  • 売却不動産の掃除や片付けをそこまで徹底しなくていい
  • 仲介業者に支払う仲介手数料がかからない
  • 売却後の住居探しが不要(一方の家を売却して、もう片方の家で同居する場合)
  • 買い手との交渉やトラブルが少ない
  • 確実に手放せる
  • 子どもにとっては親の老後資金援助ができる

心理的な負担が少ないのは、親子間の不動産売買における大きなメリットです。

贈与税がかからない

不動産売買によって発生する「譲渡所得税」と「贈与税」を比べると、「譲渡所得税」の方が低いという事実があります。

適切な価格で売却すれば、高い贈与税を払うことなく子どもに家を相続できます。

 

譲渡所得税とは、不動産を売却した際に発生する税金のことで、所得税・復興特別所得税・住民税を指します。

一方、贈与税とは「個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金(国税庁サイトより引用)」です。

基礎控除額として110万円がありますが、控除額を除いた額には20%の税率がかかります。

 

親子間でも適正価格で不動産を売買することで、贈与税の負担が大幅に軽くなり節税になるのです。

不動産を親族が持ち続けられる

不動産を購入する側の子どもは、長年住んでいた実家を手に入れることができ、貸家として資産運用に使ったり、さまざまなメリットがあります

不動産を売る親にとっては、今まで大切に住んできた家を不安なく手放せるうえ、持ち主が子どもになるためいつでも訪問できるという安心感もあります。

 

一方、通常通り仲介業者に依頼して赤の他人に不動産を売却すると、「我が家がなくなった」という喪失感を覚える可能性も。

親子間で売買することで、相続の問題を避けながら家族単位で不動産を維持することができます。

 

すでに所有者が変わっていれば相続で揉めることもなくなるので、様々なメリットがあります。

将来、不動産相続の手続きが不要になる

生前に不動産を売却し、子どもが所有者として登録されていれば、不動産に関する遺言を書く必要がなくなります

相続問題も避けられるため、親族トラブルが起こりにくくなります。

 

不動産を手放す前に亡くなってしまうと、場合によっては親族による協議が必要です。

親族が遠方に住んでいたり、疎遠な家系だったりすると、話し合いがまとまらずトラブルになることも。

 

親族関係の悪化を避け、時間や労力を減らすためにも、生前に親子間の不動産売買をしておくことは大きなメリットなのです。

親子間で不動産売買を行うデメリット・注意点

みなし贈与と判断されるリスク

親子間で不動産売買を行うと「みなし贈与」ではないかと税務署に問われることがあります。

これは主に、売却価格が相場よりも著しく低い場合に大く発生します。

もし「みなし贈与」と判断されると、たとえ金銭が発生した売買でも「生前贈与」と判断され、贈与税が課されます。

 

実際に、国税庁ホームページには以下の文言が掲載されています。

「その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した人から贈与により取得したものとみなされます(国税庁サイトより引用)」

 

みなし贈与と判断されないためには、相場に近い価格で不動産売買を行うことが大切です。

国土交通省指定の不動産流通機構が運営・管理する「REINS」や不動産業者の提供する「簡易査定」、不動産業者に依頼する「訪問査定」などを使って相場を調べましょう。

相場の調べ方については、こちらの記事をご覧ください。

住宅ローンの審査が厳しくなる

不動産を親子間売買する際に購入側が住宅ローンを組もうとすると、ローンの審査が厳しくなることがあります。

実際に住宅ローンを組めないケースもあるため、住宅ローンを考えている方は注意しましょう。

金融機関が住宅ローンの審査を厳しくする理由は、その資金の悪用を懸念しているためです。

 

ただし、親子間の不動産売買でも住宅ローンを組める金融機関はあります。

また、金融機関以外の選択肢として「ノンバンク」も検討しましょう。

ノンバンクとは「『預金等を受け入れないで与信業務を営む企業』を指す総称(金融庁サイトより引用)」です。

やや金利は高めですが審査に通りやすいため、住宅ローンが使えない場合に検討しても良いでしょう。

他の親族とのトラブル

親子間の不動産売買は、親族間の思わぬトラブルを招く場合もあります。

不動産は分割できないため、譲渡する人を誰か1人に決めなければいけません。

結果として、親族から「特定のひとりに財産を渡している」と思われる可能性があります。

 

トラブルを避けるために、不動産売買を決める前に家族や親族でしっかり話し合いを行いましょう。

不動産売却時には口約束ではなく売買契約書を作成し、書面で契約を残すこともポイントです。

 

また、遺言書は誰でも・いつでも書くことはできますが、個人で書いて保管したものは改ざんされる可能性もあります。

また、正しい書き方でなかった場合は無効になることも。

 

場合によっては遺言を法務局で管理してもらう、公証人に書いてもらうなどの工夫をしましょう。

特例控除が適用されない

不動産を親子間で売買すると、居住用財産(マイホーム)の売却で適用できる特例が使えません。

「3,000万円特別控除」の適用を受けるためには、「売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと(国税庁サイトより引用)」という条件があります。

 

