空き家のこと

2023.03.29

空き家の売却で損しないための手順や税金・特例を詳しく解説!

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こんにちは、札幌の不動産会社「S plus home」の浜谷です。

 

「空き家を売却したいけど、どうやって売ればいいかわからない…」

「古い家だから売却するにも損しそうで心配…」

 

など、空き家の売却について不安を持たれている方も多いのではないでしょうか?

 

空き家は所有しているだけで固定資産税などのコストが掛かることはもちろん、放置することで近隣住民に迷惑がかかったりとリスクの多い不動産であるため、早めに対策を考えておかなければいけません。

 

この記事では、空き家の売却で損しないための、売却方法と手順、売却にかかる税金、利用できる特例について詳しく解説していきます。

空き家を売却する3つの方法

空き家を売却するための方法は次の3つに分かれます。

 

  • そのまま売却
  • 空き家を解体して更地として売却
  • 不動産会社に買取してもらう

 

では、どの方法を選ぶのが良いのでしょうか?空き家の状況や条件によって異なりますので、それぞれのメリットやデメリットを解説していきます。

そのまま売却

そのままの状態で売却する方法は、解体費などの出費を抑えることができるので、他の方法より高く売れることがメリットとしてあげられます。

 

ただし、「空き家が古くて状況が悪い」「周辺環境や立地が悪い」などの条件次第では、なかなか買い手が見つからないというデメリットもあります。

 

そのまま販売する場合にも、築年数や立地等の条件によって、売り出し方は2種類あります。

 

空き家の築年数目安 売り出し方法
築年数20年以内 中古住宅として売り出し
築年数20年以上 古家付き土地として売り出し

 

築20年以内で、空き家の劣化状況も悪くないなどの場合であれば「中古住宅」として売りに出すことが可能です。

 

多少建物にも価値をつけて販売することができるので、土地だけで売るより価格を高く設定できるメリットがあります。

 

築20年以内でないと、買い手側は住宅ローン減税を受けられないなどのデメリットもあるので、築年数は浅ければ浅いほど売れやすく、販売価格も高くなります。

 

築20年以上の空き家は、「古家付き土地」として土地をメインに売り出すのが一般的です。

 

築20年以上でも、劣化の状況や立地条件によっては、リフォームするなどの対策をすることで「中古住宅」として売れる場合もあります。

 

築20年~30年程度の空き家に関しては、どちらの方法で売るのがいいのか判断が難しいので、早めに不動産会社に相談するのが良いでしょう。

空き家を解体して更地として売却

更地として販売することで、買い手側には「古い家の印象が残らない」「解体費用が掛からない」「土地を購入後すぐに家を建てられる」などのメリットがあり、空き家付きのまま売りに出すより買い手が見つかりやすいという特徴があります。

 

この方法のデメリットは、空き家の解体費が掛かるという点です。

空き家の大きさや構造によって解体費用は異なりますが、目安となる金額は下記の通りです。

 

【解体費用の例】

空き家の大きさ 木造の費用例 鉄筋コンクリート造の費用例
30坪 90万~210万円 120万~240万円
50坪 150万~350万円 200万~400万円

 

また、土地に居住用建物が立っている場合、「住宅用地の特例」が適用され、土地の固定資産税は最大6分の1、都市計画税は最大3分の1に軽減されています。

 

空き家を解体することで、この適用が解除になるので、固定資産税が最大6倍、都市計画税は最大3倍になり、売却期間が長くなれば負担も大きくなってしまうというデメリットもあります。

 

とはいえ、デメリットを恐れてそのまま放置することは、さらなる出費につながる危険が高いのでオススメできません。

 

詳しくは「空き家放置は高リスク!注意点と対策を詳しく解説」をご覧ください。

不動産会社に買取してもらう

こちらの方法は、買い手を探すのではなく、直接不動産会社に売却する方法です。

買い手を見つける必要がないので、価格の折り合いが付けばすぐに不動産会社へ売却でき、お金を得られるということがメリットです。

 

しかし、条件によっては買取を断られる場合や、売却価格が相場よりも安くなるというデメリットもありますので、何社か探してみるとよいでしょう。

空き家売却の6つの手順

上記の通り空き家の売却方法を決めた後は、次の6つのステップで売却活動を進めていきます。

 

