「新築一戸建てを建てたものの、住む予定がなくなった」という場合は、新築の物件として売り出すことができます。
新築の物件は不動産としての価値が高く、購入時の価格とほぼ同じ価格で売れる可能性も。
本記事では、新築の一戸建てを売却する際の注意点や、効率よく売る方法、売却までのプロセスについて紹介します。
新築一戸建て売却に必要な知識を身につけ、トラブルの無い売却方法を学びましょう。
新築一戸建て売却の注意点
建てたばかりの新築一戸建ては売却可能な物件ですが、売る際に注意点があります。
ここでは「新築」と表記できる条件や、組んだばかりの住宅ローンの問題、購入希望者に伝える売却理由について学び、トラブルを防ぎましょう。
既に住んでいる場合は中古住宅扱いになる
新築一戸建てを売却する際は、その住宅が「新築」に当てはまるか条件を見直しましょう。
「新築」と表記できる条件は、以下のように法律で定められています。
「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、また人の居住のように供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう ー 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第二条
そのため、1日でも人が住んだことのある物件や、未入居であっても建ててから1年を過ぎた物件は「新築」と表記できません。
新築に当てはまらない場合は、「浅築」と表記することもあります。
「浅築」は明確な条件は定められていませんが、以下のように捉えられています。
- 人が住んだことがなく、建てられてから1年以上が経過した物件
- 1年以内に1回以上、人が住んだことのある物件
- 築年数が5年以内の物件
新築に比べ、浅築は価格が10%~20%低く設定されます。
参照:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」
住宅ローン残債がある場合の対処法
新築一戸建てを売却する際は、住宅ローンをしっかり確認しましょう。
住宅ローンの残債がある場合、基本的に物件は売ることができません。
しかし、例外として現時点で住宅ローンがあっても売却できる方法が3つあります。
- 一括返済する
- 住み替えローンを活用する
- 任意売却する
一括返済する
住宅ローンの金額と売却額があまり変わらない場合、売却した金額で住宅ローンを返せます。
住宅ローンの残債を物件の売却額で支払うことは「アンダーローン」と呼ばれます。
売却と返済が同時に行われるため、物件を手放すことが可能です。
- メリット:売却時に住宅ローンを返済できる
- デメリット:残債が多いとアンダーローンにならない
住み替えローンを活用する
売却する新築物件の住宅ローンと、新たに購入する物件の住宅ローンを同時に組めるサービスが「住み替えローン」です。
売却額が住宅ローンの残債を上回っていても、売却することはできます。
- メリット:住宅ローン残債のある物件を売却し、新しい物件を購入できる
- デメリット
- 債務が高額になる
- ローンを組むための審査が厳しい
任意売却する
住み替えローンが組めず、売却額の査定額も低い場合でも「任意売却」により物件を売ることができます。
任意売却をするためには、住宅ローンを組んでいる金融機関の合意が必要です。
- メリット:資金の調達ができなくても売却できる
- デメリット:任意売却のための条件を満たす必要がある
住宅ローンの残債がある住宅の売り方の詳細は、弊社のこちらの記事をご覧ください。
家や周辺環境の不具合をはっきり伝える
新築一戸建てを売却する際は、不具合や欠陥を不動産会社と買主にしっかり伝えましょう。
売買契約書や重要事項説明書を作成する前に、不動産会社に不具合などを伝えるのがベストです。
家や周辺環境の不具合について明確に伝えていない場合、売主は「契約不適合責任」を問われ、トラブルの原因となります。
売買契約書に記載の無かった家や周辺環境の不具合が見つかった場合、売主は責任をとらなければなりません。
不具合や欠陥などの瑕疵(かし)を隠すと、後々で発生する問題につながります。瑕疵(かし)を伝えないことのデメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
新築一戸建ての売却価格を最大化するコツ
新築一戸建ては浅築・中古の物件よりも高く売ることができます。
以下で紹介する4つのコツをつかみ、高い価格で売却しましょう。
少しでも早く売りに出す
新築一戸建ては、売ると決まったらすぐに売却の準備にかかることがポイントです。
物件に入居したことが無い場合は「新築」と表記して売れますが、1年以内の時間制限があります。
物件には内装や設備のトレンドもあるため、トレンドが廃れないうちに売る必要があります。「建てたばかりであり、誰も入居したことがない最新の物件」とアピールできるよう、できるだけ早く査定を行いましょう。
効率的な売却のコツは以下の通りです。1から順に進めることをおすすめします。
- 住宅ローンが完済しているかを確認する
- AI査定や簡易査定を使って相場を把握する
- 似た条件の物件の相場を調べる
- 複数の不動産会社に訪問査定を依頼する
- 必要書類を準備しておく
売れやすいタイミングを見極める
不動産業界には繁忙期と閑散期があります。
4月前は新生活、9月は年末の人事異動に向けて不動産の売買が盛んです。
繁忙期に間に合うように、スケジュールを調整しましょう。
- 繁忙期:2月~3月、9月
- 閑散期:1月、8月
令和4年「(公財)不動産流通推進センター」の資料では、売りに出される一戸建て物件の登録数がもっとも多い月は10月・11月で約37万戸、成約報告件数がもっとも多い月は3月・10月で約5,600件です。
売却活動にかかる時間は、平均3ヶ月から半年です。
広告を出してから購入希望者が現れ、すぐに売買契約が結ばれたとしても、買主の住宅ローンの審査などに時間がかかることがあります。
売買契約から引き渡しまでには1か月から2か月かかるため、売るタイミングは余裕を持って見積もりましょう。
