相続のこと

2023.02.08

アパート相続の減価償却は節税につながる!計算方法も理解しよう。

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こんにちは、札幌の不動産会社「S plus home」の浜谷です。

 

アパートなど事業用不動産の相続において、「減価償却」はしっかりと理解しておきたいポイントの一つです。

 

ただ、減価償却についてご自身で調べようと思っても「難しくてよく分からない」などと感じる方も多いのではないでしょうか?

 

減価償却費は、確定申告や譲渡所得を計算する際に使用したり、節税にも関わってくる重要なものです。

 

この記事では、相続アパートの減価償却について知りたい方向けに、出来るだけ分かりやすく簡潔にまとめ、具体的な計算式や例を記載しております。

 

ぜひ、ご自身の状況に合わせながらご覧ください。

減価償却費の基本知識

「減価償却」というのは、アパートの建物部分が年数の経過によって劣化・価値が減少していく分の金額を、帳簿上の建物価格から減らしていく会計処理のことです。

 

あくまでも会計上のルールとしての費用なので、実際の建物の減耗や劣化に相当する金額でもなければ、その分のお金の支払いを必要とするものではありません。

 

支払いがないにも関わらず、帳簿上は経費として計上できるため節税の手段としても利用されています。

 

また、アパートの土地部分については減価償却を行う必要がありません。

 

実際の土地価格は、市況によってその時々で変化がありますが、会計上、土地は年数の経過に関わらず、価値が下がらないと考えられるためです。土地の借地権なども同様です。

 

そのため、不動産の減価償却は「建物価格」と「土地価格」を分けて、建物価格にのみ減価償却を行います。

アパート相続の減価償却において引き継ぐ事項

相続で取得したアパートは、亡くなった方(被相続人)から「取得価額」「耐用年数」「経過年数」「未償却残高」を引き継ぎます。

 

相続したアパートの減価償却費を算出するためには、まず被相続人から引き継ぐ事項を確認しましょう。

【引き継ぐ事項】

・取得価額

・耐用年数

・経過年数

・未償却残高

アパート相続の減価償却において引き継がない事項

相続で取得したアパートにおいて、「償却方法」は引き継ぎません。

 

2007年(平成19年)3月31日以前に取得したアパートは、これまで旧定額法と旧定率法のどちらかを選択することが出来ましたが、2007年(平成19年)4月1日以降に取得したアパートからは定額法で償却の計算を行わなくてはいけません。

 

被相続人がアパートを取得したのが平成19年4月1日以降であれば、償却方法は相続人も同じになります。

減価償却費の計算方法

先ほども記載した通り、事業用不動産の減価償却計算は、取得した時期によって計算式が異なります。

 

取得時期 計算方法 備考
1998年(平成10年)4月1日以降 旧定額法 建物の償却方法は定額法のみ
2007年(平成19年)4月1日以降 定額法 1円まで償却可能
2012年(平成24年)4月1日以降 定額法 200%定率法の開始
2016年(平成28年)4月1日以降 定額法

※個人の場合の表になります。また、付属設備を含めるか含めないかで計算方法が異なる場合があります。

 

大きく分けて、2007年(平成19年)の3月31日以前取得のものが旧定額法、4月1日以降取得のものが定額法となりますので、次の章で具体的な計算式をご紹介いたします。

2007年(平成19年)3月31日以前に取得した資産の計算式

減価償却費の計算方法は、以下のようになります。

減価償却費=(建物購入価額-残存価額)×償却率×業務に供された月数÷12
      = 建物購入価額×0.9×償却率×業務に供された月数÷12



「残存価額」は取得価額の10%で算出し、「償却率」は下記旧定額法の償却率を用います。

 

「業務に供された月数」は、月単位になります。毎月1日でも月をまたぐと1カ月としてカウントする必要がありますので注意してください。

【旧定額法の償却率】
耐用年数 償却率   耐用年数 償却率   耐用年数 償却率   耐用年数 償却率   耐用年数 償却率
11年 0.09 21年 0.048 31年 0.033 41年 0.025
2年 0.5 12年 0.083 22年 0.046 32年 0.032 42年 0.024
3年 0.333 13年 0.076 23年 0.044 33年 0.031 43年 0.024
4年 0.25 14年 0.071 24年 0.042 34年 0.03 44年 0.023
5年 0.2 15年 0.066 25年 0.04 35年 0.029 45年 0.023
6年 0.166 16年 0.062 26年 0.039 36年 0.028 46年 0.022
7年 0.142 17年 0.058 27年 0.037 37年 0.027 47年 0.022
8年 0.125 18年 0.055 28年 0.036 38年 0.027 48年 0.021
9年 0.111 19年 0.052 29年 0.035 39年 0.026 49年 0.021
10年 0.1 20年 0.05 30年 0.034 40年 0.025 50年 0.02

