相続のこと

2023.04.14

アパート経営で相続税対策は可能?仕組みや注意点も解説

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こんにちは。札幌の不動産会社「S plus home」の浜谷です。

相続財産が多いと相続税が課税される場合がありますが、同様の価値の財産でも賃貸アパートなら相続税対策になる可能性があることをご存じでしょうか?

今回のコラムでは賃貸アパートで相続税対策になる理由や、相続税がどのくらい変わるのかを解説。
アパート経営で相続税対策に取り組む際の注意点もお伝えします。

アパートが相続税対策になる理由とは?メリットも紹介

実は同じ価値の財産なら、現金で相続するより賃貸アパートとして相続した方が相続税対策になります。

理由は、評価額が下がるからです。
土地や建物を賃貸に出していると、自分の財産とはいえ自由に使ったり売ったりができないため不動産の評価額が低くなり、相続税評価額が下がることで課税される相続税も安くなるのです。

賃貸アパートの相続税の計算では、借地権割合や借家権割合、賃貸割合などを使用して不動産の相続税評価額を計算します。

  • 借地権割合:相続税路線価図にて30~90%の範囲で定められている。多くは60~70%程度
  • 借家権割合:全国一律30%
  • 賃貸割合:賃貸の入居率。全ての部屋に入居があれば100%

アパート経営で相続税対策をするメリット

相続税対策としてアパート経営をするのは、相続税が抑えられるほかに家賃収入を得られるというメリットがあります。

また、物件を購入したときのローンが残っている場合、残債分はマイナスの財産として相続財産から差し引かれるため、相続財産額を減らして相続税を抑えることにもつながります。

賃貸アパートの相続税の計算方法

賃貸アパートの相続税は以下の方法で計算します。

  1. アパートの土地の相続税評価額=評価額 ×(1-借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
  2. アパートの建物の相続税評価額=本来の固定資産税評価額 ×(1-借家権割合 × 賃貸割合)

以下の条件でアパートの相続税額を計算してみましょう。

  • 土地の評価額:5,000万円
  • 建物の固定資産税評価額:4,000万円
  • 借地権割合:60%
  • 借家権割合:30%
  • 賃貸割合:80%
  • 相続人:1人(基礎控除額3,600万円)

①アパートの土地の相続税評価額
5,000万円 × (1-60% × 30% × 80%)=4,280万円

②アパートの建物の相続税評価額
4,000万円 × (1-30% × 80%)=3,040万円

4,280万円(①)+3,040万円(②)-3,600万円(基礎控除)=3,720万円

取得金額5,000万円以下に対する相続税は【控除額200万円、税率20%】のため
(3,720万円-200万円(控除額)) × 20%(税率)=704万円

納める相続税は704万円となります。

さらに、土地の相続には小規模宅地等の特例があり、賃貸用物件の土地は200㎡までが価格の50%が減額されます。
特例が適用になれば、さらに土地の評価額が下がります。

現金で相続した場合の相続税

土地5,000万円、建物4,000万円と同じ、9,000万円を現金で相続した場合の相続税も計算してみましょう。

9,000万円(現金)-3,600万円(基礎控除)=5,400万円

取得金額1億万円以下に対する相続税は【控除額700万円、税率30%】のため
(5,400万円-700万円(控除額)) × 30%(税率)=1,410万円

納める相続税は1,410万円となります。

以上の例では、納める相続税は、賃貸アパートを相続した場合は704万円、現金の場合は1,410万円と、なんとその差は706万円。

賃貸アパートを相続するほうが節税効果が高いことがわかります。

相続税の計算方法や相続したアパートを売却した際の税金については、以下のコラムで詳しくご紹介していますのであわせてぜひご覧ください。
不動産を相続したらかかる相続税とは?相続税の計算方法
相続するアパートを売却するとどんな税金がかかる?特例が利用できる場合も

アパート経営で相続税対策をするときの注意点も確認!

上記で計算したように、例えば同じ9,000万円の価値でも、現金で相続するのと賃貸アパートで相続するのでは相続税に約700万円もの違いがでる可能性があります。

ただし、相続税対策としてアパート経営を検討している方は、以下の2つの注意点については知っておきましょう。

空室リスク

賃貸アパートに空室があると、その分賃貸割合が下がり、相続税評価額が思ったより下がらない可能性があります。
アパートの一室を自宅にしている場合も賃貸割合が下がりますので、忘れずに計算に含めて考えましょう。

そもそもアパートに空室が多いと、家賃収入が入らず、建築費用を回収できない恐れがあります。
アパート経営は相続税対策の前に、きちんと収益を上げられることを前提に検討しましょう。

税制改正による小規模宅地等の特例の変更点

平成30年(2019年)の税制改正により、相続時点で開始3年以内の賃貸アパートについては小規模宅地の特例を受けることができなくなりました。(要件や例外等あり)

小規模宅地の特例が適用できるかどうかによって、アパートの相続税額も変わってくるので、こちらも忘れずにチェックしておきましょう。

アパート経営で相続税対策が可能! 注意点も知って検討を

賃貸アパートとして他人に貸している不動産は、自分の財産とはいえ自由に利用や売却ができません。
そのため、相続税評価額が下がって相続税を抑えられる可能性があり、相続税対策になります。

地域ごとに定められている借地権割合や借家権割合、アパートの入居率である賃貸割合などをもとに賃貸アパートの相続税評価額を計算し、同じ金額の現金を相続するよりも相続税を抑えることができます。

ただし、空室が多いと賃貸割合が下がり相続税評価額の評価減が少なくなること、相続の3年以内に経営を開始したアパートは小規模宅地等の特例にならないことに注意してください。
相続税対策としてアパート経営を検討する際には、まずは収益がきちんと出せるかどうかという点を前提として検討しましょう。

S plus homeでは、札幌や札幌近郊の不動産買取・仲介を行っています。
不動産の売却で何かお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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