空き家のこと

2024.02.27

特定空き家は固定資産税が6倍に!法改正や有効活用についても解説

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利用していない空き家でも、所有しているだけで固定資産税の支払い義務は毎年発生します。
空き家を相続する人も増えており、「どう対処すれば良いか分からずに放置してしまっている」という方も多いのではないでしょうか。

2015年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、問題があると見なされた空き家を「特定空き家」に指定し、「固定資産税等の住宅用地特例」の対象外とすることとしました。この適用が解除になることで、固定資産税が最大6倍、都市計画税は最大3倍支払わなければいけなくなります。

さらに2023年には一部改正案が閣議決定され、「特定空き家」になる可能性がある空き家を「管理不全空家」とし、これについても住宅用地特例の対象外とすることになっています。

今回のコラムでは、空き家の固定資産税について詳しく解説していますので、ぜひ参考になさってください。

空き家問題と固定資産税の現状

空き家問題の概要

日本では今、「空き家問題」が深刻化しています。

空き家数の推移は昭和38年からずっと増加を続けており、平成30年(2018年) の総務省統計局の統計によると、国内の空き家割合は13.6%で約848万9千戸に上り、過去最高を記録しています。このうち、居住目的のない空き家は349万戸で、2030年には470万戸まで増加する見通しが立っています。

この状況は都市部と地方を問わず見られ、特に地方では高齢化や人口減少も影響し、空き家を取得する理由の半数以上が相続です。相続しても、利用する予定がないことや売りたくても売る条件が見合わないことなどで空き家を放置するケースも増えています。

単に空き家の数が増加しているというだけではなく、利用する予定がないことや売りたくても売れないなどで空き家を放置するケースが増えています。

放置されている空き家は、地域の治安悪化や景観の低下、更には倒壊や犯罪発生のリスクにつながる可能性が高いことで、社会的にも空き家増加の問題意識が高まっています。

このような空き家問題を解決するため、平成27年(2015年)5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行されました。

この施行によって、敷地への立入調査が認められるようになったり、住民票や戸籍などで所有者の個人情報を調べることも許可されるようになりました。

また、行政は調査によって問題があると見なされた空き家を「特定空き家」に指定し、空き家の所有者に対し、指導や勧告、命令等を行うことができます。

固定資産税を用いた空き家対策

たとえ人の住んでいない空き家であっても「住宅用地特例」は適用になるため、固定資産税の軽減措置を受けることができます。この軽減措置は、建物が建っている住宅用地を対象とし、土地の固定資産税を最大6分の1、都市計画税は最大3分の1に軽減されています。そのため、建物を解体して更地にしてしまうと適用にならず、固定資産税の支払い総額が増えてしまいます。

この特例があるために、どんなに老朽化した空き家でも建物を残したままの方が税制的に有利なので、空き家を維持する方が多いとも言えます。

この課題を解決するために、前述した「空家等対策の推進に関する特別措置法」で、管理が不十分で状態の悪い空き家は「特定空き家」に指定し、指定の翌年から「固定資産税等の住宅用地特例」の対象外とすることになりました。この適用が解除になるということなので、固定資産税が最大6倍、都市計画税は最大3倍支払うことになります。

固定資産税と空き家の関係性

固定資産税の役割と仕組み

固定資産税は、徴収した市町村で利用され、道路や学校、公園など公共施設整備のほか、介護・福祉などの行政サービスにも使われています。

毎年1月1日時点で、登記簿上の所有者として登記されている方が納税義務者であり、空き家に居住していなくても所有者と認められれば支払い義務があります。毎年4~6月に市町村から届く納税通知書で、その年に納めるべき税額を4期に分けて納付するか、一括で納付します。

また、固定資産税は「固定資産税評価額」を元に算出します。

ご自身が所有している不動産の固定資産評価額を調べるには、毎年の固定資産税の納税通知書に付いている「課税明細書」に記載されていますので確認してみてください。

空き家に対する固定資産税の影響

前述した通り、固定資産税の徴収は自治体にとって重要な財源の1つになっています。

空き家が多い地域では、空き家が資産価値を下げたり、周辺地域の不動産市場に悪影響を及ぼすことが考えられ、固定資産税の収入が減ってしまうことにもつながります。

また、固定資産税の徴収に加えて、空き家が増えることは、地域の景観や安全性が損なわれるため、周辺地域の住宅需要を抑制することも考えられ、まさに悪循環といえます。

 

空き家を有効活用する方法と固定資産税

空き家を価値ある財産に変える方法

空き家は負の資産として扱われがちですが、有効活用することで価値のある財産に変えられる可能性もあります。その例として2つご紹介いたします。

 

 

  • 賃貸として活用する

需要のある立地に位置する空き家であれば、賃貸に出すことで家賃収入を得ることができますし、リフォームやリノベーションなど改修を行うことで、より魅力的な物件にすることも可能です。

築年数の古い家には借り手がつかないと思いがちですが、あえて築年数の古い家を選んでスローライフを送りたいと考える人も近年増えていますので、先入観で決めつけず、不動産会社に相談してみると良いでしょう。