❶価格査定依頼

❷不動産会社の選定・媒介契約

不動産会社の販売活動

❹買主との価格や条件交渉

❺売買契約の締結

➏決済・引渡し

 

それぞれ注意すべきポイントや必要な期間の目安などがありますので、詳しく解説していきます。

❶価格査定依頼

まず、空き家がどのくらいの価格で売れそうか、不動産会社の査定を受け、相場を把握しましょう。

 

査定額は、物件の相場価格に明確な基準がないことや、査定の仕方でも異なるなど、不動産会社によって提示される金額が違う場合がほとんどです。

 

1社だけでなく複数社に依頼し、査定価格や査定の根拠を比較することが大切です。

 

また、査定前には空き家の掃除を行ったり、不要なものは処分しておくなど出来るだけきれいな状態にしておきましょう。家に関わる図面や書類なども忘れずに準備しておいてください。

❷不動産会社の選定・媒介契約

仲介を依頼する不動産会社を決める際は、提示された査定価格だけでなく、「こちらの意図を組んでくれるか」「信頼できるか」など不動産会社の対応力などにも注目しましょう。

 

依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。

 

媒介契約の種類は3種類あり、1社のみの不動産会社に売却を依頼する場合は「専属専任媒介契約」または「専任媒介契約」、複数の不動産会社に依頼する場合は「一般媒介契約」となります。

 

空き家売却のための媒介契約としては「専任媒介契約、または専属専任媒介契約」がおすすめです。

 

「一般媒介契約」

◎複数の不動産会社から広く広告できる

×不動産会社からすると買主がどの会社で購入するか不確実なため、仲介手数料が得られない可能性があり、販売活動に力を入れにくい

 

「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」

◎空き家の売却できれば必ず仲介手数料を得ることができるので、積極的に販売活動をしてくれる傾向にある

×複数の不動産会社と契約できない

❸不動産会社の販売活動

媒介契約を結んだ後は、売り出し価格を設定し、本格的な売却活動に入ります。

 

【主な売却活動の例】

・不動産情報サイトへの掲載

・購入希望者への内覧対応

・不動産会社からの報告や提案

 

購入希望者の内覧対応は、不動産会社に対応を任せるのが一般的です。

内覧は売却につながる可能性が高いものなので、事前に掃除をするなどして印象を良くする準備を整えておきましょう。

 

内覧があっても決まらなかった場合は、不動産会社に理由を確認し、次の内覧までに出来ることがあれば対策しておきましょう。

❹買主との価格や条件交渉

買主候補が購入を希望する場合は、「買付証明書(購入申込書)」が提出されます。

 

その際に、販売価格よりも低い価格で購入したいという価格交渉や、空き家を解体できないか・引渡し時期を相談できないかなどの条件交渉になることもあります。

 

その場合、買主候補の反応を教えてもらったり、不動産会社のアドバイスを受けながら、売却するかどうかの判断をしましょう。

 

買付証明書の提出は、売却を決める重要な機会です。

 

それを逃すと売却期間が延びてしまったり、なかなか売れずに値下げを余儀なくされたりという可能性もありますので、安易に判断しないことが大切です。

❺売買契約の締結

売主と買主候補の間で価格や引き渡し時期などの詳細な条件を取り決めし、不動産売買契約を締結します。

 

契約時には、売却価格の一部を手付金として買主から受け取り、売主は不動産会社に対して仲介手数料の半額を支払うことが多いです。

 

買主がローンを利用して購入する場合、審査が通らなかったなどの理由で契約が白紙になる可能性がありますので、受け取ったは手付金はまだ使わないように注意してください。

➏決済・引渡し

売買契約時に決めた日程で「残代金の授受」と「空き家の引渡し」を行います。

 

具体的には、買主から手付金以外の残代金を受領し、売主から買主へ空き家の所有権移転登記の手続きと鍵の引渡しをし、売却が完了します。

 