※耐用年数については次章で解説しています。

2007年(平成19年)4月1日以降に取得した資産の計算式

減価償却費の計算方法は下記です。

 

減価償却費=建物購入価額×償却率×業務に供された月数÷12

償却率は、下記の新定額法の償却率を使って計算します。

【新定額法の償却率】
耐用年数 償却率   耐用年数 償却率   耐用年数 償却率   耐用年数 償却率   耐用年数 償却率
11年 0.091 21年 0.048 31年 0.033 41年 0.025
2年 0.5 12年 0.084 22年 0.046 32年 0.032 42年 0.024
3年 0.334 13年 0.077 23年 0.044 33年 0.031 43年 0.024
4年 0.25 14年 0.072 24年 0.042 34年 0.03 44年 0.023
5年 0.2 15年 0.067 25年 0.04 35年 0.029 45年 0.023
6年 0.167 16年 0.063 26年 0.039 36年 0.028 46年 0.022
7年 0.143 17年 0.059 27年 0.038 37年 0.028 47年 0.022
8年 0.125 18年 0.055 28年 0.036 38年 0.027 48年 0.021
9年 0.112 19年 0.053 29年 0.035 39年 0.026 49年 0.021
10年 0.1 20年 0.05 30年 0.034 40年 0.025 50年 0.02

※耐用年数については次章で解説しています。

耐用年数の算出方法

減価償却の計算には、上記に表で掲載した償却率を用います。償却率は「耐用年数」に応じて異なりますので、その耐用年数の出し方について解説していきます。

相続アパートの場合、耐用年数は被相続人のものを引き継ぎます。

新築で購入した物件の場合

下記表の法定耐用年数がそのまま耐用年数になります。

 

アパート建物構造 法定耐用年数(事業用)
鉄筋コンクリート造 47年
鉄骨造(4mm超) 34年
鉄骨造(3mm超) 27年
鉄骨造(3mm以下) 19年
木造 22年
木造モルタル 20年

 

事業用とは、アパートなどの賃貸物件や店舗、事務所等を指し、マイホームやセカンドハウスは非事業用になりますので耐用年数は上記と異なります。

中古で購入し、築年数が法定耐用年数の一部を超えている場合

中古で購入し築年数が経過している場合は、上記①で掲載した法定耐用年数から経過年数を引き、下記の計算式にあてはめて算出します。

 

耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

 

例:築10年の鉄骨コンクリート造物件を購入した場合の耐用年数

(47年-10年)+10年×20%=耐用年数39年

 

この場合、新定額法の39年の償却率は0.026です。

この償却率を前章でご紹介した減価償却費の計算式にあてはめて計算します。

 中古で購入し、築年数がすでに法定耐用年数を超えている場合の耐用年数

上記に記載した法定耐用年数一覧表の該当法定耐用年数を用いて、下記の計算式で算出します。

 

耐用年数=法定耐用年数×20%

 

例:築25年の木造物件を購入した場合の耐用年数

22年×20%=耐用年数4年

 

この場合、新定額法の4年の償却率は0.25です。

この償却率を前章でご紹介した減価償却費の計算式にあてはめて計算します。

節税のためにもまず減価償却の算出をしよう

アパートの相続は、引き継ぎ事項が多岐にわたるため一度に把握するのは容易なことではありません。

 

しかし、引き続きアパートの賃貸経営を続けるのであれば、減価償却の知識をしっかりと理解することで節税にもつながります。

 

また、もし売却を考える場合でも、減価償却の知識が乏しいと譲渡所得が大きくなることで想定外の譲渡所得税が課税されてしまうケースもあります。

 

アパートを相続したら、ぜひこの記事の内容を参考にして節税を成功させましょう。

 

弊社「S plus home(エスプラスホーム)」では相続アパートの売却に関するご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

ご相談はコチラ(https://s-plushome.jp/consultation)から

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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