適切な売り出し価格を設定する
価格設定を高くしすぎると、売れ残る可能性があり「新築」と表記できなくなる可能性もあります。
以下の3つのサイトを活用しながら、正しい相場を把握した上で価格を設定しましょう。
- 不動産会社が提供する机上査定やAI査定
- 土地総合情報ライブラリ(国土交通省が運営)
- REINE Market Information(国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営)
これらで相場がわかったら、不動産会社に物件を実際に見てもらう「訪問査定」を依頼することをおすすめします。
先に訪問査定を行うと、相場と異なる価格を提示されても、判断ができないためです。
複数の不動産会社に訪問査定を依頼し、物件の良い点・悪い点を説明して、物件の価値を正確に設定しましょう。
売却の理由を明確に伝える
多くの人は、売却中の新築戸建てを見て「なぜ売ったのか?」と疑問に思います。
何かあるはず、怪しいかも、と思われないためにも、新築一戸建てを売ることになった理由を明確に伝えましょう。
離婚や経済的な困難については、購入希望者や買主に伝える義務はありません。
義務はありませんが、伝えることで安心感を与え、早期売却につながります。
売却理由を伝えないことで責任が問われる瑕疵の種類には、以下の4つがあります。
- 物理的瑕疵:シロアリや雨漏り、地盤沈下など物件そのものの瑕疵
- 法律的瑕疵:建築基準法や消防法、都市計画法などに物件が違反している瑕疵
- 心理的瑕疵:物件が事故物件や事故現場、抵抗を感じられる施設が近くにある
- 環境的瑕疵:近隣トラブルや騒音、異臭などの環境面での瑕疵
不動産会社と相談し、どの程度売却理由を伝えるかの検討が必要です。
物件を売る際には、買主が安心感を持って購入できるように心掛けましょう。
新築一戸建て売却の流れ
新築一戸建ての売却も、中古住宅の売却と同じ流れで行います。
全体の流れを最後まで把握し「新築」と表示できる期間内に売りましょう。
売却前の準備(査定依頼など)
売却前の準備として、相場の把握・査定の依頼が挙げられます。
以下の3つのサイトを活用しましょう。
- 不動産会社が提供する机上査定やAI査定
- 土地総合情報ライブラリ(国土交通省が運営)
- REINE Market Information(国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営)
訪問査定の前に、必要書類を準備しておくことでスムーズに話が進みます。以下は必要書類の一例です。
- 不動産登記簿謄本
- 登記識別情報(権利証)
- 固定資産税納税通知書
- 建物の図面や測量図
- 耐震診断報告書など
物件の状態を確認できる書類があれば、不動産会社向けに準備しましょう。
売却活動をする際に必要な書類は、契約した不動産会社により異なる可能性があるためしっかり確認してください。
不動産会社の選定と媒介契約
不動産会社を選ぶ際にはポイントがあります。
以下の点に気を付けて、自分に合った不動産会社を選びましょう。
- 提示する売却価格が相場に合っている
- 新築一戸建ての販売実績がある
- 物件の近くのエリアに詳しい
- 宅地建物取引業の免許更新回数が多い
- スタッフの対応が良い
不動産会社を選んだら、媒介契約を結びます。
媒介契約には3つあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
一般媒介契約は複数の不動産会社と契約できるのに対し、専任媒介契約・専属専任媒介契約では1社しか契約できません。
報告義務の有無や契約期間なども異なるため、慎重に決めましょう。
媒介契約については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
売り出し中の内覧対応
売却活動を行う際は内覧を行い、購入希望者に直接物件を見てもらいます。
内覧によって購入を決まる場合もあるため、しっかりと対策しましょう。
内覧対応において必要な準備は以下の通りです。
- キッチンやトイレなどの水回りは特に未使用であることをアピールする
- 庭の雑草などを抜いておく
- 窓や床をきれいにする
- 花を飾る
購入希望者への対応として、以下もできると印象が良いでしょう。
- 購入希望者の質問に応えられるよう備える
- マイナスイメージを与える態度をしない
- 購入希望者のペースで内覧できるよう心掛ける
- 聞かれていないことまで話しすぎない
物件のおすすめポイントなども紹介できるよう、あらかじめ備えておくことが重要です。
近くの公共交通機関の状況や、近隣施設についても把握しておきましょう。
多少は不便な点なども正直に伝えることで、購入希望者からの信頼度を高めることもできます。
契約、引き渡しまで
購入希望者が購入を決めたら、売却価格や引き渡しの時期などの交渉などを経て売買契約を結びます。
売買契約に必要な書類として以下がありますが、不動産会社に確認をとりましょう。
- 登記済証権利証(登記識別情報通知)
- 本人確認書類
- 確定測量図
- 境界確認書
- 都市計画税証明書・固定資産評価証明書(固定資産税の納税通知書)
- 住民票
- 印鑑証明書
売買契約が締結され、成立すると、物件の引き渡しと決済を行います。
引き渡し前に最終確認が行われるため、このときにしっかりと確認しましょう。
契約後の契約不適合責任でのトラブルを防ぐことができます。
買主とのスムーズなやりとりのコツとしては、口頭での約束ではなく書面で残すことが挙げられます。
交渉や説明は、必ず不動産会社の担当者を挟んで行うことも注意しましょう。
まとめ
新築一戸建ては売却することが可能です。
新築と表記できるのは「誰も住んだことのない物件」かつ「建てられてから1年以内」であることに注意しましょう。
売却前には、住宅ローンを完済しているか、売却額で残債を完済できるかを確認してください。
新築一戸建てを売る際は、売却が決まったらすぐに準備をすることがポイントです。
市場価値を落とさないためにも、売却に適切なタイミングに向けて行動することが成功のカギになります。