また、10年以上所有したマイホーム売却に適用できる税率の軽減特例も使えません。

特例の適用を受けるための要件に「親子や夫婦など『特別の関係がある人』に対して売ったものでないこと(国税庁サイトより引用)」とあるからです。

 

特別な関係がある人には、親子関係や夫婦だけでなく、親族や内縁関係の人、特殊な関係のある法人も含まれている点に注意しましょう。

売買契約書を作成する

親子間で行う不動産売買では、デメリットを避けるために必ず売買契約を作成しましょう。

親子間の不動産売買であっても、一般的な不動産売買のステップを踏むことで「みなし贈与」となる確率が減ります。

 

売買契約書の作成のほか、以下のような必要書類があると余計なトラブルを避けられます。

  • 登記済証権利証(登記識別情報通知)
  • 本人確認書類
  • 確定測量図
  • 境界確認書
  • 都市計画税証明書・固定資産評価証明書(固定資産税の納税通知書)
  • 住民票
  • 印鑑証明書

 

売買契約書に明記する内容としては、以下が挙げられます。

  • 売買物件の詳細情報
  • 売買価格
  • 支払方法・支払期日
  • 物件引き渡し日
  • 特約事項

 

売買契約書や契約までの流れについては、こちらの記事にある「売買契約の締結手順」をご確認ください。

親子間売買の流れ

不動産価格の調査

相場より明らかに低い価格で売買すると、みなし贈与として判断される場合があります。

親子間売買であっても、しっかり相場を調べ、相場に近い価格で売買しましょう

 

不動産の相場は、以下の方法で調べることができます。

  • 国土交通省指定の不動産流通機構が運営・管理する「REINS」で近い物件を探す
  • 不動産業者の提供する「AI査定」や「簡易査定」で相場を把握する
  • 不動産業者に依頼し「訪問査定」を行う

 

「AI査定」「簡易査定」「訪問査定」の3つについては、こちらの記事をご覧ください。

それぞれのメリット・デメリットを紹介しています。

売買契約書の作成

親子間で不動産売買を行う場合も、登記簿謄本または登記事項証明書を取得してください。

登記謄本と登記事項証明書はほぼ同じですが、違いは以下の通りです。

 

  • 登記簿謄本:紙で管理されており、登記簿に記載されている内容を全部を複写して証明したもの
  • 登記事項証明書:コンピュータ・システムで管理されており、登記事項の一部または全部を証明したもの

 

登記簿謄本は不動産の情報が書かれた書類で、法務局が管理しています。

登記事項証明書は、法務局のオンライン申請で取得可能です。

指定した住所で受け取ったり、指定した登記所などの窓口で受け取ったりできます。

 

実際の売買には以下が必要になります。

買主・売主共通

  • 印鑑証明書(3カ月以内のもの)
  • 住民票(3カ月以内のもの)
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • 実印

売主のみ

  • 登記済証権利証(登記識別情報通知)
  • 本人確認書類
  • 確定測量図
  • 境界確認書
  • 都市計画税証明書・固定資産評価証明書(固定資産税の納税通知書)

契約と引き渡し

売買代金の受け渡しをする日に、同じく売買契約書に調印します。

不動産の名義変更も同時に行われるため、必要書類は過不足なく準備しましょう

 

親子間であっても、不動産売買の領収書を作成しておきましょう。税務署に提出する必要があります。

 

売買代金の授受・売買契約書の調印・不動産の名義変更の3つ、必要書類の受け渡しが終わったら、法務局で登記申請を行います。不動産の所在地を管轄する法務局で手続きを行いましょう

 

手続きを終えてから2~3週間後に、登記手続きが完了します。

もし不備があった場合は法務局から連絡が来ます。

法務局の職員から登記完了予定日を聞き、予定日以降に完了書類を取りに行きましょう。

税金の納付

不動産に売買によって得た利益があれば、売主である親は確定申告をする必要があります。

マイホームを売却した際に使用できる特別控除がありますが、親子間売買では使用できません。

 

売主である親は、翌年の確定申告で「譲渡所得」として申告しましょう。

確定申告は毎年2月16日から3月15日までで、前年度の1月1日から12月31日までに得た所得を申告します。

 

不動産を売却すると、「譲渡所得税」といわれる税金を支払う必要があります。譲渡所得税は以下の3つの総称です。

  • 所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税(2037年12月31日まで)

 

以下のどれかの方法から納付し、税金を納めましょう。

  • 振替納税
  • 電子納税(e-Taxによる口座振替、インターネットバンキング等からの納付)
  • クレジットカード納付
  • コンビニ納付(QRコード)
  • スマホアプリ納付(Pay払い)
  • 金融機関や税務署の窓口納付

 

まとめ

親子間での不動産売買は、親子共々にメリットが多い相続方法です。

親族トラブルやみなし贈与といったデメリットを避けるためには、親族間で納得いくまで話し合い、適正価格で取引することが大切です。

親子間の不動産売却であっても、必要書類をしっかり準備し、契約内容などを書面で残すことを心掛けましょう。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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