相続のこと

2023.10.18

亡くなった人の土地の名義変更が義務化に!必要書類や手順について詳しく解説。

facebook

twitter

line

こんにちは。札幌の不動産会社「S plus home」の浜谷です。

 

亡くなった親の家を相続する場合、名義変更など様々な手続きを行ったり、相続税が発生する可能性があったりなど、解決すべき問題がたくさん出てきます。

 

特に、相続登記については2024年4月1日より義務化が実施され、相続人が不動産を相続したときから3年以内に申請しなければならなくなります。正当な理由なく、名義変更を怠った場合には10万円以下の過料に処されますので、早めに名義変更をする必要があります。

 

しかし、初めて不動産相続をされる方にとって「やり方がわからない」という方がほとんどだと思います。

 

この記事では、家の相続があり売却までご検討されている方向けに、具体的にどのような手続きを行えばいいのか、名義変更の方法や手順をわかりやすく解説しています。

 

亡くなった人の土地を名義変更しないことで生じる問題点

まずはじめに、名義変更をしないことで考えられる5つのデメリットをご説明します。名義変更をしたことがない人は「正直よくわからないし、面倒だ」と思うことも多いです。

ですが、デメリットを理解することで「今すぐにでもやらなければ」という気持ちになるはずです。

以下より1つずつ解説していきます。

 

名義変更しないと罰則を科せられる恐れがある

所有者不明の土地の発生を防ぐことを目的として、2021年4月21日に「相続登記を義務化する改正案」が可決成立しました。この法案では、正当な理由がないのにも関わらず3年以内に登記申請をしないでいると、10万円以下の過料の対象となります。これは、遺言など相続人に対する遺贈により所有権を取得した者も同様です。

現時点で登記せず問題のない土地でも、法案施行により罰則が科される恐れがあるため、早めに土地の名義変更が必要になります。

 

名義変更しないと土地を売却・賃貸できない

たとえ相続した不動産でも、売却や賃貸などは名義人本人しかできません。そのため、名義変更をしないと、不動産の売却や賃貸はもちろん、改築や増築などをしたい場合にも不動産が活用できない状態になってしまいます。

 

名義変更の手続きが複雑になる

名義変更せずに長期間放置することで、手続きに必要な書類が入手しにくくなってしまうなど、さらに名義変更が大変になってしまうリスクがあります。例えば、相続人であった人が病気などで亡くなってしまい、新たな相続人が増えることで、名義変更に関わる人も書類も増えますので、手続きが煩雑になり想像以上の手間と時間を要するなどです。

 

相続人が認知症等になってしまった場合、遺産分割協議ができない

年を重ねるにつれて、相続人の病気や認知症のリスクが高まり、意思確認が不可能になってしまうリスクもあります。

意思確認ができない場合は、遺産分割協議もできなくなりますので、代わりに成年後見人(認知症等で意思能力がない人の代わりに、法的な決断や財産管理をする人)を選任しなくてはいけません。

成年後見人の選任は、家庭裁判所で申立てを行う必要がありますので、相続登記前の段階で手続きが多数発生してしまう可能性があるのです。

 

土地を差し押さえられる可能性がある

複数人で不動産を相続する場合、相続人の中に借入等の債務がある人がいると、その債務の債権者から不動産を差し押さえられる可能性があります。

相続不動産の名義変更をしていないということは、相続人全員でその不動産を共有している状態とみなされますので、債権者が相続人の持分を差し押さえることが出来るということです。

実際に差し押さえが実行されると、不動産の売却等が困難になるなどのリスクがあります。

 

亡くなった人の土地を名義変更する方法

土地の名義変更をする方法は、「自分で行う場合」と「司法書士に依頼する場合」の2パターンがあります。

基本的に自分で手続きを行う場合、費用は抑えられますが、かなりの時間と労力が掛かります。早めに相続登記や売買を成立させたいと考えている方は、登記を司法書士へ依頼する方がおすすめです。

ただし、どちらを選んだ方が良いかは、相続の状況や名義変更にどのくらい時間を割けるか等によって変わりますので、

以下より詳しく説明していきます。

 

メリットとデメリットの比較

この章では、名義変更を「自分で行う場合」と「司法書士に依頼する場合」において、それぞれのメリット・デメリットについて説明していきます。

 

名義変更の方法 自分で行う場合 司法書士に依頼する場合
メリット ・費用を安く抑えられる ・自分で行うより時間を短縮できる
・法務局等へ行くなどの労力削減
・専門家へ任せる安心感がある
デメリット ・時間と労力がかかる ・司法書士へ報酬を支払う必要がある
・書類取得を平日の日中にする必要がある
・不明な点など自身で調べる必要がある

 