そのため、引渡し日までに空き家にある荷物等を撤去・処分したり、必要な書類を揃えるなどの準備が必要になりますので、あらかじめ不動産会社に確認しておきましょう。

空き家を売却にかかる税金3種類

空き家の売却には、おもに下記3種類の税金が課税されます。

中でも譲渡所得税が課税される場合には高額になりがちなので、しっかり抑えておきましょう。

 

それぞれについて、計算式も交えながら詳しく解説していきます。

 

【空き家売却にかかる税金】

  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 譲渡所得税

空き家売却の税金①登録免許税

空き家の売却では、売却する家の名義を売主から買主の名義に変更する「所有権の移転登記」を行う必要があります。その際に課税されるのが「登録免許税」です。

 

登録免許税の金額は以下の計算式で算出できます。

 

不動産の固定資産税評価額×登録免許税率(売買による移転は0.2%)=登録免許税

 

登録免許税率は登記の種類によって異なりますが、売買の場合は税率2.0%となります。

 

例:建物評価額500万円、土地評価額1,000万円、計1,500万円の不動産の場合

建物500万円×2.0%=10万円(建物の登録免許税)

土地1,000万円×2.0%=20万円(土地の登録免許税)

 

この場合、不動産全体で30万円の登録免許税が課されることになります。

 

※不動産の登録免許税率は、その不動産をどのように取得したかによって異なります。

売買でなく、相続で取得した場合は税率が0.4%となります。

 

また、司法書士に登記作業を依頼する場合は、1~2万円程度の報酬支払いが発生します。

空き家売却の税金②印紙税

印紙税とは、空き家売却の際の売買契約書に貼る印紙のことで、国・自治体に対して支払う税金の一つです。定められた金額の印紙を貼って消印をすることで納税したとみなされます。

 

印紙を貼っていなかった場合には3倍の額の過怠税が、消印されていない場合には同額の税金を納めなければいけません。

 

また印紙の金額は、契約書の掲載金額(ここでは空き家の売買価格)によって異なります。2024年3月31日まで税額には軽減措置が適応され、下記表の通りとなります。

 

契約書の記載金額 印紙税額(軽減後)
1万円未満 非課税
1万円以上50万円以下 200円
50万円超100万円以下 500円
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円
契約金額の記載のないもの 200円

印紙税額は、2024年3月31日までに作成される契約書の場合です。

 

なお、売買契約書は売主用と買主用の2通作成しますので、2通分の印紙税が必要になりますが、売主と買主で1通分ずつ負担するのが一般的です。

空き家売却の税金③譲渡所得税

空き家の売却時に、利益(譲渡所得)が出た場合にのみ課税されるのが「住民税」と「所得税」で、まとめて「譲渡所得税」と呼ばれています。

 

利益が発生しなかった場合には課税されないのが特徴です。

 

税額は「譲渡所得額」と「空き家の所有期間」によって大きく変わります。

まずは「譲渡所得額(空き家売却の利益)」から計算してみましょう。下記の計算式で算出できます。

 

【譲渡所得(空き家売却利益)の計算式】

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)

 

例:空き家の売却価格2,000万円、取得費用200万円、購入価格1,000万円の場合

売却価格2,000万円-(取得費用200万円+購入価格1,000万円)=譲渡所得 800万円

 

≪売却価格≫

空き家の売却価格のことを指しますが、金銭ではなく対価として物や権利を受け取った場合などは、その物や権利の時価が売却価格(譲渡価格)とされます。

また、売却価格の他に固定資産税の清算金が含まれますので注意してください。

 

≪取得費≫

売却する空き家を購入した当時の費用のことで、購入代金はもちろん、購入時の仲介手数料や印紙代・登録免許税・不動産取得税などの諸費用や測量費や整地費、改良費なども含まれます。

 

※購入時の価格がわからない場合

購入した当時の費用がわからない場合は、「売却価格の5%」を取得費として計算することになっています。

 

≪譲渡費用≫

空き家を売却する際に生じた、仲介手数料や印紙代・建物解体費など様々な諸費用のことを指します。固定資産税など、維持や管理にかかった費用は含むことはできませんので覚えておいてください。

譲渡費用に含めていいものか否かの判断が難しいものも多いので、不動産会社に確認してみましょう。

 

税率は空き家の所有期間で変わる!