また、低所得者用の賃貸として貸し出すことで補助金を受けられる「家賃低廉化補助制度」を利用できる場合もあります。適用には条件がありますが、基準をクリアする住宅であれば国・自治体から最大月額4万円の補助金を最長10年間受けることができます。

 

  • 売却する

条件のよい空き家であれば、売却で利益を得られる可能性があります。

通常、不動産を売却して利益が出ると売却益に対して税金が掛かりますが、一定の条件を満たす空き家の場合は非課税となる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」もあります。

または不動産会社に直接買い取ってもらう、買取という方法もあります。買い手を探す必要がないので、価格の折り合いが付けばすぐに不動産会社へ売却でき、お金を得ることができます。しかし需要が少ない立地にある空き家だと、買取も断られてしまうケースもありますので覚えておいてください。

 

有効活用による固定資産税の軽減

空き家を賃貸にすることで、引き続き「住宅用地特例」が適用になり、固定資産税の軽減措置を受けることができます。

また、空き家を賃貸して人が住むことで目が行き届き、建物の劣化や老朽化のスピードも遅くなるというメリットもあります。

一方、空き家の売却では、固定資産税の支払いが不要になることはもちろん、管理の手間や維持費もかからなくなります。前述でもお伝えしましたが、一定の条件を満たす空き家であれば、確定申告をすることで譲渡所得の金額から最高3000万円を控除することができる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」も利用できます。

 

固定資産税に関する法律と制度

 

空き家に適用される固定資産税に関する法律

空き家の適切な管理を強化するため、平成27年(2015年)5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行されました。

この施行によって、管理がされていないと思われる空き家に関して、所有者の許可を得ることなく敷地の立入調査が可能になり、住民票や戸籍などで所有者の個人情報を調べることも自治体に認められています。

また、調査によって問題があると見なされた空き家を「特定空き家」に指定し、空き家の所有者に対し、指導や勧告、命令等を行うことができる他、「特定空き家」に指定されると指定の翌年から「固定資産税等の住宅用地特例」の対象外とすることになりました。

この適用が解除になるということなので、固定資産税が最大6倍、都市計画税は最大3倍支払わなければいけなくなります。

 

固定資産税の軽減策や補助制度

固定資産税の軽減特例のほか、各自治体では空き家問題を解決するために様々な補助金制度を設けています。利用できるものがないか、まずは問い合わせてみるのが良いでしょう。この章では「住宅用地の特例」と「空き家解体補助金制度」についてご紹介いたします。

 

・住宅用地の特例

家が建っている住宅用地に関しては下記のような固定資産税の減額特例が設けられています。

区分 固定資産税の計算式
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 固定資産税評価額×1/6×1.4%
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 固定資産税評価額×1/3×1.4%
建物がない空き地(更地) 固定資産税評価額×1.4%

 

例えば、面積が200㎡の住宅用地で固定資産税評価額が土地1,000万円・建物500万円の合計1,500万円の場合、固定資産税は35,000円になります。(1,500万円×1/6×1.4%=35,000円)

しかし、建物がない更地の場合は減額特例が適用にならず、計算式が土地評価額1,000万円×1.4%になりますので、固定資産税額は140,000円となり、金額に大きな違いが出ます。(1,000万円×1.4%=140,000円)

 

・空き家解体補助金制度

老朽化によって倒壊の危険が高くなった空き家の解体に利用できる補助金制度です。自治体が主体となっている制度なので、自治体によって呼び名や補助金額が異なります。補助金額の目安としては、50万円を上限として解体費用の1/5~1/2程度の支給が多いようです。

 

空き家と固定資産税の未来

 

今後の空き家問題と固定資産税の動向

居住目的のない空き家は349万戸で、2030年には470万戸まで増加する見通しが立っています。そこで、2023年3月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部改正案が閣議決定されました。この法改正は「特定空き家」になる可能性がある空き家を「管理不全空家」とし、住宅用地特例の対象外とするものです。 つまり、倒壊など著しい危険や衛生上有害となる恐れがない状態の空き家でも、固定資産税が最大6倍にまで上がる可能性があるということです。

「管理不全空き家」の具体的な基準は今後定めていくとされていますが、放置すれば「特定空き家」になるリスクがあるものが該当します。「管理不全空き家」に該当するものは、全国で24万戸程度が当てはまるとされており、政府はこの法改正することで2030年頃の空き家の数を400万戸程度に抑えたいという意向です。

 

空き家の有効活用と固定資産税の最適化を

これまで解説してきたように、利用していない空き家でも所有している限り、固定資産税の支払い義務が発生します。空き家を残したままの方が住宅用地の特例が適用になり、固定資産税が軽減されますが、放置したままにしておくことはオススメできません。

賃貸にしたり、売却したり、工夫次第で空き家を価値のある財産に変えられる可能性もあります。国としても空き家の増加が問題視される今、相談窓口も利用しやすくなっていますので、早めに対策しておきましょう。

弊社「S plus home(エスプラスホーム)」では、札幌や札幌近郊の不動産売却の仲介や買取を行っています。空き家のご相談や査定についても無料で承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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