このように、どちらの方法を選択するかの大きなポイントになるのは「それぞれどのくらいの費用」がかかるかという点です。

相続の土地を名義変更する費用は、土地の価値や名義変更の方法によって変わります。

相続する土地の価値が高いほど、納める税金も高くなり、名義変更の費用も上がります。

仮に相続の土地価格が1,000万円だとした場合の、名義変更費用についても下記に詳しく表でまとめましたのでご参照ください。

 

  自分で行う場合 司法書士に依頼する場合
登録免許税 40,000円 40,000円
必要書類の取得費 1,000~5,000円 1,000~5,000円
その他(交通費や郵送費) 5,000~10,000円 5,000~10,000円
司法書士への報酬 60,000~80,000円
合計 46,000~55,000円 106,000~135,000円

 

このようにそれぞれの方法で異なる点は「司法書士への報酬があるか否か」です。この費用がないだけで名義変更にかかる費用が半額程度になりますが、自分で行う場合には時間と労力が必要になります。どちらの方法が良いか次章でさらに詳しく解説していきます。

 

亡くなった人の土地を自分で名義変更する場合

この章では、相続の土地を自分で名義変更する場合の手順や必要な書類、費用、期間等について詳しく説明します。

 

手順

名義変更の手順は、以下の5つのステップで行います。

1つずつ詳しく解説していきます。

 

①登記事項証明書の取得

②法務局で手続きの相談

③必要書類の取得

④登記申請書の作成

⑤法務局に申請書を提出

 

  • 登記事項証明書の取得

登記事項証明書は登記簿謄本とも呼ばれ、土地の権利状況や所在地、面積、抵当権等を確認できるものです。どこの法務局でも取得が可能です。

窓口で取得する場合は、法務局に備え付けられている請求用紙に必要事項を記載し、発行手数料分の収入印紙貼付後、窓口に提出します。 郵送でも、法務局のホームページから請求用紙をダウンロードし、必要事項を記載、発行手数料分の収入印紙を貼付後、返信用封筒を同封することで取得が可能です。

法務局で手続きの相談

名義変更が初めての場合や手続きに自信がない方は、相続の土地を管轄する法務局の窓口で相談するとスムーズに進められるでしょう。法務局の相談は予約制なので、事前に電話で予約をしてください。

また、土地を管轄する法務局を調べるには、各法務局のホームページにて確認するか、土地のある都道府県の法務局本局に電話問い合わせでも可能です。

各法務局ホームページ:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kakukyoku_index.html

 

必要書類の取得

登記事項証明書で不動産と相続人の確認を済ませた後は、法務局へ登記申請する際の必要書類を市区町村役場等で入手します。

必要な書類は、状況により異なりますので事前に法務局で確認しておくのがおすすめです。

以下、一般的に必要になる書類リストです。

 

【必要書類リスト】

・被相続人(=亡くなった人)の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍・除籍謄本

・被相続人(=亡くなった人)の住民票除票か戸籍の附表

・相続する不動産の固定資産評価証明書(申請する年度のもの)

・登記事項証明書

・相続人全員の戸籍謄本​または妙本

・相続する人の住民票および印鑑(認印でも可)

・印鑑登録証明書

・固定資産税納税通知書

・遺言書

・遺産分割協議書

・相続関係説明図(必要な場合のみ)

・登録免許税

・委任状(代理で申請する場合のみ)

 

登記申請書の作成

必要書類が揃ったら、「登記申請書」を作成しましょう。登記申請書は、様式が決められていますので、法務省のホームページに掲載されている見本を見ながら記入すると良いでしょう。

登記申請書が作成できたら、登録免許税に該当する額の収入印紙を貼り付け、準備した書類と一緒にまとめておきます。

 

法務局に申請書を提出

上記すべての準備が整ったら、相続登記対象の不動産を管轄する法務局にて申請を行います。

相続登記は、窓口以外でも郵送やオンライン申請も可能です。相続人が複数いても、登記申請に行くのは代表者一人で問題ありません。

 

費用

ここでは必要書類等も合わせた詳細な費用をご紹介していきます。市区町村により金額が異なる場合がありますので、目安としてご参照ください。(以下リストは札幌市の例です。)

 

・登記事項証明書:1通600円(オンライン申請の場合は1通500円)

・戸籍謄本:1通450円

・除籍謄本:1通750円

・住民票・住民票除票:1通350円

・印鑑登録証明書:1通350円

・固定資産評価証明:土地1筆につき400円、家屋は固定資産課税台帳1枚につき400円

・登録免許税:固定資産評価額の1000分の4(遺贈の場合1000分の2)

・交通費や郵送費等

 

期間

次に、名義変更するために必要な期間について説明していきます。

相続登記の申請書を法務局に提出し受理、実際に名義変更に至るまで、最短でも約2〜3週間の時間がかかります。

亡くなった人が出生から亡くなるまで引越しをしたことがなく、相続人が1人しかいないなどのシンプルなケースでは、必要書類の準備にそれほど時間がかからないので、比較的スムーズに進むことが予想されますが、亡くなった人の本籍が遠方であったり、本籍地を移動した経緯がある、相続人が複数いるなどの複雑なケースでは、申請前に遺産分割協議書をまとめるなどの作業もありますので、1カ月以上時間がかかると考えておいた方が良いです。