次に税率についてですが、「空き家の所有期間」が5年を超えるかどうかがポイントで、下記のように大きく異なります。

 

空き家の所有期間 所得税率(復興特別所得税率含む) 住民税率 合計
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 15.315% 5% 20.315%
所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 30.63% 9% 39.63%

 

先ほど例にあげた譲渡所得(空き家の売却利益)が800万円の場合、税額は下記のようになります。

 

土地の所有期間 計算式 譲渡所得税額
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 800万円×20.315% 1,625,200円
所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 800万円×39.63% 3,170,400円

※控除等の考慮なしの場合

 

短期譲渡所得だと、税率は長期譲渡所得のおよそ2倍になり、税額も大きく異なります。

 

※相続した不動産の場合の所有期間は、実際の所有期間が5年を超えるかどうかではなく、売却した年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで判定します。

 

相続した実家を売却する場合、被相続人の親が実家を所有していた期間も含みます。

 

そのため、相続直後の売却だとしても親が5年以上その不動産を所有していれば、長期譲渡所得の税率が適用されます

 

なお、空き家を売却した場合には、算出した譲渡所得から最大で3,000万円を控除できる「空き家の譲渡所得3,000万円控除の特例」が適用されます。次章にて、詳しく解説しています。

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例相続した空き家を売却するときの税制特例

前章でも解説した通り、不動産を売却して利益が生じた場合に通常は譲渡所得税がかかりますが、空き家の売却の場合は一定の要件を満たすと「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が適用されます。

 

この特例が適用されると譲渡所得から3,000万円を控除することができ、例えば3,000万円で空き家を売却したとすると特例が適用された場合、税金は0円になります。

 

この章では、譲渡所得の計算式や「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用要件について解説していきます。

 

【譲渡所得の計算式】

譲渡所得=譲渡価額 – 必要経費(取得費用+譲渡費用)- 特別控除3,000万円

 

譲渡価格:空き家の売却価格

所得費用:空き家を購入した当時の費用

譲渡費用:空き家の売却で生じる、仲介手数料などの諸経費

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例適用要件

  • 亡くなられた方が1人で暮らしていた家であること

別荘など自宅以外の不動産には適用されません。

 

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家であること

上記の日付以前に建築された一戸建てに限り、マンションなどには適用されません。

 

  • 相続から売却までずっと空き家であったこと

空き家であったことを公的に証明するために、被相続人居住用家族等確認書や電気・ガスの閉栓証明書、水道の使用廃止届出書などの書類が求められます。

 

  • 売却する空き家は耐震基準を満たしているか更地である

耐震基準を満たしていない空き家は、売却の際に基準を満たすように修繕するか、更地にして売却するという条件があります。

 適用期間

  • 特例の適用期限とされる2023年12月31日までの売却であること
  • 相続発生日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること

その他適用要件

  • 売却金額が1億円以下であること

売却金額は、家と土地を合わせて1億円以下であることが要件です。また、売却金額には固定資産税の精算額も含めます。数回に分けて売却したり、共有名義の相続のまま売却した際も、その合計金額で判断されます。

 

  • 親子や夫婦など特別な関係がある人への売却でないこと

特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

特例の適用を受けるには確定申告が必要

特例の適用を受けるためには、必要書類を添えて確定申告をする必要があります。

 

確定申告は、譲渡の翌年の2月15日から3月15日の間にしなければならず、 必要な書類が多岐に渡るため、申告前に税理士など専門家に相談をするのがおすすめです。

損しないための空き家売却ポイント

この記事では、空き家売却についての方法と流れについて解説しました。

現在増え続けている空き家は社会問題にもなっており、放置しておくと大きな出費につながってしまう可能性が高いです。

 

売却を決めていなくても、不動産会社は査定や相談を受け付けてくれますので、所有する空き家の現状を把握して早めに今後の計画を立てておくことが重要なポイントです。

 

弊社「S plus home(エスプラスホーム)」でも、空き家売却のご相談を承っておりますのでお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

代表取締役浜谷 卓

一つ一つのお取引を大切にし、必ずご満足のいくサービスをご提案致します。

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