また、法務局の開庁時間は平日の日中に限られていますので、仕事で時間が取れない場合はそれだけで時間がかかってしまいます。必要書類の入手等で4~5回は法務局に行く必要があることを覚えておいてください。

 

司法書士に依頼して土地の名義変更する場合

では、司法書士に依頼して名義変更する場合をみていきましょう。

自分で行う場合との違いについても触れていきますので、どちらの方法で名義変更するか判断材料にしてください。

 

手順

司法書士に相続登記を依頼する場合は、以下3つのステップで進めていきます。

 

①事前相談・見積もり

②必要書類の取得

③登記識別情報の取得

 

  • 事前相談・見積もり

司法書士といっても、その仕事は多岐に渡りますので、相続登記依頼の場合は、相続の実績が豊富な司法書士を探すことが重要です。司法書士事務所や司法書士会のホームページ等から電話・メール等で問い合わせ、相談・見積もり依頼を行います。費用は事務所によって異なりますので、何社か見積もりをとってみましょう。

 

②必要書類の取得

必要書類については自分で行う場合と同じ内容になりますが、法務局の開庁時間である平日8:30~17:15まで仕事でなかなか時間が取れない、相続人が複数人いて必要な書類が通常より多いなどの場合は、司法書士へ依頼する方がスムーズにいくでしょう。

 

③登記識別情報の取得

土地の名義変更が完了すると、登記識別情報通知が納品されます。

登記識別情報とは、従来の登記済権利証に代わるもので不動産の名義変更された場合に新たに名義人となる人に登記所から通知される重要な書類です。こちらが納品されると名義変更は完了となります。

 

費用

前章「3-2.メリットとデメリットの比較」にて記載した通り、司法書士への報酬6~8万円を含めて合計10~13万円程度の費用が想定されます。

ホームページに費用の概算を掲載している司法書士事務所も多いですが、実際に見積もりをもらうと金額が大きく異なっていたり、詳細があいまいで依頼した後に金額が変更されるケースもあるようなので注意が必要です。

また、すべて司法書士が代理で行ってくれるのか、自分で行わなければいけないことがあるかも確認しておきましょう。

 

5-3.期間(200文字程度)

こちらも相続人の人数等ケースにより異なりますが、数週間~1ヵ月程度の期間が一般的です。戸籍収集など必要書類の取得に最も時間がかかりますので、相続が複雑なケースは2ヵ月程度かかる場合もあるでしょう。基本的には司法書士の方が代理で行ってくれますので、自分で行うよりも時間と労力がかかりません。

 

亡くなった人の土地の名義変更をスムーズに行うためのポイント

書類の用意は早めを意識する

前章でリストアップした通り、名義変更に必要な書類は多岐に渡り、入手に時間がかかる場合もあります。2024年4月1日より相続登記の義務化が実施され、相続人が不動産を相続したときから3年以内に申請しなければならなくなりますので、期限遅れがないよう早めに用意しておきましょう。

 

関連法令や手続きの流れを把握

相続登記の義務化は、法改正後に発生した相続のみが対象になるのではなく、法改正以前から相続登記をしていない不動産についても適用があります。自分自身が把握していないことで思わぬ出費やトラブルに巻き込まれる可能性もありますので、最低限の知識を身に着けておくのが大切です。

 

困ったときは専門家の助言を求める

土地の名義変更は、これまでご紹介した通り自分で行うことができますが、初めての方には時間と労力のかかる大変な作業です。自分で行おうとしたけど、スムーズに進められなくて1年以上放置しつづけてしまっている等のケースも少なくありません。なにか困ったことがあれば、専門家の助言を求め、早期に解決することをおすすめします。

 

まとめ

これまで解説してきた通り、相続登記については2024年4月1日より義務化され、相続したときから3年以内に申請しなければならなくなり、名義変更を怠った場合には10万円以下の過料に処されます。

登記に必要な書類は多岐に渡り、時間がかかるケースも少なくありませんので早めに行うことが大切です。

 

土地は相続人同士で分けることが難しいため、相続人が複数いるなどの場合は売却して売却益を分割するという手もあります。そういった場合は不動産会社に相談すると良いでしょう。

売却を前提に不動産会社に相談すると、名義変更の手続きについてもサポートしてもらえる場合があります。弊社「S plus home(エスプラスホーム)」では、札幌や札幌近郊の不動産売却の仲介や買取を行っています。ご相談や査定についても承っておりますので、お気軽にご相談ください。

 

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

facebook

twitter

line

お問い合わせ Contact

「不動産売却について」「不動産買取について」「当社について」など、
お困りごとがございましたら何でもご相談ください。

エスプラスホームへの
お問い合わせはこちら